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「おーーーい、一成」
「衛宮、久方ぶりだな」
桜が舞う季節になり、今日は高校の同級生達と一緒に花見会だ。
久しぶりに再開してからかやいのやいの騒ぐ女子組をはは、と苦笑いして俺は一成の隣に座った。
多分このあと虎が大暴れするのでそれを止めるまでは大人しく男子組で花を見守るとしよう。
「全く、突然留学とはな
聞いた時は何事かと思ったぞ」
一言くらいないのか……とぶつくさ文句を言う一成に俺は、はは、と苦笑いをした。
「すまん、一成、ほんと急に決まったもんでな……」
いや、ほんとは留学ではないのだが、ほんとの理由を言えないのでここは留学と言うしかあるまい。
体を失って代わりの人形を探しにいってましたーーーなんて口が裂けても言えない。
ってこの話前にもしたぞ、一成。
よほど何も言わなかったのが勘に触ったのかことあるごとに蒸し返してくるのだ。
勘弁してくれ、と心の中で思ったが、まぁ罪悪感を感じていないわけではないので甘んじて受け入れるとしよう。
「時に衛宮
同じクラスメイトだった五十嵐は覚えているか?」
「……ああ」
それは俺にとって決して忘れてはならない人物の名前だった。
交わした会話は少なく業務連絡程度の関わりしかなかったが。
しかし一成もその女子と仲良かった覚えはない。
「一成そいつと友達だったのか?」
「いや、特に
生徒会の立場上で数回相談を受けて会話したくらいだ」
一成が言うのはその名字が所属する書道部の部費に関する事で度々相談しにきていたらしい。
うちの高校は運動部に多くの予算が組まれていて一成はその状況を改善しようとしていたのは俺もよく知っている。
高校のスローガンなどなど、その名字が手掛けていたとか。
「で、その五十嵐がどうしたんだ」
「2年前の事は覚えているか」
沈黙の末、俺はああ、と答えた。
「その五十嵐だが、2年前から行方不明だそうだ」
約2年前冬木市に起こった大量行方不明事件。
人が一夜にして消え去り、あるいは昏睡するなど連日ニュースになったいた頃を思い出す。
名字はその行方不明者のうちの一人だった。
「最後に会ったのは俺が入院している時だった、ちょうど衛宮が見舞いに来た後だったな」
すれ違った記憶はない。
ちょうどあの時遠坂と屋上で話をしに行ったからだろう。
「見舞いにきてたのか」
「……ああ、どこから噂を聞き付けたのかは知らんがな、……まぁ、世間話をしたくらいだったよ
その時に……やつが手ぶらだったのでな、見舞いの花もないのかとつい小言を言ってしまった」
そして、その見舞いから一週間も経たないうちに名字は行方不明になったらしい。
その行方不明の理由を俺は知っている。
日付からして恐らく影に呑まれたのだろう。
知ってなお、俺は桜を選んだ事に悔いはない。
それが許されることではないと分かっていてもだ。
真相は事を深く知る者だけが知りその他大勢は一生未解決の事件になるだろう。
一成もその一人だ。
柳洞寺多数昏睡や、一成が兄と慕った葛木が何故死んだのかも一成は知ることはない。
魔術に携わる者とそうでない者。
俺が一成に語れる事はない。
と思っていると一成が口を開いた。
「全く、どこまで花を買いに行っているのやら」
「一成」
「……あれからもう2年も経つ
もう生きてはおらんとうすうす分かってはいる
だが、時々ふと思ってしまうのだ
いつかひょっこり現れるのではか、と」
そう言う一成の表情が寂しくもあり、それでいて優しそうに微笑むからか俺は、一成もしかして五十嵐の事が好きだったのか?と聞いてしまった。
一成はびしりと石化したように固まってしまった。
しまった、一成にこの手の質問は禁句だ。
ライダーの魔眼じゃあるまいしすぐに解けるだろうけど。
俺は一成が、ば、ば、馬鹿者!!と怒りだすのを予想したが、実際は。
「……ああ、確かに恋だったのかもしれんな」
と予想外な返答が返ってきた。
「え、ええ!?」
「なんだ、その反応は
もしや俺が狼狽えるのでも期待してたのか?」
「いや、期待ってわけでもないんだが……」
一成がそんな事を言うのがすごく意外で驚いた。
「その割には言いきらないんだな」
「そもそも恋愛を経験した事がないからな
五十嵐に関する感情が恋なのかは分からんが……
あの日から胸がぽっかりと穴が空いているような感覚だ」
一成が胸に手を当てると突然虎の鳴く声が聞こえた。
うわ、なんだ、この虎の咆哮は。って藤姉か。
見事に出来上がっている。
「悪い、一成、ちょっと宥めてくる」
「うむ、生きて帰ってくるのだぞ」
一成……死亡フラグを立てないでくれ……と思いつつ俺は重い腰を上げた。
