第一章・第3幕【天地戦争時代後の現代~原作最期まで】
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『ねぇ、スノウ?』
「ん?」
『お帰りなさい。』
シャルティエからそう言われて思わず目を丸くする。
未だに親子仲良く戯れている三人を優しく見守っていた私だったが、あまりにもその優しい声音を聞いてしまえば、視線は静かに彼の方へと移る。
そして彼の言葉に私もまた、笑顔でこう答えた。
「───ただいま、シャルティエ。」
そう伝えれば、僅かに彼から嗚咽の混じった声がしてしまい、苦笑いをする。
……まぁ、彼とは最後妙な別れ方をしたから余計だろうしね?
『良かった……!良かった、ですっ……!!』
「はは。そんなに心配してくれたのかい?嬉しい限りだよ。」
『当然ですよ!! 急に、消えるんですからっ!!』
「ごめんって。まさか、バルバトスに昔の私……モネを、邪魔されるとは思ってなかったんだよ。」
『ほんとっ、よか、った……!!』
「……。」
そんなにも想って貰えるなんて、願ったり叶ったりだね。
シャルティエの泣き声を聴きながら、目を閉じて笑っていると流石にルーティもシャルティエの声に驚いていた様だった。
まるで「そこに居たの?」と言わんばかりの顔をして、ジューダスの方を見ていたらしい。
「……おかえり。」
「うん、ただいま。」
ジューダスの言葉に素直にそう答えれば、彼も笑っていて。
それに私が笑顔で彼の顔を覗き込めば、怪訝な顔をされたのでくすりと笑っておいた。
思えば、3週間もあったというのにそういった言葉は確かに言わなかったな。
まぁ、皆はルーティを引き留めててくれたのだから会う回数も少なく、余計に遅くなってしまったけど……やっぱりこういうのって実際に言われると嬉しいものだな、って改めて感じるよ。
『身体の方は大丈夫なんですか?全身打撲の事もですけど、……やっぱり、消えた事での身体の影響とか…。』
「うーん、3週間経って今の状態なら大丈夫だと信じたいけどね?」
「もし何かあれば必ず言え。……もう目の前で消えるのも、死なれるのも……御免だ。」
「善処しますよ。」
『「 アテになりませんね。 / アテにならん。」』
同時に二人から言われた言葉に可笑しくて笑ってしまう。
そんなこと言われたってなぁ……?
予測出来てたら、そう苦労はしないと言いますか。
私が困った様に頭を掻けば、二人してむくれたような顔をする。(まぁ、シャルティエは不満そうにコアクリスタルを灯しているだけだけど)
取り敢えずその場を収めるために返事を返せば、今度は「適当すぎる」と言われる始末。
……でも、心の底から心配してくれてるのは分かってるから。
だから私は何度もお礼を言うのだ。
仲間である皆と────大切な友へ。
「……さて。私の事で色々と脱線してしまったけれど…。これからどうする?」
私のその問いに、全員が私の方へと視線を向ける。
その視線は不安そうなものから、意に介してないような視線まで様々だ。
そんな中、修羅だけは私に耳打ちをしてくる。
「……正直、原作のへったくれもないが…な。」
「まぁね。だからこそ、これからどうするのかを皆に聞きたい。」
しかし、本当ならば私の事など無ければバルバトスがちゃんと次へのヒントをくれていたはずなのだ。
───“時を越えた先…神の眼の前で待っている”、と。
それが今回バルバトスがモネを狙いに来たのだから、次へのヒントもない状態で皆は次に進まなくてはならなくなってしまったのだ。
だから皆の顔は徐々に曇っていき、頭を悩ませる。
それに修羅と顔を合わせ、どうしたものかとこちらも頭を悩ませていると、ルーティがそんな私たちを見て声を掛けてくれる。
「──そんなに急ぐ場所もないなら、孤児院でゆっくりしていけば? あんた達、昔の私みたいに生き急ぎすぎよ。」
「え、母さん、昔そんなだったの?」
「えぇ。レンズハンターとして、私の名を世界に轟かせたくらいは生き急いでいたわね!」
「……ふん。当時はずっと、がめつかったな。」
「なんか言った?」
「何も言っていないが?」
ジューダスとルーティは相も変わらず仲が悪そうにしているのを見ると、昔ゲームで見ていた光景を思い出すようだった。
……でも、今なら少し違う感想を持つ。
だって、ジューダスは本当の感想を口にしているけど、心の底から本気で言っている訳じゃない。
その証拠に、彼の顔は眉間に皺を寄せているが、非常に穏やかであるからだ。
昔の君達なら喧嘩腰でお互いを警戒していただろうからね。
まぁ……、眉間に皺を寄せてはいるけど穏やかな顔をしてるなんてどんな顔だ、なんて思われるかもしれないけど、それほど二人の間には険悪な雰囲気は無いと知っておいて欲しいな?
