「あきらどうにかして解決策を探そう」
「……うん」
自らの死より生を望んだあきらはコクリと頷いた。
元凶……といえばやはり城主だ、あれの命を奪えばあきらは元に戻るかもしれない。
それか説得をーーいや、もう言葉は通じないか。
二人で城主に向き合うと城主は予想外の事態に焦っていた。
洗脳が解けるなんて聞いていない。(正しくは解けかかっているだが)
感情が抑えきれず城主は絶叫した。
ビリビリと空間が震え城全体が揺れる。
その時城主の胸元にある巻物がおぞましいほどに赤い光を放った。
「ーーーっぐおおお！！！」
縛っていた紐を破り体は変貌をとげていく。
ぐぐ、と筋肉が膨張し小柄であった城主はみるみるうちに大男になった。
寸法3m以上……だろうか、天井にまで届こうとしている。
いわば体増強剤を打っているようなものだ、しかしここまで変貌するのは無理だ。
「…………ころ、コロシテヤル」

「来るぞ！！」
留三郎のかけごえと共に大きな手は軽々と壁を破壊し瓦礫を投げつけてくる。
(っ、避けられない……！！)
あまりにも投げるスピードが速く条件反射が追い付かないと思った留三郎をあきらが抱えた。
あれに当たれば即死だ、全神経を使い留三郎を抱えて逃げる。
今のあきらも人間を越えているせいか避けるのは容易らしい。
留三郎を下ろすと留三郎は不満そうに溜め息をついた。
守ると言った途端守られるのはしょうにあわない。
「はあ、くそ情けねぇ」
「留三郎文句は後で聞くから」
「ったく分かったよ！」

避けれるのは分かった、それはいい。
問題は攻撃手段だ、あの手は危険だ……さっきの壁を破壊した握力は絶大なことを意味している。
あの手に触れないようどうにかして攻撃しないと……と考えつつあきらは苦無を城主の喉元目掛け投擲した。
しかし苦無は刺さるどころか傷一つつけていなかった。