第一章・第3幕【天地戦争時代後の現代~原作最期まで】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
___現代・ハイデルベルグ
先程まで最悪な未来を憂いていた三人だったが、スノウのエスコートにより、何処かへと連れていかれようとしていた。
何処に行くかなんて、いつものように言わないスノウに文句を言う訳でもなく、ジューダスはスノウに手を引かれて街中を歩いていた。
『スノウ?何処に行くんですか?それに…スノウの用事って?』
「言ったら面白くないだろう?」
そう言って立ち止まったスノウに、二人が目を丸くさせる。
そこは雑貨屋と防具屋を兼ねているお店の看板が立っていたからだ。
防具を新調したいのか、それとも雑貨を見に来たのか…。
「お邪魔します。」
二人の空気など露知らず、スノウが堂々とその中へと入っていくので、手を繋いでいたジューダスまでも強制的に中に入る羽目になる。
しかし、中に入れば一瞬にして暖かな空気に当てられて、外の寒さで痛かった肌が少しずつ和らいでいく。
白い息も、今は見えなくなっていた。
「えっと…?」
何かを探すように店の中を見渡したスノウだったが、目的の物を見つけるとすぐさま手を離し店内の奥へと足早に移動して行った。
手を離された事に寂しさを覚えたジューダスが、僅かにスノウの方へと手を伸ばした。
しかしすぐに手を元に戻し、彼女の元へと歩きだす。
それは、何かの商品を見つめる彼女の背中を見つめながら。
「何か良い物でもあったのか?」
「……うん。これにしよう。」
そう言ってスノウは優しく笑うと、今度は会計の方へと駆けていき、そしてジューダスの元へと戻ってくる。
その顔は嬉しそうでありながらも、したり顔であり、ジューダスの前へと戻ってくると顔を覗き込んだ。
「レディ。目を閉じて?」
「……。」
ジューダスが黙ったまま目を閉じれば、何やら首に手を回される感覚がして、途端に息を詰まらせる。
彼女の体温が、間近に感じる。
彼女の匂いが、鼻をくすぐる。
彼女の息遣いが、近くに感じる……。
「……。(何をされてるんだ…?こんな店中で、大胆な行動はしないと思っていたが…。)」
ふと首に当たる冷たい何か。
それは、何やら紐やチェーンのような物体だ。
という事は────
「うん、目を開けていいよ?レディ。」
ゆっくりと目を開けたジューダスだったが、思いのほかスノウの顔が近くにあって、心臓が無意識に跳ねる。
動揺を隠すようにして平静を装えば、スノウにはどうやら気付かれていないようだ。
だが、その海色の瞳がじっと仮面の奥のジューダスの瞳を見つめる。
その瞳の奥には、優しさや他の何かが入り混じっている気がした。
────熱の篭った、何かが。
「…とても似合ってるよ。」
瞳が下に移動し、ジューダスの首元を映す。
その瞳から目が離せないジューダスは、その海色の瞳が映し出す物を見つめる。
それは、自分が着けた覚えのないシルバーアクセサリーであった。
角が丸みを帯びた、長方形のプレートの端にある小さな海色の宝石。
その宝石に視線を移し、ジューダスは瞳を揺らす。
「……海色の宝石…。」
「うん。何だか、私自身がそれを気に入っちゃってね?君に着けて欲しかったから。」
その宝石は、目の前の彼女の瞳の宝石と同じ色。
キラキラと輝き、目が離せなくなりそうな錯覚に陥る。
「何故…」
「前に言っただろう?君を苦しめる、あの黒い首輪が外れたら楽しみにしていて、と。……あんな首輪よりも、余程こっちの方がいい。」
そう言って、スノウは親指でジューダスの首を横になぞっていく。
その場所は以前、ジューダスの首を絞めつけていた首輪のあった場所だった。
正確にその位置を覚えていたらしいスノウに驚嘆しながらも、その指が少しくすぐったく感じてしまい、ジューダスはスノウの手を取った。
「……ならば、僕もお前に何か着けてやらないとな?」
