明日出発するまで各自待機となった忍たま達は各々の部屋に戻った。
明日に向けて武器の調整をしなければ……と思った留三郎だったがまだ心境は暗いままだ。

「留三郎ちょっと話があるんだけど」
伊作は声を潜めた。
「多分ソザナイタケ城には色んな忍の者が集まってくると予想するけどその中に多分タソガレドキもいると思う」
「そりゃそうだろうな」
「そして……その中にあきらちゃんもいるはずだ」
あきらと聞いて留三郎は表情を強張らせる。
戦う心構えでもしろ、というのか。
「留三郎は……城に入ったらまずあきらちゃんを探してほしい
出来れば他の忍たまよりも早く接触するんだ」
「……してどうしろってんだ」
「あきらちゃんを連れて逃げて」
「……はあ！？」
思わず声を大きくした留三郎に伊作は静かにするように手だけで合図する。
「僕はともかく他の忍たまが発見でもしたら戦闘になりかねない
あきらちゃんが大人しく退いてくれるかどうかは分からないけど……
でも無条件で彼女の味方になれるのは留三郎だけだ」
「伊作…………」
「今度こそ生きてほしいんだろ？」
「っ、」
前世では既に留三郎がどうこうしてもあきらは助かることはなかった。
忍術学園に着いたときにはもう既に手遅れで。
もう、あの時のような思いはしたくないと留三郎は拳を握りしめた。

「ああ、分かった」
「良かった、じゃあ早く寝ないとね」
伊作がいそいそと布団に潜り込んだのを見て留三郎も布団に入った。
(何としても守ってみせる)
留三郎は固く決意を胸にした。