第一章・第1幕【18年後の世界~未来から戻ってきた後の現代まで】
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「どうして…」
「…………」
「どうして!!!?」
「……運命って言ったら……信じるかい?」
「何を馬鹿なことを!!お前、自分が何をしているのか分かっているのか?!!」
「あぁ、分かっているさ。……分かっているからこそ、ここに立っているんだ…。君達の敵として、ね?」
そう、あの海底洞窟で私はやり遂げた。
ヒューゴの手先として彼らの前に立つという悪行を成し遂げた。
これでリオンが裏切り者扱いされる事は無い。
そんな世界線は消えたんだ。
「モネ!!?嘘ですよね?!なんでヒューゴの手先なんかに…!?」
「それが私の信じる道だからさ。さぁ、何処からでもかかっておいで?合同演習とは違う…、今度は殺す気で戦わせてもらうよ…!」
「嘘だ…、お前が……、お前が!!そんなこと、するはず…!?」
パァン!
手始めにチェルシーを撃ち抜くと、全員が息を呑んだ。まぁ、気絶弾だが。
信じられないという顔でこちらをゆっくり振り返るリオンに私は嘲笑の眼差しで笑った。
「本気でかかってこないと、全員死ぬよ?さぁ、おいで?」
狂気の眼差しを向けた私にはもう味方はいない。
さあ、始めよう。
君たちをリフトに乗せ、私がレバーを下げ、君たちを上へとあげる。その仕事を成し遂げるために少しでもリアリティのある狂人を演じる……。
それが私の信じる道!!
いつもとは違う、震える剣先で攻撃しようとしてくる彼に喝を入れる。
それでもその顔は青ざめていて、それは未だに信じられないのか、それとも信じたくないのか、どちらなのか……?
震える彼の腕を掴み、銃口を彼の額へと押し当てる。
「さようならだ。私の大切な友達……、そして何に変えても助けたかった…命を賭してでも護りたかった、大事な人よ……」
「っ!!!??」
パァン!!
気絶の魔法弾を打ち込み、彼を気絶させた。
「……言っただろう?あの時……今は手の届かない大事な人だと……。」
その言葉が聞こえたのか、聞こえてないのか不明だが、これだけは分かる。
彼は気絶直前、泣いていたのだ。
…正直、そんなに感情豊かに育ってくれて……私としては嬉しいよ。
その一縷の涙を掴み、気絶した彼を抱きしめる形で支えた。
「ごめんね。この先、君と私。一緒になれる未来なんて無いんだ。」
そして、やはりというべきかスタンが怒りを顕にした。スタンとリオンの友情は原作でも特に描かれていた。やはりそう来るか。
彼を優しく寝かせ、得物を構える。
冷たい目で射抜けば多少たじろいたが、それでも怒りは収まらないようだ。
せめてここでは死ぬ事がないように、急所を外して貰わねば。
でなければ、レバーを下ろす人が居なくなってしまう。
彼らの中から欠員を出す訳にはいかない。
なんとしても。
「さあ、来い」
「うわぁぁぁぁぁああああ!!!!」
彼の必死の剣戟は読みやすく、簡単に避けられる。
さて、どうしたものか。
時間稼ぎした所で後ろのリオンがいつ起き出すか。
しかし丁度良い所に、遠くの方で轟音が聞こえ始め濁流が近づいているのだと分かった。
「……」
「こ、この音…なに?!!」
「まさか、海水が流れ込んできているのか?!」
「え、まだここには味方がいるのに!!?私達ごと一緒に巻き込む気?!」
私を見る皆の目は同情の眼差しだった。
どんな目をされようが、この意志は変わることは無い。
急いでリオンを担ぎあげ、スタンへと魔法を使い精一杯投げ渡す。
「急いでリフトに乗って!!」
「皆!いくぞ!!!」
スタンが皆を振り返り、リフトへと急いだ。
彼等が1人残らず入ったのを確認して柵を動作させる機械を弄る。
「お、おい…!?何やってるんだ!!早くお前もこっちに来いよ!!?」
「…敵に同情しているのかい?」
作業する手は止めずにそう答える。
電気系統はちゃんと生きている。ならば後はこのレバーを下げるだけ!
「一つだけ、言っておこうか?私は自分の信じる道を突き進んだ。そして、それは私の昔からの悲願を成就させた。だから捨て駒だろうとなんだろうと、何も文句は無いのさ。……ただ、君たちにお願いがあるんだ。私の大切な友達をどうかよろしく頼むよ。彼を支えてやって欲しい。私の分以上に……彼に寄り添ってあげて欲しいんだ。」
「待って下さい、モネ!?なんでその未来に君がいないの?!!おかしいよ!!?」
「シャルティエ。君にもお願いがある。例えリオンと別れる時が来てもどうか見捨てないでやって欲しい。…まぁ、大丈夫だとは思うけどね?」
もう少ししたらソーディアンは神の眼を破壊するための礎となる。
その時シャルティエがいたらきっと破壊出来るだろう。
ある意味原作ぶち壊しのような気がしなくもないが、後はなんとかなるさ。
彼が裏切り者の烙印を押されなければなんでもいい。
「モネ、おかしいよ!!?君はまるで未来を知っているかのように…!!以前坊ちゃんに言っていた助けたい人って…、未来の__今の坊ちゃんだったって事?!!どういう事なんですか!?説明してくださいよ!!?」
「シャルティエ。説明は必要ないのさ。私は君たちを裏切った。それだけ覚えててくれればいい。」
「そ、そんな…!?」
「さようなら。シャルティエ。」
「モネ!!待ってください!!モネも…!!」
「では、誰がレバーを下ろす役目をすると?」
「「「「?!!!!」」」」
リフトから態々離れた場所にある不自然なレバー。
そう、誰かを巻き込む為にヒューゴが用意した趣味の悪い工作。
だが、私がここでレバーを下げれば万事解決する。
「そ、そんな…!!?それじゃ、モネは……、モネはどうなるんですか?!!」
「濁流に巻き込まれるだけさ。そして私は漸く死ねる。長かった……ここまで。」
本当に長かった気がする。
「簡単に死ぬなんて言わないで下さいっ!!!坊ちゃんはどうなるんですか?!!」
「私以外に大切な仲間がいるだろう?そこの仲間たちが。」
「違うっ!!そう言ってるんじゃないんです!!僕が言いたいのは__」
「シャルティエ、時間切れだ」
レバーを下ろすと、無情で無機質な音が鳴り響く。
そのレバーを背に、その場に座り込む。
段々と上がっていくリフト。泣き叫ぶシャルティエの声。
「ありがとう、リオン。今まで楽しかったよ」
最期まで私が女と言うことは言えなかったけど、少しでも友達でいてくれてありがとう。
次会うときは、あの世で君の結婚相手、紹介して欲しいな。
きっとリオンに合う女性だろうから。
Never Ending Nightmare.
__悪夢が終わることは無い。
私はずっとこの悪夢を見続けるのだから。
例え君に侮辱されようとも、
君に蔑視されようとも……
君と友達になろうとも……
同じ結末を必ず夢見るのだ。
そして最期には必ず君が幸せになれる道を選ぶのだ。
▷▶︎▷▶︎次、後書きと今後の展開について