第二章・第1幕【裏切り者編】
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001.再び、“悪夢”の始まり。
(*スノウ視点)
スノウがゆっくりと地面へ降り立つと、そこは閑静な森の中。
見渡す限り木、木、木…。
スノウは困った顔をさせながら笑っては、現状を把握しようと頭を働かせていた。
「うわぁ…。また変な所に出たなぁ…?」
まさか生き返って最初に、こんな自然の多いところに降り立つ事になろうとは誰が思うだろう。
スノウはゆっくりと歩き出して、そして大きく息を吸った。
すると、森の中ということもあり、自然豊かな匂いが鼻をつく。
心做しか、マイナスイオンを感じてリラックスした表情で暫く歩いていたスノウは、緊張を解いて暫し景色を楽しむ。
「~~♪」
思わず鼻歌も出てしまう。
それくらいのどかな場所に今、スノウは居たのだった。
そんな時、ガサガサという草を掻き分ける様な音がして瞬時に相棒に手を置いたスノウ。
警戒しながら探知をすると、そこには魔物に追いかけられている男性の反応があった。
急いでスノウが駆けつけ、魔物を一網打尽にすると、男の人は何故か茂みの中に頭を突っ込んでいた。
思わずスノウがクスリと笑ってしまえば、そのまま男性の方へと歩き出し、背中を軽く叩く。
「もう大丈夫ですよ。魔物は片付けたので。」
「へ?」
ゴソゴソと頭を引っこ抜いた男性は、ポカンとした顔でスノウを見上げる。
そして頭を下げて、心の底から喜んでいた。
命の恩人だ、と話す男性の所々には生々しい傷跡がある。
先程の魔物にでもやられたのだろうか。
スノウがそれを発見し、顔を顰めさせる。
「もう少し早く助けられていたら……、あなたがそんな怪我をせずに済んだかもしれないね。」
「いえいえ!命を助けて貰っただけでも有難いですよ!ありがとうございます。」
「いえいえ。これくらいなんて事ないですよ。ともかく無事で何より。」
スノウがすぐに男性へと回復技をかけて、生々しく有った傷たちを全て癒す。
すると男性は驚いた顔をさせて、ジッとスノウを見上げる。
その表情は何処か、煙たがられているような……そんな感情が見え隠れしている気がしたスノウは疑問を持つ。
何か気に触るような事をしてしまっただろうか、と。
「?? ミスター?どうかされ────」
「あなた、その力は?」
「え?回復の事ですか? これはディスペルキュアと言って傷を治す回復術のはずですが…、何か気に障ったなら申し訳ない。」
「そういう事ではなくて。あなたのその力の源は何か、と聞いているんです。」
「それは…」
何だか、“答えてはいけない”────そう思わせられる様な、緊張感の伴う表情と空気を出す男性にスノウは内心、ため息をついた。
本当に何か気に障る事をしてしまったのだろう。
ここは素直に謝った方が身の為だ、とスノウが謝罪をしようと口を開きかけた、その刹那。
「あぁ…神よ。ようやく見つけました。」
男性はそう言って勢いよく立ち上がると、震え上がるような狂った顔をさせてスノウの鳩尾へと手を当てる。
その瞬間、スノウの身体が何故か後方へと吹き飛んだのだ。
そして何の力が働いたのか、スノウの視界は急に真っ暗となってそのまま意識を失い、力なく地面を転がっていったのだった。
それを笑いながら見る男性はそのまま笑い声と共に姿を消してしまった。
これが、狂ってしまった運命の歯車の始まり。
何処かで外れてしまった歯車は果たして、再び噛み合わさり、元通りの歯車へと戻るのだろうか。
それとも、噛み合わさらないまま、破滅へと向かってしまうのだろうか?