「折角だから皆、うちに来てよ!」
そんな二人を見て慌てた様にカイルがそう提案してくれる。
断る理由もないし、少し修羅とも今後の事を話したかったので丁度いい、と私はその場で承諾した。
他の皆も戦闘続きや緊張続きだったのもあり、休憩したいとカイルの提案を呑んでいた。
「じゃあ、行こう!俺ん家に!」
そう言って我先に行ったのをロニが慌てて追いかけていき、それを見たルーティが頭を抱えている。
まぁ、案内役が先に行ってしまったら誰も、彼の家なんて分からないだろう。
「はぁ……全くあの子は…。ああいう所はいつまで経っても治らないのねー…。昔のスタンを見てるようだわ…。」
「まぁまぁ。元気があって可愛らしいじゃないか。」
「そりゃそうよ。私の子だもん。」
「ふふ。」
「それより行くわよ。特にあんた達、」
そう言うとルーティはジューダスと私を指差して、眉間に皺を寄せた。
その表情はやはり隣の彼と瓜二つで──
「逃げたらタダじゃ置かないわよ。」
そう言ってルーティは他の面子を孤児院へ案内していた。
私はジューダスと顔を見合せて、お互いに肩を竦めた。
「お前が恩返しとか何とか言うからだぞ。」
「ふふ。でも、恩返しがしたいとは思ってたから、私にとっては丁度いいよ?」
「………行くぞ。」
苦々しげな顔をしてから彼はルーティの後を追いかけて行った。
私も一度笑ったあと、彼の後を追うことにしたのだった。
○o。+..:*○o。+..:*○o。+..:*○o。+..:*○o。+..:*○o。+..:*+..:*○o。+
「ねぇねぇ!あそぼーよ!!」
「まって!お兄さんはわたしとあそぶの!!」
「ぼくもあそびたい!!」
一気に孤児院の子供たちの人気者になった私は、子供達の視線に合わせるようにしゃがみこみ、笑顔を見せた。
今はこんな格好してるから、どうも子供達は私のことを男だと思っているようだった。
因みに、他の皆は疲れを癒すように各々好きな場所へと向かっていた。修羅も何処かへと行ってしまったので話は出来なくなってしまったが、まぁ後からでも大丈夫だろう。
そんな中、私は恩返しがてら、ルーティに頼まれ子供達の相手をしているという訳だ。
「何をして遊ぶつもりなのかな?」
「おままごと!」
「ちがうだろ!外でチャンバラだよ!」
「……一緒にご本、よんでほしい…。」
「おやおや…。人気者は辛いね?」
しかしこうも願いが違うと、各々満足は出来ないだろうし。
ここは違う提案をさせてもらおうかな?
