第三章
夢小説設定
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城主が叫んだ瞬間あきらはがくん、と糸が切れたように膝をついた。
バクバク、と鼓動が大きい、自分の体が自分でない物に変わるような感覚。
はあはあ、と大きく息をしてあきらは忍術学園から去る少し前の出来事を思い出した。
『一つ聞くけどあきらちゃんって本当に怪しげな術とかは使えないんだよね?』
確かめるように伊作に問われあきらは頷く。
生まれてこのかた、この世界にやってきてからもそんな異変は起きたことはない。
試しにこっそり練り物が嫌いな土井先生に練り物が好きになれーなんて念じてみたがやはり土井先生は練り物が嫌いなようで食堂のおばちゃんに怒られていた。
身体能力も普通、もちろん訓練するようになって向上はするけれど人間離れした能力なんてない。
そう伝えると伊作は良かったと言う。
でも……と伊作は不思議そうに考えて呟く。
『なんであきらちゃんだけなんだろう』
がくんと崩れ落ちるあきらを見てか伊作が駆け寄ろうとしている。
どこか痛めたのか、と判断したのだろう。
でも俺は何か嫌な予感がしてーー
「伊作!!!!待て!!」
「!?!?」
鬼気迫る様子を感じ取ったのか伊作は足を止めた。
「何か様子が変だ」
「僕は特に感じないけど……」
あきらは崩れ落ちたまま微動だにしない、こちらが声をかけてもピクリとも動こうとはしなかった。
「気を失ってるかもしれない、手当てしないと……」
「近づくな!伊作!」
「っ、どうしたのさ、留三郎!」
自分でもわけが分からない。
今まで掛け替えのない大切な存在なはずなのに。今でもそれは変わらないのに何故かあきらに近づくのが怖い。
よく知っているからこそ今のは何か違うモノになっている気がして。
そしてその時はやってきた。
抗おうとする自我を封じ込んでそれは動き出す。まずはこの場にいる人間の排除からだ。
項垂れていたあきらが身を起こす。
そして眼で5人を貫いた。
突如留三郎はどくんと何かが通り抜けるのを感じた。
しかし妙な身震いを起こしただけで体は何ともない、とほっと息をつくとふらりと隣に立っていたはずの伊作が倒れた。
「伊作!?」
慌てて支えると伊作は意識を失っている。
幸い脈はあるし呼吸もしている。
そして次々に文次郎、仙蔵、小平太、長次……とどさりと床に倒れていく。
(どうなってんだ!?)
こんな急に5人全員が倒れるなんて変だ。
留三郎は伊作を戦闘の邪魔にならないように壁付近に移動させようとして留三郎は首筋にヒヤリと悪寒が走った。
「っ!!」
キイン、と軌道をそらして凶器は留三郎の頬を掠めていく。
チリ……と頬に痛みが走り武器で相手の苦無を弾きとばす。
弾かれたことで相手は留三郎から距離をとった。
出血した部位をぐい、と拭い警戒する。
「……なんでだよ」
ギリ……と歯をくいしばり留三郎は相手を見据えた。
相手は何も言わない、ただこちらに殺意を向けるのみだ。
それ以外に感情はなかった。
人間らしい表情も何もない、そこにいるのは目の前にいる者を排除する殺戮人形だった。
「……あきらっ」
脳内に木霊する言葉にあきらの意識は重圧された。
危機を目の前にした城主の命令はただ一つ忍たまの殲滅だった。
それに抗うことも出来ず意識が段々塗りつぶされていく、自分が自分でなくなっていく。
目の前にいる人達の認識が変わっていってカチリと何かがクルリと入れ替わった。
そしてあきらではない者は一つ思った。
制圧出来たもののこれは不完全だ。
この場にいる一人の人間の影響で完全には切り替えることが出来ない。
その者を消さないとあきらという人格は消えないだろう。
そしてそれを意味するのは戦闘においてブレーキがかかるということだ。
一対一ならさほど問題はないがあの人数を前にして真正面から全員を相手にしては不利だ。
と判断したナニかはまず原因である人間以外を、眠らせることにした。