そのまま片方の手はスノウの手を握り、反対の手でスノウの首をなぞる。
それに擽ったそうに笑いながら身を捻ったスノウに、ジューダスの目が優しく細まる。
そして先程までスノウが見ていた場所へと目を向ければ、様々なアクセサリーが綺麗に並べられていた。
その中には先程のプレートのシルバーアクセサリーもあるものの、ジューダスの気に入った宝石の色は無い。
暫くその棚を見ていたジューダスだったが、とあるひとつを手に取って会計へと向かう。
そしてスノウと同様に、会計が終わるとそれを相手の首へと着ける為に彼女の元へと歩き出す。
「目を閉じろ。」
「ん。」
ひとつ笑いを零して、目を閉じたスノウへとジューダスがそっと先程買った品を着ける。
少しだけ冷たいその金属が肌に触れ、僅かに体を震わせたスノウ。
しかし目を開けることはしなかった。
「…いいぞ。」
ぶっきらぼうに放たれた言葉でようやく目を開ければ、口元を僅かに緩ませたジューダスがスノウを見つめていた。
それに胸が熱くなるのを感じる。
「……。」
言葉を失ったスノウだったが、すぐに手を首元へと当てる。
そこには彼に着けた物と同じ、プレート型のネックレスが着けられていた。
下を見て確認すれば、そのプレートの隅にある宝石は紫水晶……アメジストであった。
その宝石を見て、スノウは驚いて彼の顔を見る。
何故ならば、この宝石は先程の棚に無かったものだったからだ。
「これ…」
「他のものと被っていたからな。お前が気付かなかったのも無理はない。」
ほかのアクセサリーの下に混じっていたプレート型のネックレス。
それをジューダスが見つけ、すぐに手に取って会計へ向かったのだ。
無いと思ってた物が実は存在していた事に対して、スノウが感動で瞳を揺らし、紫水晶の瞳を見つめる。
その海色の瞳を見つめ返したジューダスは、スノウの耳元へと口を近付けて吐息のように囁く。
「……よく似合っている……。」
「……!」
目を見張り、息を呑んだスノウ。
しかしすぐに幸せそうな顔をして笑みを零した。
ジューダスもまた、その顔を見て幸せそうに口元に弧を描く。
そしてスノウは、その笑顔のまま目の前の彼の体をそっと抱き締めた。
「……本当に、ありがとう…。あの時、諦めずにいてくれて。私を助けてくれて。……心の底から感謝してる。」
「言っただろう?僕はお前を何者からも守る、と。ずっと、お前の隣にいる、と…。」
「こんな、誰からも狙われてる奴だけど、……よろしくね。」
最後の言葉は飲み込んで、スノウは言葉を紡ぐ。
“あと少しだけ”────なんて、言葉を間違っても言ってしまったらいけないから。
だって、“あと少しだけよろしく”なんて……もうこの旅の終焉を示唆しているようなものなのだから。
「僕はいつでもお前のそばに居る。……それは、勿論…来世であってもだ。」
「……!」
飲み込んだと思った言葉だったのに、彼は平気な顔でそう告げる。
もしかしたら、分かっていないのかもしれないし、何となく察していたのかもしれない。
どちらなのか、スノウからしてみれば分からないけれども、今はその言葉に酔いしれてしまった。
だって、前前世であれほど推していた人からの大切な言葉だから────前世の親友の、大切な言葉だから。
「嬉しい…けど…。やっぱりダメだよ…。私は来世こそ、君に幸せになって欲しい。友として……君の幸せな顔を…幸せそうなその姿を、この目で見ていたいから。」
その切なる願いは、僅かに震えて音となってしまった。
何故声が震えたかなんて、スノウに分かるはずもない。
いや、本当は分かっていたのかもしれない。
孤独を感じてしまい、震えたのかもしれない。
寂しさを感じて、震えたのかもしれない。
本当は────傍にいて欲しいという願いが根底にあるからこそ、震え、願ってしまったのかもしれない。
その願いが、声の震えとして空気を震わせたのかもしれないのだから。
