「思い出した？留三郎」
昨日の事を思い出した留三郎は血の気が引いていくのを感じ立ち上がった。
「まさか連れ戻す……なんて言わないよね？」
「っ……」
伊作の冷ややかな視線が突き刺さる。
「その通りだ、伊作
いつもは甘いお前だがたまには言うじゃないか」
「仙蔵」
仙蔵だけではない、他の六年達も集まっていた。
留三郎はぎゅっと拳を握りしめる。
「お前ら覚えてねぇのかよ！！」
留三郎は他の五年に思い出した全てを打ち明けた。
「ええとあきらちゃんは前世では忍術学園のくのたまで僕らと一緒に忍術を学んでた仲間……っていうことなのかな」
「そうだ！！何も覚えてねぇのかよ！」
伊作は周りと顔を見合せるも周りも同様に口を閉ざした。
「大方あれに操られているのだろう
適当に聞き流せ」
「てめえ！！仙蔵！！！」
留三郎は仙蔵に掴みかかる。
あわてて伊作が止めようとしたのだが仙蔵はそれを制止した。
「あきらが以前仲間だろうとしても今は関係ない
今重要なのはあきらは我々を裏切ってタソガレドキについた……という事だけだ」
「っ、それは……何か理由があるかもしれないだろ」
「なら私達に何も相談せず行ったことについて説明をしてもらいたいな」
それだけは覆せない。
留三郎は掴んでいた手を離した。
「留三郎、今後あきらに遭遇したら我々は敵と見なして交戦する、いいな」
「……ああ、分かった」
と言うが留三郎は歯を食い縛り顔を伏せた。

「それと学園長からお呼びだ
例の密偵が見つかったそうだ」