悪天候の悲劇
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
〈キバナside〉
「おいっ!しっかりしろ!!!」
試合の最中だというのに思わずバニラに駆け寄る。観客もこの異常事態に気づき、動揺や悲鳴の声が入り混じるように次々と上がってきた。寄り添っていたイエッサンが俺様に気づき、「どうしよう」と今にも泣きそうといった顔で見つめてくる。
「…スタッフ!急いで止血用のタオルと担架を持ってきてくれ!イエッサン、お前はとりあえずその車椅子をどけてくれるか?」
こんな時こそ、焦ってはいけない。俺様は直ちにスタッフに指示を送った。基本、他人のポケモンはよほどの信頼がないという事を聞かないのだが、恐らく感情を読めるイエッサンは俺様の「本気」を感じ取ってくれたらしい。コクリと強く頷くとサイコキネシスで邪魔になってしまった車椅子を、バニラを少し浮かしてからどかし、折りたたんでいった。片方の手はバニラの手をずっと握ったままで。
それにしてもバニラは何に当たったんだ?原因が近くにないか軽く見まわして探る。あれだけ大きいすなあらしを起こしたためか、あたりはあちこち砂まみれだ。が、すぐに原因は見つかった。彼女の丁度後ろの辺りに転がっている少し大きめの岩の破片。
「これは…」
そう、俺のフライゴンが繰り出した「ストーンエッジ」をバニラのイエッサンが「サイコショック」で砕いた破片だ。恐らく砕かれた後、非常に強い勢いのすなあらしに乗ったまま、バニラに当たってしまったのだろう。すなあらしの風力の勢いのままぶつけられてしまっては破片とはいえひとたまりもないだろう。もし、当たり所が最悪だったら…そう考えるだけでも恐ろしい。結果的にはこれは事故ではあるが、ぬぐい切れないほどの罪悪感がじくじくと俺を襲う。
ふとバニラを見ると女性スタッフが丁度担架でバニラを運んでいくところだった。頭のところにはタオルが敷き詰められ、バニラ自身は固く目を閉じたまま運ばれていく。それを見てより一層罪悪感が猛毒のように俺を蝕んだ。
「バニラ…」
いつまでもスタジアムに居続けたところで対戦相手のいないスタジアムはいても意味がない。運ばれたバニラに続くように俺もスタジアムを後にした。スタジアムには観客のどよめきが未だ響き渡っていた。
「…ファイナルトーナメント決勝戦、今回は近年稀にみる程の激戦だったが、この試合に決着がつくことはなく、激戦であったがゆえに様々な意味で「悲劇」とまでに称される事となった。」(ガラル地方で発行されたニュース記事から抜粋)
「おいっ!しっかりしろ!!!」
試合の最中だというのに思わずバニラに駆け寄る。観客もこの異常事態に気づき、動揺や悲鳴の声が入り混じるように次々と上がってきた。寄り添っていたイエッサンが俺様に気づき、「どうしよう」と今にも泣きそうといった顔で見つめてくる。
「…スタッフ!急いで止血用のタオルと担架を持ってきてくれ!イエッサン、お前はとりあえずその車椅子をどけてくれるか?」
こんな時こそ、焦ってはいけない。俺様は直ちにスタッフに指示を送った。基本、他人のポケモンはよほどの信頼がないという事を聞かないのだが、恐らく感情を読めるイエッサンは俺様の「本気」を感じ取ってくれたらしい。コクリと強く頷くとサイコキネシスで邪魔になってしまった車椅子を、バニラを少し浮かしてからどかし、折りたたんでいった。片方の手はバニラの手をずっと握ったままで。
それにしてもバニラは何に当たったんだ?原因が近くにないか軽く見まわして探る。あれだけ大きいすなあらしを起こしたためか、あたりはあちこち砂まみれだ。が、すぐに原因は見つかった。彼女の丁度後ろの辺りに転がっている少し大きめの岩の破片。
「これは…」
そう、俺のフライゴンが繰り出した「ストーンエッジ」をバニラのイエッサンが「サイコショック」で砕いた破片だ。恐らく砕かれた後、非常に強い勢いのすなあらしに乗ったまま、バニラに当たってしまったのだろう。すなあらしの風力の勢いのままぶつけられてしまっては破片とはいえひとたまりもないだろう。もし、当たり所が最悪だったら…そう考えるだけでも恐ろしい。結果的にはこれは事故ではあるが、ぬぐい切れないほどの罪悪感がじくじくと俺を襲う。
ふとバニラを見ると女性スタッフが丁度担架でバニラを運んでいくところだった。頭のところにはタオルが敷き詰められ、バニラ自身は固く目を閉じたまま運ばれていく。それを見てより一層罪悪感が猛毒のように俺を蝕んだ。
「バニラ…」
いつまでもスタジアムに居続けたところで対戦相手のいないスタジアムはいても意味がない。運ばれたバニラに続くように俺もスタジアムを後にした。スタジアムには観客のどよめきが未だ響き渡っていた。
「…ファイナルトーナメント決勝戦、今回は近年稀にみる程の激戦だったが、この試合に決着がつくことはなく、激戦であったがゆえに様々な意味で「悲劇」とまでに称される事となった。」(ガラル地方で発行されたニュース記事から抜粋)