「傍に居なければ、僕がどんな顔をしているかなんて、確認出来ないだろう?」
「……え?」
「傍にいれば、僕はどんな顔もお前に見せられる。どんな姿もお前にさらけ出せる。お前が傍にいなければ……僕は、この世界での生きる意味を見失うかもしれないな。」
「あ…。」
前世での彼の最期。
それを思い出してスノウは口を噤んだ。
瞳を揺らし、険しい顔をさせて目の前の存在を強く抱き締めた。
「……モネなら、もう死んだのに?」
「お前がいる。」
「来世はきっとお互い…〈御使い〉の使命が大変なのに?」
「互いに助け合えばいい。」
「また…君を傷つけてしまうかもしれないよ?」
「僕がお前に負けないくらい強くなればいい。」
「……そっか。」
諦めたようにスノウが言葉を止め、ジューダスへと寄りかかる。
背中に手を回したジューダスがそれを支えれば、スノウの心は暖かくなった。
だからこそ、次の言葉は自然と口から出ていた。
「じゃあ、来世もよろしくね?親友。」
「(親友、か…。)あぁ、任せておけ。」
「来世では、もっと君と穏やかな人生を歩めることを祈るよ。つくづくね?」
「ふん。既に僕達は〈御使い〉として方方を駆け回ってる身じゃないか。それは無理な話なんじゃないか?……まぁ、その意見にはとてつもなく賛同するがな…。」
密着していた体をそっと離した二人は、お互いに苦笑いを浮かべていた。
話題も話題だったからだ。
来世の事を想像して、今と同じか、それ以上に大変な未来を想像出来てしまった。
そう思うと、もう笑うしかなくなる。
「ねぇ、レディ?来世では何かしたい事ある?」
「そうだな…。まずは生き急ぐんじゃなくて、ゆっくり出来る場所でお前と日々穏やかに、そしてゆっくり過ごしたいものだな。」
「ちょっと、レディ。もうそれっておじいちゃんの発言だよ?」
そう言いながら二人は店の外へと出る。
店の店主はそんな二人を微笑みながら見送る。
それこそ、煙草の白い煙を吐き出しながら静かに。
---------------------------------------
一度切ります。
文字数制限め・・・
先程まで最悪な未来を憂いていた三人だったが、スノウのエスコートにより、何処かへと連れていかれようとしていた。
何処に行くかなんて、いつものように言わないスノウに文句を言う訳でもなく、ジューダスはスノウに手を引かれて街中を歩いていた。
『スノウ?何処に行くんですか?それに…スノウの用事って?』
「言ったら面白くないだろう?」
そう言って立ち止まったスノウに、二人が目を丸くさせる。
そこは雑貨屋と防具屋を兼ねているお店の看板が立っていたからだ。
防具を新調したいのか、それとも雑貨を見に来たのか…。
「お邪魔します。」
二人の空気など露知らず、スノウが堂々とその中へと入っていくので、手を繋いでいたジューダスまでも強制的に中に入る羽目になる。
しかし、中に入れば一瞬にして暖かな空気に当てられて、外の寒さで痛かった肌が少しずつ和らいでいく。
白い息も、今は見えなくなっていた。
「えっと…?」
何かを探すように店の中を見渡したスノウだったが、目的の物を見つけるとすぐさま手を離し店内の奥へと足早に移動して行った。
手を離された事に寂しさを覚えたジューダスが、僅かにスノウの方へと手を伸ばした。
しかしすぐに手を元に戻し、彼女の元へと歩きだす。
それは、何かの商品を見つめる彼女の背中を見つめながら。
「何か良い物でもあったのか?」
「……うん。これにしよう。」
そう言ってスノウは優しく笑うと、今度は会計の方へと駆けていき、そしてジューダスの元へと戻ってくる。
その顔は嬉しそうでありながらも、したり顔であり、ジューダスの前へと戻ってくると顔を覗き込んだ。
「レディ。目を閉じて?」
「……。」
ジューダスが黙ったまま目を閉じれば、何やら首に手を回される感覚がして、途端に息を詰まらせる。
彼女の体温が、間近に感じる。
彼女の匂いが、鼻をくすぐる。