「ふふ。おままごとやチャンバラも良いけど、私は今日ここに来たばかりだから、折角ならここの事教えてくれないかな?」
「「「わかった!!」」」
そう言うと嬉しそうにして、子供達が勇んで孤児院の中を案内してくれる。
皆に手を引っ張られながらも、私は笑顔を絶やさなかった。
前にリーネ村でも感じていたが、やはりこうして見ると子供とは実に可愛らしいものだ。
年頃のレディ達を相手にするのとはまた違う。
純粋無垢な子供達の相手は、確かに体力を使うけれども……でも、それは子供ならではの愛情表現なのだと分かっているから。
でなければ、こんなに一生懸命になって案内してくれたり、話しかけたりして懐いてくれるはずもない。
……可愛らしいことだね?
「ここが、カイル兄ちゃんとロニの部屋!」
「テストの点数とか隠してんだぜ?」
「旅にでてからは、そのままにしてあるの!」
「……ここが、二人の部屋か。」
原作のゲーム内でもここに何度訪れてテストの点を見せてもらった事か。
そっと中に入れば薄暗く、しかし中は綺麗に整理整頓されていた。
恐らくルーティが、彼らが旅立った後に綺麗にしたのだろう事がその事から窺える。
「おにいさんは頭よさそー!」
「カイルとロニはバカだったしな!」
「おべんきょう、きらいだったから……」
「ふふ……。二人らしいや。」
その後子供達は、次の場所を急かす様に案内してくれる。
洗濯場ではルーティの邪魔をして怒られていたり、台所でつまみ食いをしようとして怒られていたり…。
中々刺激的で楽しい時間を過ごさせてもらっていた。
そんな中、最後に訪れた所は───
「ここは、だれかのお墓!」
「ルーティおねえさんが、たまにきてる。」
……ルーティは、子供達にお姉さんと呼ばせているのか。
流石に彼女の性格からして、“オバサン”は怒られたのだろうな。
「でも、ここに来ると、ルーティねえさん……悲しそう……」
「……。」
それもそうだろう。
だってこのお墓は、彼女の夫でもあるスタンの墓なのだから。
墓石に彫られた名前を見てみても、スタンの名前が丁寧な字で書かれている。
それを見て静かに黙祷をした私に、子供達が不思議そうな顔で見上げていた。
「……きっと、ここに眠ってるのはルーティお姉さんにとって大事な人だったんだろうね?」
「そうなのかなー?」
「だったらおれたちも拝んどこーぜ!」
「えっと……手をあわせて……」
以前ルーティがやっていたのを見ていたのか、子供達もお墓の前で手を合わせ始める。
それを見た私もまた、笑顔でそれを見て同じく手を合わせておいた。
───そんな私達を、遠目でルーティとジューダスが見ていたのを、その時居た私達には知る由もなかった。
「花とか草とかおいとこーぜ!」
「わたし、花つんでくる!」
「ぼくもー」
「じゃあ皆で摘みに行こうか?」
「「「さんせーい!!」」」
キャッキャ言って、走り出す子供達の後を追いかける。
子供達からすると、何処にそれがあるのか分かってるようで、その足は迷いなく何処かへと向かっていく。
道中魔物に注意しながら行けば、クレスタの外れにある場所で立ち止まる。
その場所は森の中だった。
「(流石にルーティに子守りを任されてるとはいえ……こんな所に入ったらタダじゃおかないだろうしなぁ…?それに何人もの子供達を護りながら魔物を退治するのは、私でも中々骨が折れそうだ。)」
「ここの奥にねー?花ばたけがあるのー。」
「すっげえ、キレイなんだぜ?」
「……皆、こんな場所まで来て、ルーティお姉さんに怒られたりしないのかい?」
「「「ひみつー!」」」
「……だよねー…?」
さて、本当にこれは本格的にマズイ事になった。
もしバレたら速攻何かしらの処罰が下されるだろうし、バレなくても何かしらの被害を被りそうだ。
しかし子供達の顔は行くしかない、と言う顔をしているし……どうしたものかね?