そうしてあきらが一番大切にしている者を消した後、順番に潰せばいい……と。
バクバク、と鼓動が大きい、自分の体が自分でない物に変わるような感覚。
はあはあ、と大きく息をしてあきらは忍術学園から去る少し前の出来事を思い出した。
『一つ聞くけどあきらちゃんって本当に怪しげな術とかは使えないんだよね?』
確かめるように伊作に問われあきらは頷く。
生まれてこのかた、この世界にやってきてからもそんな異変は起きたことはない。
試しにこっそり練り物が嫌いな土井先生に練り物が好きになれーなんて念じてみたがやはり土井先生は練り物が嫌いなようで食堂のおばちゃんに怒られていた。
身体能力も普通、もちろん訓練するようになって向上はするけれど人間離れした能力なんてない。
そう伝えると伊作は良かったと言う。
でも……と伊作は不思議そうに考えて呟く。
『なんであきらちゃんだけなんだろう』
がくんと崩れ落ちるあきらを見てか伊作が駆け寄ろうとしている。
どこか痛めたのか、と判断したのだろう。
でも俺は何か嫌な予感がしてーー
「伊作!!!!待て!!」
「!?!?」
鬼気迫る様子を感じ取ったのか伊作は足を止めた。
「何か様子が変だ」
「僕は特に感じないけど……」
あきらは崩れ落ちたまま微動だにしない、こちらが声をかけてもピクリとも動こうとはしなかった。
「気を失ってるかもしれない、手当てしないと……」
「近づくな!伊作!」
「っ、どうしたのさ、留三郎!」
自分でもわけが分からない。
今まで掛け替えのない大切な存在なはずなのに。今でもそれは変わらないのに何故かあきらに近づくのが怖い。
よく知っているからこそ今のは何か違うモノになっている気がして。
そしてその時はやってきた。
抗おうとする自我を封じ込んでそれは動き出す。まずはこの場にいる人間の排除からだ。
項垂れていたあきらが身を起こす。
そして眼で5人を貫いた。
突如留三郎はどくんと何かが通り抜けるのを感じた。
しかし妙な身震いを起こしただけで体は何ともない、とほっと息をつくとふらりと隣に立っていたはずの伊作が倒れた。
「伊作!?」
慌てて支えると伊作は意識を失っている。
幸い脈はあるし呼吸もしている。
そして次々に文次郎、仙蔵、小平太、長次……とどさりと床に倒れていく。
(どうなってんだ!?)
こんな急に5人全員が倒れるなんて変だ。
留三郎は伊作を戦闘の邪魔にならないように壁付近に移動させようとして留三郎は首筋にヒヤリと悪寒が走った。
「っ!!」
キイン、と軌道をそらして凶器は留三郎の頬を掠めていく。
チリ……と頬に痛みが走り武器で相手の苦無を弾きとばす。
弾かれたことで相手は留三郎から距離をとった。
出血した部位をぐい、と拭い警戒する。
「……なんでだよ」
ギリ……と歯をくいしばり留三郎は相手を見据えた。
相手は何も言わない、ただこちらに殺意を向けるのみだ。
それ以外に感情はなかった。
人間らしい表情も何もない、そこにいるのは目の前にいる者を排除する殺戮人形だった。
「……あきらっ」
脳内に木霊する言葉にあきらの意識は重圧された。
危機を目の前にした城主の命令はただ一つ忍たまの殲滅だった。
それに抗うことも出来ず意識が段々塗りつぶされていく、自分が自分でなくなっていく。
目の前にいる人達の認識が変わっていってカチリと何かがクルリと入れ替わった。
そしてあきらではない者は一つ思った。
制圧出来たもののこれは不完全だ。
この場にいる一人の人間の影響で完全には切り替えることが出来ない。
その者を消さないとあきらという人格は消えないだろう。
そしてそれを意味するのは戦闘においてブレーキがかかるということだ。
一対一ならさほど問題はないがあの人数を前にして真正面から全員を相手にしては不利だ。
と判断したナニかはまず原因である人間以外を、眠らせることにした。
そうしてあきらが一番大切にしている者を消した後、順番に潰せばいい……と。