今日は夢ノ咲学院の一大イベントの日だ。
学院の他生徒のみならず一般客も観客に加わる為夢ノ咲学院は活気づいていた。
各ユニットがライブをする中、紅月もそのうちの１つでかつ今からちょうどライブをするとこだ。
紅月は基本和風のユニットだ。
時に洋風のを纏う時もあるがだいたいは着物の衣装だ。
紅い和服衣装を身に纏い鬼龍は舞台袖に着くと既にメンバーが揃っていた。
「鬼龍殿！」
「待たせちまったな、すまねぇ、旦那、神崎」
「説教したい気分だが……
時間が時間だ、行くぞ」

蓮巳の言葉に二人とも頷き舞台へと足を運ぶ。
紅月の登場にファンは静かながらも声を上げた。
定位置につき鬼龍は音楽が流れるのを待とうとした時、ふと客席を見ると。
その客席の中に、あきらが、いた。
僅かに目を見開き驚く。
あきらも驚いた表情をしていた。
まぁそうだろう、幼なじみが舞台の上に立っていたら驚くだろう。

(アイドル……にゃ興味ねぇだろうしなあ
知らなくて当然か)
あきらがアイドル活動を知っているかどうかだが、反応を見ればわかる。
あきらはポカンと呆気にとられている。
鬼龍は少し口角を吊り上げて懐かしそうに目を和らげた。
まさか、こんなところで再会するとは思ってもいなかった。
曲が始った。
流れる曲は紅月のオリジナル曲「花燈の恋文」
幼なじみを前にして恋愛曲を歌うのはちと恥ずかしいな、と思いつつ鬼龍は華麗に舞った。