短編
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「よう、お疲れさん。大丈夫か?」
「はい、なんとか…」
日本に住んでいたら毎年やってくる台風シーズン。
こうも毎日雨が降られると、本当に参ってしまう。
ただでさえ普段から気圧の変化には弱いというのに、たまったものじゃない。
今日は特に頭痛がひどくて、こうして獄さんが迎えに来てくれている。
「悪い、まだちょっと仕事が残っててな…事務所戻るから、俺の部屋で休んどくか?」
「そうします…」
着いたら起こしてやるから寝てていいぞ、と言ってくれた獄さん。
その言葉に甘えて、シートを倒して目を瞑る。
一週間の仕事の疲労と、隣に獄さんがいる安心感で、しばらくもしないうちに眠りに落ちた。
…
「紬、起きろ。着いたぞ」
週末なだけあって、少し道が混んでいたらしい。普段は10分で着くところが20分かかっていた。
「荷物運んどくからな」
「ありがとうごさいます」
先に車を降りた獄さんに続いて事務所に入る。
あ、またコーヒーマシン変わってる。
頭はぼんやりしているけれど、それだけは目についた。
「コーヒー淹れてくるから、俺の部屋で待ってろ」
事務所の奥の、獄さんの部屋。
獄さんがこだわり抜いて選んだんだと得意気に語っていたソファーに体を沈める。
まもなく獄さんは部屋に入ってきて、コーヒーといっしょに枕がわりのクッションとブランケットも持ってきてくれた。
「俺はあっちの部屋にいるから、なんかあったら呼べよ」
普段の獄さんだったら絶対に作らない、ミルクたっぷりのコーヒー。
しかも来客用じゃなく、獄さんがいつも使っているマグカップ。
それがなんだか嬉しくて、頬が緩む。
コーヒーを飲みながら、部屋の中を見渡す。
なんかウイスキーがある気がするけど、見間違いじゃないよね…
まあ、獄さんらしいけど。
マグカップを置いてソファーに横になると、獄さんがキーボードを打つ音が聞こえてきた。
忙しいのに、申し訳ないな…
今度なにかお礼をしなくちゃ…
…
「紬、終わったぞ」
いつの間にか意識を手放していたらしく、突然の獄さんの声にびくっと反応してしまった。
「はっ、驚かしちまったか?調子はどうだ?」
「だいぶよくなりました。あと、コーヒーありが…っ!」
「甘えな、やっぱ」
いきなり抱き寄せられたかと思えば、すぐ目の前に獄さんの顔と、唇に感触。
「ちょっと、ここ事務所っ」
「俺の事務所だ、何をしようが自由だろ?もう誰も居ねえしな…それとも、誰か居た方がスリルがあって良いってか?」
「違いますっ」
獄さんから離れるようにバッと立ち上がると、なぜか獄さんは楽しそうに笑う。
「そんだけ元気がありゃもう大丈夫だろ。ほら、帰るぞ」
ーーー獄さんが私の手を引く。
家に着く頃には、すっかり体調はよくなっていた。
.
「はい、なんとか…」
日本に住んでいたら毎年やってくる台風シーズン。
こうも毎日雨が降られると、本当に参ってしまう。
ただでさえ普段から気圧の変化には弱いというのに、たまったものじゃない。
今日は特に頭痛がひどくて、こうして獄さんが迎えに来てくれている。
「悪い、まだちょっと仕事が残っててな…事務所戻るから、俺の部屋で休んどくか?」
「そうします…」
着いたら起こしてやるから寝てていいぞ、と言ってくれた獄さん。
その言葉に甘えて、シートを倒して目を瞑る。
一週間の仕事の疲労と、隣に獄さんがいる安心感で、しばらくもしないうちに眠りに落ちた。
…
「紬、起きろ。着いたぞ」
週末なだけあって、少し道が混んでいたらしい。普段は10分で着くところが20分かかっていた。
「荷物運んどくからな」
「ありがとうごさいます」
先に車を降りた獄さんに続いて事務所に入る。
あ、またコーヒーマシン変わってる。
頭はぼんやりしているけれど、それだけは目についた。
「コーヒー淹れてくるから、俺の部屋で待ってろ」
事務所の奥の、獄さんの部屋。
獄さんがこだわり抜いて選んだんだと得意気に語っていたソファーに体を沈める。
まもなく獄さんは部屋に入ってきて、コーヒーといっしょに枕がわりのクッションとブランケットも持ってきてくれた。
「俺はあっちの部屋にいるから、なんかあったら呼べよ」
普段の獄さんだったら絶対に作らない、ミルクたっぷりのコーヒー。
しかも来客用じゃなく、獄さんがいつも使っているマグカップ。
それがなんだか嬉しくて、頬が緩む。
コーヒーを飲みながら、部屋の中を見渡す。
なんかウイスキーがある気がするけど、見間違いじゃないよね…
まあ、獄さんらしいけど。
マグカップを置いてソファーに横になると、獄さんがキーボードを打つ音が聞こえてきた。
忙しいのに、申し訳ないな…
今度なにかお礼をしなくちゃ…
…
「紬、終わったぞ」
いつの間にか意識を手放していたらしく、突然の獄さんの声にびくっと反応してしまった。
「はっ、驚かしちまったか?調子はどうだ?」
「だいぶよくなりました。あと、コーヒーありが…っ!」
「甘えな、やっぱ」
いきなり抱き寄せられたかと思えば、すぐ目の前に獄さんの顔と、唇に感触。
「ちょっと、ここ事務所っ」
「俺の事務所だ、何をしようが自由だろ?もう誰も居ねえしな…それとも、誰か居た方がスリルがあって良いってか?」
「違いますっ」
獄さんから離れるようにバッと立ち上がると、なぜか獄さんは楽しそうに笑う。
「そんだけ元気がありゃもう大丈夫だろ。ほら、帰るぞ」
ーーー獄さんが私の手を引く。
家に着く頃には、すっかり体調はよくなっていた。
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