悪天候の悲劇
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――それまでは、ただのジムリーダーとジムチャレンジャーという関係でしかなかった。私はバッジを7つ集めきり、セミファイナルも勝ち上がったチャレンジャー。対して「彼」は一度は私の行手を遮り、そしてもう一度、今度は本気で私を打ち壊すために今まさにシュートスタジアムの真ん中で私と対峙しているジムリーダー。
「…開会式の時の箱入りお嬢ちゃんが嘘みたいだぜ。随分と表情がしっかりしてるじゃねえか」
『…ジム戦の時よりも、さらに頑張って、鍛えてきました…!…き、キバナさん、本気でお願いします。私は貴方の全力を、受け止めて見せます!』
「ハッ、言うじゃねえか。やっぱりお前は初めて見た時から只者じゃねえとは思ってたぜ!…いいぜ、お前が受け止めるって言うならなぁ、受け止めきれねえ位にまで俺様の起こすドラゴンストームを味わってもらおうじゃねえか!」
キバナさんを倒せれば、次に待ち構えるのはチャンピオン・ダンデさん――私が頂点に立つまで、あと一歩、もう一押し。大丈夫、私には頼りになるポケモン達がいる。対キバナさんのためにギリギリまで調整もした。コンディションも比較的ばっちりだ。
ふと、水色のカラーコンタクトを嵌めている方の目にそっと手を当てて目を凝らしてみる。あぁ、「視える」。観客の「赤」が。「橙」が。「黄色」が。まぎれもなく「興奮」と「期待」の色だ。暖色が織りなすコントラストが眩しいくらいまでに綺麗だ。開会式に「視た」ときはあんなに恐ろしかった暖色が今ではきれいに見える。
そして目の前のキバナさんを「視る」。観客の「赤」よりも濃い「紅」。その凝縮された「紅」が翼竜の形を成している。「闘志」だ。血を滾らせているような燃える「闘志」が私に向けられている。キバナさんは本気だ。本気で向けられたその感情が、私はどうしようもなく嬉しかった。「普通の」トレーナーとして見てくれている事に涙がこぼれそうになるが、グッとこらえ、ボールを構える。
リーグスタッフが試合開始の一声を放つ。
「それでは、バトル開始!」
『お願いしますっ、シグレ!』「いくぜ、コータス!」
戦いの火蓋は切って落とされた。しかしそれと同時に、私に起こる悲劇へのカウントダウンも始まっていた事は、ガラルの誰もが知る由もなかった。
「…開会式の時の箱入りお嬢ちゃんが嘘みたいだぜ。随分と表情がしっかりしてるじゃねえか」
『…ジム戦の時よりも、さらに頑張って、鍛えてきました…!…き、キバナさん、本気でお願いします。私は貴方の全力を、受け止めて見せます!』
「ハッ、言うじゃねえか。やっぱりお前は初めて見た時から只者じゃねえとは思ってたぜ!…いいぜ、お前が受け止めるって言うならなぁ、受け止めきれねえ位にまで俺様の起こすドラゴンストームを味わってもらおうじゃねえか!」
キバナさんを倒せれば、次に待ち構えるのはチャンピオン・ダンデさん――私が頂点に立つまで、あと一歩、もう一押し。大丈夫、私には頼りになるポケモン達がいる。対キバナさんのためにギリギリまで調整もした。コンディションも比較的ばっちりだ。
ふと、水色のカラーコンタクトを嵌めている方の目にそっと手を当てて目を凝らしてみる。あぁ、「視える」。観客の「赤」が。「橙」が。「黄色」が。まぎれもなく「興奮」と「期待」の色だ。暖色が織りなすコントラストが眩しいくらいまでに綺麗だ。開会式に「視た」ときはあんなに恐ろしかった暖色が今ではきれいに見える。
そして目の前のキバナさんを「視る」。観客の「赤」よりも濃い「紅」。その凝縮された「紅」が翼竜の形を成している。「闘志」だ。血を滾らせているような燃える「闘志」が私に向けられている。キバナさんは本気だ。本気で向けられたその感情が、私はどうしようもなく嬉しかった。「普通の」トレーナーとして見てくれている事に涙がこぼれそうになるが、グッとこらえ、ボールを構える。
リーグスタッフが試合開始の一声を放つ。
「それでは、バトル開始!」
『お願いしますっ、シグレ!』「いくぜ、コータス!」
戦いの火蓋は切って落とされた。しかしそれと同時に、私に起こる悲劇へのカウントダウンも始まっていた事は、ガラルの誰もが知る由もなかった。