短編
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あのとき私の思考はどうかしていた。そうとしか考えたくない。朝起きてスマホを開いて驚いた。なんだこの甘い会話は。私も獄さんも疲れてたんだな、きっと。
『今度会えたとき、甘えたいです』なんだこれ。恥ずかしすぎて笑って誤魔化すしかない。スマホをベッドに投げて、朝の支度に取り掛かった。
.
何日か経ったある日、仕事帰りに獄さんの家で会うことになった。
「紬、お疲れさん」
「お疲れ様です、終わるの早かったんですね」
既に獄さんは家着に着替えていた。だいぶ前に帰ってきてたんだな。鞄を置いて上着を脱いでハンガーにかけさせてもらうと、おもむろに近づいてくる獄さん。
「ほら、甘えてぇんだろ?」
「…へ?」
「こないだメールで言ってたじゃねえか、今度会ったときにって」
獄さんのその一言に、冷えきっているはずの顔に一気に熱が集まる。そんなこと、覚えてなくていいのに。
「あ、あのときは恋愛ドラマ見てて、変なテンションになってたっていうか、」
「変なテンションねえ。じゃあお前は別に俺とこういうことしなくてもいいってか」
ふいに腰を抱き寄せられて、体が密着する。ほんのりと香る煙草と香水の混ざったにおい。そして、ずっと求めていた温もりに鼓動が高鳴る。
……すぐにでも、抱きしめ返したい。
「どうなんだよ、紬?」
「っ、!」
獄さんはわざと私の弱いほうの耳に、ささやくように問いかけた。ぴくりと反応してしまっては、反論できるはずもなく。
「……獄さんに、ぎゅってしてほしいです」
そう声を絞り出せば、優しく抱きしめてくれる獄さん。
「お前は甘えんのが下手なんだよ。寒いとか疲れたとか言って抱きついてくりゃいいじゃねえか」
「っ…そんなこと急にしにくいです…」
「俺はお前に甘えられんの、結構好きだけどな」
そう言って顔を覗き込んでくる獄さんの口角は上がっていて。その表情と好き、という言葉に反応して、胸がどくんと跳ねる。滅多に言ってくれないからこそ、不意をつかれると弱い。
「次は何をして欲しいんだ?言ってみろ」
どうせ意地を張っても、反応で見透かされてしまう。
この人の前では素直になるほかない、と悟った。
fin.
『今度会えたとき、甘えたいです』なんだこれ。恥ずかしすぎて笑って誤魔化すしかない。スマホをベッドに投げて、朝の支度に取り掛かった。
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何日か経ったある日、仕事帰りに獄さんの家で会うことになった。
「紬、お疲れさん」
「お疲れ様です、終わるの早かったんですね」
既に獄さんは家着に着替えていた。だいぶ前に帰ってきてたんだな。鞄を置いて上着を脱いでハンガーにかけさせてもらうと、おもむろに近づいてくる獄さん。
「ほら、甘えてぇんだろ?」
「…へ?」
「こないだメールで言ってたじゃねえか、今度会ったときにって」
獄さんのその一言に、冷えきっているはずの顔に一気に熱が集まる。そんなこと、覚えてなくていいのに。
「あ、あのときは恋愛ドラマ見てて、変なテンションになってたっていうか、」
「変なテンションねえ。じゃあお前は別に俺とこういうことしなくてもいいってか」
ふいに腰を抱き寄せられて、体が密着する。ほんのりと香る煙草と香水の混ざったにおい。そして、ずっと求めていた温もりに鼓動が高鳴る。
……すぐにでも、抱きしめ返したい。
「どうなんだよ、紬?」
「っ、!」
獄さんはわざと私の弱いほうの耳に、ささやくように問いかけた。ぴくりと反応してしまっては、反論できるはずもなく。
「……獄さんに、ぎゅってしてほしいです」
そう声を絞り出せば、優しく抱きしめてくれる獄さん。
「お前は甘えんのが下手なんだよ。寒いとか疲れたとか言って抱きついてくりゃいいじゃねえか」
「っ…そんなこと急にしにくいです…」
「俺はお前に甘えられんの、結構好きだけどな」
そう言って顔を覗き込んでくる獄さんの口角は上がっていて。その表情と好き、という言葉に反応して、胸がどくんと跳ねる。滅多に言ってくれないからこそ、不意をつかれると弱い。
「次は何をして欲しいんだ?言ってみろ」
どうせ意地を張っても、反応で見透かされてしまう。
この人の前では素直になるほかない、と悟った。
fin.