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2026/07/15 12:28
狩人: 『シャルナークと都会に会あこがれる女』

 「あーあ、行っちゃった」
 振り返るとむかつくニヤケ面のアイツがいた。
 「あんたに関係ないでしょ」
 最悪だ。私はあわてて零れそうになっていたものを乱暴に拭い、やつと反対方向へ歩き出した。
 流星街に道らしい道なんてない。ゴミの中から拾った左右の違うサンダルででこぼこ道を歩くので、皮は自然と分厚くなって汚く醜いまめだらけの足になる。顔がキレイでも、声が美しくても、頭が良くても、ここでは等しくみんなゴミ。生き汚く泥臭く、境界線があいまいなゴミ箱の中の住人。
 なにかの手違いで迷い込んだ、あの人以外は。
 「はは、ひどいなあ」
 「ひどいのはどっちだ。盗み聞きなんてサイテーだ」
 「えー、空気読んで出ないであげたのに」
 やつは、シャルナークはケラケラと笑ってあとをついてくる。今日はいつも以上にうっとうしい。
 普段ならこんなやつ、適当にあしらって追い払うけど今はそんな気力もなくて。
 嗤われていることに我慢ならなくて。
 「余計なお世話よッ」
 とにかくひとりにしてほしくて、私は感情にまかせて拳を振り下ろした。
 「……ふーん」
 ────はずだった。
 私の拳はたやすくシャルの掌に包まれてピクリとも動かない。
 なにが起こっているのかわからなくて、変な話だけど、シャルをすがるように見上げていた。
 シャルはもう笑っていなくて、真剣な顔で空いている手で私の目尻を軽くこする。
 切り傷とまめだらけだと思っていたのに、シャルの手は傷が薄くなって綺麗になってて私の肌を傷つけることはない。
 シャルは小さいころみたいに、不貞腐れた顔でつづけた。
 「じゃあ、もう空気なんて読まなくていいよね?」


 ※あなたにかいてほしい物語
 お題:「あーあ、いっちゃった」で始まり「空気なんて読まないよ」で終わる物語

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