「大丈夫だって。ここ、魔物でないからさ!」
「この場所はねー、魔物がまったくいないのー!」
「なんども来たことある!」
「……じゃあ、私と約束してくれるかい?もし危なくなったらすぐに逃げること。そして逃げる時は皆で固まって行動をすること。……いいね?」
「「「はーい!」」」
「(本当に分かってるのかね…?)」
苦笑いをした私の手を引きながら、子供達は森の奥へと進む。
しかし驚くべきは、本当にその森には魔物がいなかったのだ。
探知をしても周りには動物一匹すらかからない。
逆にそれが余計に不気味な気がするのは、気の所為か……。
「ここだよ!」
いつの間に着いていたのか、子供達が紹介してくれたそこは、確かに花畑であった。
管理されているような綺麗さではなく、自然に生えているからこその美しさとでも言えるだろう。
思わず緊張を僅かに解くくらいには、そこは穏やかな場所であった。
それに……何だか神聖な何かも感じた気がして、余計に緊張は解れていく。
「すぅー……はぁー……」
思わず深呼吸をすれば、緑の香りがして。
それと同時に花の柔らかな香りも肺の中を満たしていく。
そして、目の前には可愛い子供達がはしゃぎながら花を摘んでいる姿が見えるのもあり、安らかにならざるを得なかった。
「さて、私も花を摘みますかね…?──────って、うん?」
花畑の中の何処か──何か眩い物が妙に存在を誇示するかのように光った気がして、目的の場所まで歩みを進める。
そこには綺麗に咲いた花の花弁中央に、指輪がそっと置いてある光景だった。
その上、その指輪は私が今している指輪と瓜二つで、もしかしなくとも契約の指輪その物だった。
「これって……」
『……契約の指輪……』
『争いごとが嫌いな彼女らしいわね。』
セルシウスとシアンディームが私の言葉に反応を示し、そう言葉にしてくれる。
それに合わせて私の視線は、花弁の中の指輪にずっと注がれ続けていた。
契約の指輪は大抵、指輪の中央に宝石があしらわれているのだが、今回見る宝石は初めて見るものだ。
完全な青でも、完全な白でもない。
かと言って、オパールのような多色の様な色合いでもないが、それに似た何か……。
見る角度によっては青になったり白っぽさを表した青みになったりと、見るだけでもかなり綺麗な宝石だ。
『主人よ、その宝石はムーンストーンと呼ばれるものだ。』
『そうそう。確かそんな名前だったよねー。』
『ど、どうされるんですか…?それ…。』
「どうしようも何も……精霊本人が認めてくれないことにはどうにも……」
しかし、ブラドフランムが良い助言をしてくれたお陰で、そのムーンストーンの契約の指輪が誰の持ち主かピンと来た。
恐らく……シアンディームの“争いごとが苦手なタイプ”といい、このムーンストーンの宝石といい……この契約の指輪の精霊はルナだ。
という事は、近くにルナが居るはずなんだが…。
「……ルナが見えないね?」
『さっすがにそこまで言ったらバレるよねー。』
『して、主人はどうしたいのだ?契約するなら呼べばよかろう?』
「喚ぶって……まだ契約したわけじゃないし、何か私の前に出て来れない理由でもあるんじゃないのかな?」
『単純に名前を呼べばいいのよ。』
『……きっと、応えてくれる…』
精霊たちがそこまで言ってくれるので、子供達には悪いが大きな声で呼ぶことにする。
「おーい!ルナー!!」
「「「「????」」」」
子供達が不思議そうな顔をして私を見たので、手を合わせて静かに謝っておいた。
しかしそんな私の前に急に風が起こり、目を腕で守れば目の前にルナが現れたのが分かる。
……子供達が興奮してる声がするからだ。
腕を退かせば、そこには月の形をした物体に乗った黒髪の女性が居た。
テイルズオブファンタジアで見たような……というよりそっくりそのままのルナが見えて、私は笑顔でその精霊を見つめる。
『……私が争いごとが嫌いなのは、有名な話のようですね。』
「そうだね。君は人間には力を貸してはくれるけど、積極的に戦闘には出ない精霊だという認識だね?」
『結構……、それでよろしいですよ。』
やっぱりファンタジアの様な話し方なんだなぁ…?