○o。+..:*○o。+..:*○o。+..:*○o。+..:*○o。+
(*リオン視点)
___亡きダリルシェイド・地下牢獄
“悪夢”から目覚めたリオンは、ハッと体を起こす。
乱れる息を無意識に整えながら、リオンは呆然と周りを見渡していた。
ここは何処だ、周りに魔物はいないか、スノウは何処にいる────そんな疑問を浮かべながら見渡した先には、見覚えのある檻と風景を写し出していた。
乱れた息が整ってくれば、徐々に思考も纏まってくる。
そして、ここが何処か分かったリオンは大きなため息をついていた。
“あぁ、またここからか。”
そう思いながら。
『おはようございます、坊ちゃん。最悪な目覚めですね。』
腰にある愛剣が話しかけてきて、リオンはチラリと腰の方を見遣る。
そして視線を元に戻しながら静かに頷いた。
「……まさか、前世と同じくまたここから始まるとはな…。その上、嫌な予知夢まで見させられて、本当の本当に最悪な目覚めだ。……気分が悪い。」
自分がスノウを殺すなど、有り得ない。
なのにあれは未来に起こる“現実”なのだ。
それを回避するためにも、夢の中の自分が助言していたように早い所スノウを見つけなければならない。
〈赤眼の蜘蛛〉に彼女を入らせるつもりもないし、命を落とさせるつもりもないからだ。
『しっかし、また牢獄からの始まりですかぁ…?何か、囚人みたいな気持ちになりますねぇ?』
「文句なら僕じゃなく、エニグマに言え。」
前世のジューダスとしての生の始まりは、この地下牢獄だった。
カイル達と出会い、旅の始まりとなった場所。
その場所と全く一緒な所にいるのだから、エニグマの奴も態々ここを選ぶなどタチが悪い。
お陰で最悪な目覚めだ、とリオンが心の中で少し苛立たせると、ふと思い出す。
ポケットに大事に仕舞っていた、彼女からの大切な贈り物の事を。
それを思い出せば幾分か……否、大分心も晴れてくるというもの。
そっと取り出した小箱を大切そうに開けるのをワクワクしながら見つめるシャルティエ。
それを見て、すぐにシャルティエも分かったのだ。
“来世で目覚めた時に開けて欲しい”と言っていた、彼女の言葉を。
2人が期待して見つめる小箱の中は、金色に輝く傷一つない懐中時計だった。
リオンがそれをよくよく見れば、裏側には〝私の大事な親友へ〟と刻印されていた。
その刻印をなぞるように指を滑らせたリオンは、顔を僅かに綻ばせて懐中時計の蓋を開ける。
刻々と時間を刻む懐中時計。
寸分の狂いなく刻む時計の針を見ていれば、蓋の裏側にも何か刻印がなされているのに気付く。
するとそこにはこう刻まれていた。
〝現実で待ってる〟
それを見た瞬間、カシャンと音を立てて蓋を閉めたリオンの顔はというと……それはそれは、晴れ晴れしい顔をしていた。
そしてその瞳には揺るぎない決意もあった。
必ず彼女を護るという、強い意志があったのだ。
「……〝現実で待ってる〟か…。フッ……。これがあれば、奴の荒々しいお使いとやらも耐えられる気がするな。」
『急に現れては他人の夢に飛ばされるんですから…。〈夢の神〉も横暴ですよ。ですが……そうですね!その言葉と懐中時計があれば心強いもんです!!』
「あぁ…。早い所あいつを探そう。……夢の中の僕が言っていた言葉が気がかりだ。」
早くしないと彼女が〈赤眼の蜘蛛〉に入ってしまう。
それはあってはならない“現実”の一つだ。
リオンはすぐに寂れた檻から出て、薄暗い洞窟内を歩く。
天井から滴る水音も、今のリオンの逸る気持ちには敵わないし、気にならないほど穏やかであった。
前世で記憶に残っていたカイル達と出会った場所も何事も無く進んだリオンは、愛剣に手を置きながら突き進む。
しかし危惧していた出口付近の魔物は、今回は居なかった。
『坊ちゃん!もうすぐで外です!』
「あぁ。」
明るい外に出てみれば、どうやら時刻はお昼時の様で、太陽がリオン達の真上にあったのがその証拠である。
懐から懐中時計を取り出したリオンは、刻む針を見つめる。
そこには昼時の時間がきちんと刻まれていた。