彼女の息遣いが、近くに感じる……。
「……。(何をされてるんだ…?こんな店中で、大胆な行動はしないと思っていたが…。)」
ふと首に当たる冷たい何か。
それは、何やら紐やチェーンのような物体だ。
という事は────
「うん、目を開けていいよ?レディ。」
ゆっくりと目を開けたジューダスだったが、思いのほかスノウの顔が近くにあって、心臓が無意識に跳ねる。
動揺を隠すようにして平静を装えば、スノウにはどうやら気付かれていないようだ。
だが、その海色の瞳がじっと仮面の奥のジューダスの瞳を見つめる。
その瞳の奥には、優しさや他の何かが入り混じっている気がした。
────熱の篭った、何かが。
「…とても似合ってるよ。」
瞳が下に移動し、ジューダスの首元を映す。
その瞳から目が離せないジューダスは、その海色の瞳が映し出す物を見つめる。
それは、自分が着けた覚えのないシルバーアクセサリーであった。
角が丸みを帯びた、長方形のプレートの端にある小さな海色の宝石。
その宝石に視線を移し、ジューダスは瞳を揺らす。
「……海色の宝石…。」
「うん。何だか、私自身がそれを気に入っちゃってね?君に着けて欲しかったから。」
その宝石は、目の前の彼女の瞳の宝石と同じ色。
キラキラと輝き、目が離せなくなりそうな錯覚に陥る。
「何故…」
「前に言っただろう?君を苦しめる、あの黒い首輪が外れたら楽しみにしていて、と。……あんな首輪よりも、余程こっちの方がいい。」
そう言って、スノウは親指でジューダスの首を横になぞっていく。
その場所は以前、ジューダスの首を絞めつけていた首輪のあった場所だった。
正確にその位置を覚えていたらしいスノウに驚嘆しながらも、その指が少しくすぐったく感じてしまい、ジューダスはスノウの手を取った。
「……ならば、僕もお前に何か着けてやらないとな?」
そのまま片方の手はスノウの手を握り、反対の手でスノウの首をなぞる。
それに擽ったそうに笑いながら身を捻ったスノウに、ジューダスの目が優しく細まる。
そして先程までスノウが見ていた場所へと目を向ければ、様々なアクセサリーが綺麗に並べられていた。
その中には先程のプレートのシルバーアクセサリーもあるものの、ジューダスの気に入った宝石の色は無い。
暫くその棚を見ていたジューダスだったが、とあるひとつを手に取って会計へと向かう。
そしてスノウと同様に、会計が終わるとそれを相手の首へと着ける為に彼女の元へと歩き出す。
「目を閉じろ。」
「ん。」
ひとつ笑いを零して、目を閉じたスノウへとジューダスがそっと先程買った品を着ける。
少しだけ冷たいその金属が肌に触れ、僅かに体を震わせたスノウ。
しかし目を開けることはしなかった。
「…いいぞ。」
ぶっきらぼうに放たれた言葉でようやく目を開ければ、口元を僅かに緩ませたジューダスがスノウを見つめていた。
それに胸が熱くなるのを感じる。
「……。」
言葉を失ったスノウだったが、すぐに手を首元へと当てる。
そこには彼に着けた物と同じ、プレート型のネックレスが着けられていた。
下を見て確認すれば、そのプレートの隅にある宝石は紫水晶……アメジストであった。
その宝石を見て、スノウは驚いて彼の顔を見る。
何故ならば、この宝石は先程の棚に無かったものだったからだ。
「これ…」
「他のものと被っていたからな。お前が気付かなかったのも無理はない。」
ほかのアクセサリーの下に混じっていたプレート型のネックレス。
それをジューダスが見つけ、すぐに手に取って会計へ向かったのだ。
無いと思ってた物が実は存在していた事に対して、スノウが感動で瞳を揺らし、紫水晶の瞳を見つめる。
その海色の瞳を見つめ返したジューダスは、スノウの耳元へと口を近付けて吐息のように囁く。
「……よく似合っている……。」
「……!」
目を見張り、息を呑んだスノウ。
しかしすぐに幸せそうな顔をして笑みを零した。
ジューダスもまた、その顔を見て幸せそうに口元に弧を描く。
