あれからどれくらい月日が経っただろう。
何年、何十年経ってもあの少女の事が忘れることが出来なかった。
目を閉じれば過ごした思い出がよみがえる。
もう一度、お前に会いたいーー


はっ、と留三郎は夢から醒めた。
「俺は…………」
勢いよく布団から飛び起きるとなぜか体が痛んだが構わない。
それよりも、今はとにかくあきらに合わなければ。
今までどうして忘れていたのか。
「留三郎、ちょ、どうしたんだい」
「思い出したんだよ！！！あきらのことを！！
会ってーー」
留三郎は伊作に掴みかかった。
どう見ても混乱している。

「昨日の事覚えてないの？」
「昨日…………？」
昨日は確かそう、夜にタソガレドキが襲来して……それで…………

「あ…………」
そして、あきらは…………
タソガレドキに連れ去られてしまった。
留三郎は抱えられたあきらを取り返そうとして、あきらに手を拒否された。

『…………ごめん』
思い出した留三郎は膝をついて悲しみにくれた。