『そういえば、遅くなりましたけど……今世もよろしくお願いしますね!坊ちゃん!』
「ふん、本当に今更だが……まぁ、宜しくしてやらなくもない。」
『相変わらず素直じゃないです…ねぇえええええええ!!!!?』
途中、リオンがコアクリスタルを容赦なく引っ掻いた事で、シャルティエが言葉の途中で悲鳴を上げる。
それを鼻で笑ったリオンに、シャルティエが怒っていたが、近付く爪を見てすぐに謝る。
いつものそんなやり取りをしながら、二人はスノウを探す旅に出る。
道中出会った、記憶を持った仲間たちと共に……。
運命の歯車が徐々に外れていく。
逃れられない“悪夢”を、彼らはどうやって修正していくのだろう。
(*スノウ視点)
スノウがゆっくりと地面へ降り立つと、そこは閑静な森の中。
見渡す限り木、木、木…。
スノウは困った顔をさせながら笑っては、現状を把握しようと頭を働かせていた。
「うわぁ…。また変な所に出たなぁ…?」
まさか生き返って最初に、こんな自然の多いところに降り立つ事になろうとは誰が思うだろう。
スノウはゆっくりと歩き出して、そして大きく息を吸った。
すると、森の中ということもあり、自然豊かな匂いが鼻をつく。
心做しか、マイナスイオンを感じてリラックスした表情で暫く歩いていたスノウは、緊張を解いて暫し景色を楽しむ。
「~~♪」
思わず鼻歌も出てしまう。
それくらいのどかな場所に今、スノウは居たのだった。
そんな時、ガサガサという草を掻き分ける様な音がして瞬時に相棒に手を置いたスノウ。
警戒しながら探知をすると、そこには魔物に追いかけられている男性の反応があった。
急いでスノウが駆けつけ、魔物を一網打尽にすると、男の人は何故か茂みの中に頭を突っ込んでいた。
思わずスノウがクスリと笑ってしまえば、そのまま男性の方へと歩き出し、背中を軽く叩く。
「もう大丈夫ですよ。魔物は片付けたので。」
「へ?」
ゴソゴソと頭を引っこ抜いた男性は、ポカンとした顔でスノウを見上げる。
そして頭を下げて、心の底から喜んでいた。
命の恩人だ、と話す男性の所々には生々しい傷跡がある。
先程の魔物にでもやられたのだろうか。
スノウがそれを発見し、顔を顰めさせる。
「もう少し早く助けられていたら……、あなたがそんな怪我をせずに済んだかもしれないね。」
「いえいえ!命を助けて貰っただけでも有難いですよ!ありがとうございます。」
「いえいえ。これくらいなんて事ないですよ。ともかく無事で何より。」
スノウがすぐに男性へと回復技をかけて、生々しく有った傷たちを全て癒す。
すると男性は驚いた顔をさせて、ジッとスノウを見上げる。
その表情は何処か、煙たがられているような……そんな感情が見え隠れしている気がしたスノウは疑問を持つ。
何か気に触るような事をしてしまっただろうか、と。
「?? ミスター?どうかされ────」
「あなた、その力は?」
「え?回復の事ですか? これはディスペルキュアと言って傷を治す回復術のはずですが…、何か気に障ったなら申し訳ない。」
「そういう事ではなくて。あなたのその力の源は何か、と聞いているんです。」
「それは…」
何だか、“答えてはいけない”────そう思わせられる様な、緊張感の伴う表情と空気を出す男性にスノウは内心、ため息をついた。
本当に何か気に障る事をしてしまったのだろう。
ここは素直に謝った方が身の為だ、とスノウが謝罪をしようと口を開きかけた、その刹那。
「あぁ…神よ。ようやく見つけました。」
男性はそう言って勢いよく立ち上がると、震え上がるような狂った顔をさせてスノウの鳩尾へと手を当てる。
その瞬間、スノウの身体が何故か後方へと吹き飛んだのだ。
そして何の力が働いたのか、スノウの視界は急に真っ暗となってそのまま意識を失い、力なく地面を転がっていったのだった。
それを笑いながら見る男性はそのまま笑い声と共に姿を消してしまった。
これが、狂ってしまった運命の歯車の始まり。
何処かで外れてしまった歯車は果たして、再び噛み合わさり、元通りの歯車へと戻るのだろうか。
それとも、噛み合わさらないまま、破滅へと向かってしまうのだろうか?