柔らかな見た目と声音に反して、言葉の選び方は多少厳格の様な感じである。
『召喚士スノウ……。貴女は私と契約し、何を成し遂げたいのですか?』
「……精霊と契約をし、純粋に力が欲しい───最初の頃はそう思っていた。でも、今は少し違うんだ。」
『『『????』』』
私の言葉に精霊達も不思議そうな声を出す。
しかしルナだけは違うようで、その柔らかな表情がより一層優しげに変わる。
「今は精霊の皆とも仲良くしたいし、私が世界の神の〈御使い〉として役目を果たす為にも皆に力を貸してほしいんだ。……そう思ったら君たちと契約する理由なんて、キリがないけどね?」
『では、貴女はどう足掻いても運命に立ち向かっていく、と……そう言うのですね?』
「これが運命なのかなんて、ただの人間である私には分からない。でも……それでも、」
私は近寄ってくる子供達を見てしゃがむと一人ひとり頭を撫でてあげる。
嬉しそうに目を細めた子供達に笑顔を向けて、そしてルナにも笑顔を向けた。
「私は、“彼と居たい”んだ。その為に〈御使い〉も頑張るし、運命にも立ち向かう。それが私の答えだ。」
『……。』
あの様子からして、最初からこちらの答えなんて分かっていただろうに、態々聞いてくるなんてズルいね。
ルナは暫く沈黙したが、ゆっくりと目を開けると私の目をじっと見つめる。
逃げてはいけない気がして、私もその瞳を見返せばルナは笑顔を零した。
『……召喚士スノウ・エルピス。私…ルナは、貴女を契約者として認めましょう。』
「ありがとう、ルナ。」
『それからもう1つ、私から説明があります。心して聞いて下さいね?』
「あぁ。」
『私は光の精霊ですが、貴女なら知っての通り…、私の対となる精霊がもう一人居るのはご存知ですね?』
「……アスカだね?」
『えぇ、そうです。』
テイルズオブファンタジアやシンフォニアでもアスカとルナは対となる存在だった。
お互いに光属性なのに同じく精霊として登場したのは、製作者側の設定ミスだ…なんだかんだ言われてきたが、実際の精霊達からするとどうなるのだろう?
『光属性というのは、森羅万象……勿論人にとっても非常に強力すぎる力です。』
「……。」
『その反対も然り。闇属性もまた、人や森羅万象にとって強力すぎる力です。……それでも貴女はその力を手にするというのですね?』
「身を滅ぼすというのなら躊躇するけど、あなたは私と契約をする時にそんな事を言わなかった。争いごとを好まないにしても、優しい性格のあなたの事だ。私に危害があれば絶対に初めに何か言ってくれるだろう?」
『そうですね。では本題と入りましょう。』
前段階が長かったが、一体何が語られるのだろうか?
闇属性のシャドウも何れは契約するだろうし、アスカとも契約をする予定だ。
だからこそ、今ここで聴き逃してはいけない気がしたんだ。
『私たち光属性は、二人で一つ。つまり私だけでは光属性を手に入れたとは言えません。アスカと私があって、初めて光属性の精霊と契約したと言えるでしょう。』
「……なるほど。そう来たか…。」
『逆に闇属性であるシャドウは、その身…単体だけで属性を補完しています。……ですから、人間にとってシャドウとの契約は一番困難だと思われます。』
「ふふ。望むところだよ?もし向こうが契約させてくれるなら、どんな試練でも受けよう。」
『……貴女はお強いのですね。それとも痩せ我慢ですか?』
「さぁ?案外、怖いもの知らずかもね?」
『────召喚士スノウ。貴女の答えを聞き届けました。では、どうぞこれからよろしくお願いします。』
「うん、こちらこそ、よろしくお願いするよ?ルナ。」
そう言って光となって指輪の宝石に吸い込まれるように光が消えていく。
私はそれを右手の中指へと着けると、ムーンストーンがキラリと輝いた気がした。