「千空、あきらちゃんとは最近どうだ？」

「あ“あ？？」

突然そんな事を聞かれた千空は怪訝な表情にした。

宇宙飛行士の訓練をしている白夜は普段は家を空けているが、時たまこうやって千空の様子を見に来る。

「別に可も不可でもねぇよ」

勉強会は特にトラブルも起きずあきらとの仲も良好だ。

あきらは道場の練習もあるので勉強会が終わればすぐに帰宅するし、予定がない時に千空の元へやってくる事はほとんどない。

ほんのときたま時間が空いた時に来るものの、ちゃんと連絡をくれたりするのでそれほど迷惑ではない。

あきらとの関係性と聞かれれば、勉強を教える友達が増えた、と答えよう。

千空はあきらにそれ以上の感情を持ち合わせていないし、向こうも同じ事だ。

そのシンプルな関係が千空によって心地よく一緒にいて落ち着くと最近は思うようになったのだが、これは白夜にも幼馴染みにも伝えていない。

ましてや当の本人など言えるはずもない。

(ったく、白夜のやつ
俺が女子に勉強教えてるだけでうきあがってんな？)

確か杠の時もこんな感じの質問を受けたような気がする。

「期待してるとこ悪いが
そんな関係にはならねぇよ、悪かったな」

「い、いや、別にそんな事思ってたわけじゃあ……」

ハハハとぎこちなく笑っている時点でイエスと言っているようなものだ。

自分は恋愛感情とは更々縁がないとこの時ばかりは思っていた千空だった。