そしてスノウは、その笑顔のまま目の前の彼の体をそっと抱き締めた。
「……本当に、ありがとう…。あの時、諦めずにいてくれて。私を助けてくれて。……心の底から感謝してる。」
「言っただろう?僕はお前を何者からも守る、と。ずっと、お前の隣にいる、と…。」
「こんな、誰からも狙われてる奴だけど、……よろしくね。」
最後の言葉は飲み込んで、スノウは言葉を紡ぐ。
“あと少しだけ”────なんて、言葉を間違っても言ってしまったらいけないから。
だって、“あと少しだけよろしく”なんて……もうこの旅の終焉を示唆しているようなものなのだから。
「僕はいつでもお前のそばに居る。……それは、勿論…来世であってもだ。」
「……!」
飲み込んだと思った言葉だったのに、彼は平気な顔でそう告げる。
もしかしたら、分かっていないのかもしれないし、何となく察していたのかもしれない。
どちらなのか、スノウからしてみれば分からないけれども、今はその言葉に酔いしれてしまった。
だって、前前世であれほど推していた人からの大切な言葉だから────前世の親友の、大切な言葉だから。
「嬉しい…けど…。やっぱりダメだよ…。私は来世こそ、君に幸せになって欲しい。友として……君の幸せな顔を…幸せそうなその姿を、この目で見ていたいから。」
その切なる願いは、僅かに震えて音となってしまった。
何故声が震えたかなんて、スノウに分かるはずもない。
いや、本当は分かっていたのかもしれない。
孤独を感じてしまい、震えたのかもしれない。
寂しさを感じて、震えたのかもしれない。
本当は────傍にいて欲しいという願いが根底にあるからこそ、震え、願ってしまったのかもしれない。
その願いが、声の震えとして空気を震わせたのかもしれないのだから。
「傍に居なければ、僕がどんな顔をしているかなんて、確認出来ないだろう?」
「……え?」
「傍にいれば、僕はどんな顔もお前に見せられる。どんな姿もお前にさらけ出せる。お前が傍にいなければ……僕は、この世界での生きる意味を見失うかもしれないな。」
「あ…。」
前世での彼の最期。
それを思い出してスノウは口を噤んだ。
瞳を揺らし、険しい顔をさせて目の前の存在を強く抱き締めた。
「……モネなら、もう死んだのに?」
「お前がいる。」
「来世はきっとお互い…〈御使い〉の使命が大変なのに?」
「互いに助け合えばいい。」
「また…君を傷つけてしまうかもしれないよ?」
「僕がお前に負けないくらい強くなればいい。」
「……そっか。」
諦めたようにスノウが言葉を止め、ジューダスへと寄りかかる。
背中に手を回したジューダスがそれを支えれば、スノウの心は暖かくなった。
だからこそ、次の言葉は自然と口から出ていた。
「じゃあ、来世もよろしくね?親友。」
「(親友、か…。)あぁ、任せておけ。」
「来世では、もっと君と穏やかな人生を歩めることを祈るよ。つくづくね?」
「ふん。既に僕達は〈御使い〉として方方を駆け回ってる身じゃないか。それは無理な話なんじゃないか?……まぁ、その意見にはとてつもなく賛同するがな…。」
密着していた体をそっと離した二人は、お互いに苦笑いを浮かべていた。
話題も話題だったからだ。
来世の事を想像して、今と同じか、それ以上に大変な未来を想像出来てしまった。
そう思うと、もう笑うしかなくなる。
「ねぇ、レディ?来世では何かしたい事ある?」
「そうだな…。まずは生き急ぐんじゃなくて、ゆっくり出来る場所でお前と日々穏やかに、そしてゆっくり過ごしたいものだな。」
「ちょっと、レディ。もうそれっておじいちゃんの発言だよ?」
そう言いながら二人は店の外へと出る。
店の店主はそんな二人を微笑みながら見送る。
それこそ、煙草の白い煙を吐き出しながら静かに。
---------------------------------------
一度切ります。
文字数制限め・・・