再び地面に倒れあきらは呻いた。
両手を広げ握っていたはずの苦無は既にない。
視線を上に向ければ仙蔵がこちらを見下ろしている。
その目は冷たい……というより無感情だ。
正直もう力は残っていない。
「…………何か言うことはあるか」
それは最後の宣告だったのだろう。
ここで諦めるなら許してやってもいい、と。
ああ……ごめん、言って許して貰えるならどんなにいいだろう、でも私はその領域をこえてしまった。
自ら彼らを裏切った私に命乞いなど許されるべくもないのだから。
「……ない、とどめをさすならさっさとしろ」
「そうか…」
仙蔵は小さく、お前はそういうやつだったな、と言うと苦無を私の首めがけて振り下ろした。


苦無が降り下ろされるのをただ呆然と眺めていると突如天井の方から凄まじい爆発音が聞こえた。
爆発音と共に爆発によって天井の木屑等が降り注いでくる。
「なっっっっ、誰だ！？
室内でばんばか爆発させているのは！？」
身の危険を感じ慌てて仙蔵は飛び退いた。
飛び退くこと数秒自分が先ほど立っていた場所には爆発により生じた瓦礫が積み上がっている。
一つだけの爆発だけではなかったのか天井は穴が空いている。
「仙蔵！！大丈夫か！？」
振り返るとそこにいたのは先にいかせたはずの文次郎だった。
「おいなんで戻ってきてるんだ」
「爆発でお前が心配だったら戻ってきたに決まってんだろう！」
はあ……と溜め息をついて仙蔵は瓦礫に目を向ける。
「そういや仙蔵あきらと戦ってたよな……？」
「…………」
仙蔵は瓦礫から目を離し文次郎が来た道を歩き始めた。
「おい、仙蔵、」
文次郎は瓦礫に視線を向ける。
…………まさか、この下に。
「仙蔵！！！」
答えない級友に文次郎は怒りの声を上げる。
「なんだ、文次郎
瓦礫なんぞ見てないで急ぐぞ」
「お前……！！仮にも仲間だった奴が埋まってんだぞ！！」
仙蔵ははあ……と溜め息をついた。
「私は一言も、あきらが埋まっている、とは言っていないが？」
「え？」
「私も逃げるので精一杯だったからな、あいつを助ける時間は無かった
……が、瓦礫で埋まる寸前もう一人、現れた」
仙蔵はやれやれ、と笑う。
「全く悪運が強いものだ」
仙蔵達と同じ深い緑色の男。
それは誰かなんて考えるまでもない。