○o。+..:*○o。+..:*○o。+..:*○o。+..:*○o。+
(*リオン視点)
___亡きダリルシェイド・地下牢獄
“悪夢”から目覚めたリオンは、ハッと体を起こす。
乱れる息を無意識に整えながら、リオンは呆然と周りを見渡していた。
ここは何処だ、周りに魔物はいないか、スノウは何処にいる────そんな疑問を浮かべながら見渡した先には、見覚えのある檻と風景を写し出していた。
乱れた息が整ってくれば、徐々に思考も纏まってくる。
そして、ここが何処か分かったリオンは大きなため息をついていた。
“あぁ、またここからか。”
そう思いながら。
『おはようございます、坊ちゃん。最悪な目覚めですね。』
腰にある愛剣が話しかけてきて、リオンはチラリと腰の方を見遣る。
そして視線を元に戻しながら静かに頷いた。
「……まさか、前世と同じくまたここから始まるとはな…。その上、嫌な予知夢まで見させられて、本当の本当に最悪な目覚めだ。……気分が悪い。」
自分がスノウを殺すなど、有り得ない。
なのにあれは未来に起こる“現実”なのだ。
それを回避するためにも、夢の中の自分が助言していたように早い所スノウを見つけなければならない。
〈赤眼の蜘蛛〉に彼女を入らせるつもりもないし、命を落とさせるつもりもないからだ。
『しっかし、また牢獄からの始まりですかぁ…?何か、囚人みたいな気持ちになりますねぇ?』
「文句なら僕じゃなく、エニグマに言え。」
前世のジューダスとしての生の始まりは、この地下牢獄だった。
カイル達と出会い、旅の始まりとなった場所。
その場所と全く一緒な所にいるのだから、エニグマの奴も態々ここを選ぶなどタチが悪い。
お陰で最悪な目覚めだ、とリオンが心の中で少し苛立たせると、ふと思い出す。
ポケットに大事に仕舞っていた、彼女からの大切な贈り物の事を。
それを思い出せば幾分か……否、大分心も晴れてくるというもの。
そっと取り出した小箱を大切そうに開けるのをワクワクしながら見つめるシャルティエ。
それを見て、すぐにシャルティエも分かったのだ。
“来世で目覚めた時に開けて欲しい”と言っていた、彼女の言葉を。
2人が期待して見つめる小箱の中は、金色に輝く傷一つない懐中時計だった。
リオンがそれをよくよく見れば、裏側には〝私の大事な親友へ〟と刻印されていた。
その刻印をなぞるように指を滑らせたリオンは、顔を僅かに綻ばせて懐中時計の蓋を開ける。
刻々と時間を刻む懐中時計。
寸分の狂いなく刻む時計の針を見ていれば、蓋の裏側にも何か刻印がなされているのに気付く。
するとそこにはこう刻まれていた。
〝現実で待ってる〟
それを見た瞬間、カシャンと音を立てて蓋を閉めたリオンの顔はというと……それはそれは、晴れ晴れしい顔をしていた。
そしてその瞳には揺るぎない決意もあった。
必ず彼女を護るという、強い意志があったのだ。
「……〝現実で待ってる〟か…。フッ……。これがあれば、奴の荒々しいお使いとやらも耐えられる気がするな。」
『急に現れては他人の夢に飛ばされるんですから…。〈夢の神〉も横暴ですよ。ですが……そうですね!その言葉と懐中時計があれば心強いもんです!!』
「あぁ…。早い所あいつを探そう。……夢の中の僕が言っていた言葉が気がかりだ。」
早くしないと彼女が〈赤眼の蜘蛛〉に入ってしまう。
それはあってはならない“現実”の一つだ。
リオンはすぐに寂れた檻から出て、薄暗い洞窟内を歩く。
天井から滴る水音も、今のリオンの逸る気持ちには敵わないし、気にならないほど穏やかであった。
前世で記憶に残っていたカイル達と出会った場所も何事も無く進んだリオンは、愛剣に手を置きながら突き進む。
しかし危惧していた出口付近の魔物は、今回は居なかった。
『坊ちゃん!もうすぐで外です!』
「あぁ。」
明るい外に出てみれば、どうやら時刻はお昼時の様で、太陽がリオン達の真上にあったのがその証拠である。
懐から懐中時計を取り出したリオンは、刻む針を見つめる。
そこには昼時の時間がきちんと刻まれていた。
『そういえば、遅くなりましたけど……今世もよろしくお願いしますね!坊ちゃん!』
「ふん、本当に今更だが……まぁ、宜しくしてやらなくもない。」
『相変わらず素直じゃないです…ねぇえええええええ!!!!?』
途中、リオンがコアクリスタルを容赦なく引っ掻いた事で、シャルティエが言葉の途中で悲鳴を上げる。
それを鼻で笑ったリオンに、シャルティエが怒っていたが、近付く爪を見てすぐに謝る。
いつものそんなやり取りをしながら、二人はスノウを探す旅に出る。
道中出会った、記憶を持った仲間たちと共に……。
運命の歯車が徐々に外れていく。
逃れられない“悪夢”を、彼らはどうやって修正していくのだろう。