「衛宮、久方ぶりだな」
桜が舞う季節になり、今日は高校の同級生達と一緒に花見会だ。
久しぶりに再開してからかやいのやいの騒ぐ女子組をはは、と苦笑いして俺は一成の隣に座った。
多分このあと虎が大暴れするのでそれを止めるまでは大人しく男子組で花を見守るとしよう。
「全く、突然留学とはな
聞いた時は何事かと思ったぞ」
一言くらいないのか……とぶつくさ文句を言う一成に俺は、はは、と苦笑いをした。
「すまん、一成、ほんと急に決まったもんでな……」
いや、ほんとは留学ではないのだが、ほんとの理由を言えないのでここは留学と言うしかあるまい。
体を失って代わりの人形を探しにいってましたーーーなんて口が裂けても言えない。
ってこの話前にもしたぞ、一成。
よほど何も言わなかったのが勘に触ったのかことあるごとに蒸し返してくるのだ。
勘弁してくれ、と心の中で思ったが、まぁ罪悪感を感じていないわけではないので甘んじて受け入れるとしよう。
「時に衛宮
同じクラスメイトだった五十嵐は覚えているか?」
「……ああ」
それは俺にとって決して忘れてはならない人物の名前だった。
交わした会話は少なく業務連絡程度の関わりしかなかったが。
しかし一成もその女子と仲良かった覚えはない。
「一成そいつと友達だったのか?」
「いや、特に
生徒会の立場上で数回相談を受けて会話したくらいだ」
一成が言うのはその名字が所属する書道部の部費に関する事で度々相談しにきていたらしい。
うちの高校は運動部に多くの予算が組まれていて一成はその状況を改善しようとしていたのは俺もよく知っている。
高校のスローガンなどなど、その名字が手掛けていたとか。
「で、その五十嵐がどうしたんだ」
「2年前の事は覚えているか」
沈黙の末、俺はああ、と答えた。
「その五十嵐だが、2年前から行方不明だそうだ」
約2年前冬木市に起こった大量行方不明事件。
人が一夜にして消え去り、あるいは昏睡するなど連日ニュースになったいた頃を思い出す。
名字はその行方不明者のうちの一人だった。
「最後に会ったのは俺が入院している時だった、ちょうど衛宮が見舞いに来た後だったな」
すれ違った記憶はない。
ちょうどあの時遠坂と屋上で話をしに行ったからだろう。
「見舞いにきてたのか」
「……ああ、どこから噂を聞き付けたのかは知らんがな、……まぁ、世間話をしたくらいだったよ
その時に……やつが手ぶらだったのでな、見舞いの花もないのかとつい小言を言ってしまった」
そして、その見舞いから一週間も経たないうちに名字は行方不明になったらしい。
その行方不明の理由を俺は知っている。
日付からして恐らく影に呑まれたのだろう。
知ってなお、俺は桜を選んだ事に悔いはない。
それが許されることではないと分かっていてもだ。
真相は事を深く知る者だけが知りその他大勢は一生未解決の事件になるだろう。
一成もその一人だ。
柳洞寺多数昏睡や、一成が兄と慕った葛木が何故死んだのかも一成は知ることはない。
魔術に携わる者とそうでない者。
俺が一成に語れる事はない。
と思っていると一成が口を開いた。
「全く、どこまで花を買いに行っているのやら」
「一成」
「……あれからもう2年も経つ
もう生きてはおらんとうすうす分かってはいる
だが、時々ふと思ってしまうのだ
いつかひょっこり現れるのではか、と」
そう言う一成の表情が寂しくもあり、それでいて優しそうに微笑むからか俺は、一成もしかして五十嵐の事が好きだったのか?と聞いてしまった。
一成はびしりと石化したように固まってしまった。
しまった、一成にこの手の質問は禁句だ。
ライダーの魔眼じゃあるまいしすぐに解けるだろうけど。
俺は一成が、ば、ば、馬鹿者!!と怒りだすのを予想したが、実際は。
「……ああ、確かに恋だったのかもしれんな」
と予想外な返答が返ってきた。
「え、ええ!?」
「なんだ、その反応は
もしや俺が狼狽えるのでも期待してたのか?」
「いや、期待ってわけでもないんだが……」
一成がそんな事を言うのがすごく意外で驚いた。
「その割には言いきらないんだな」
「そもそも恋愛を経験した事がないからな
五十嵐に関する感情が恋なのかは分からんが……
あの日から胸がぽっかりと穴が空いているような感覚だ」
一成が胸に手を当てると突然虎の鳴く声が聞こえた。
うわ、なんだ、この虎の咆哮は。って藤姉か。
見事に出来上がっている。
「悪い、一成、ちょっと宥めてくる」
「うむ、生きて帰ってくるのだぞ」
一成……死亡フラグを立てないでくれ……と思いつつ俺は重い腰を上げた。
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