「だが、お前たちこの策は一時的な打開策でしかないという事を分かっているだろうな？」

「それってどういう事だよ、仙蔵」

せっかく協力する雰囲気になっていたのに
急になんだと留三郎は理由を聞いた。

「天女が居続ければ、新たな天女は降ってこない
だが、天女が不慮の事態で命を落としたらどうする？
事故じゃなくても病や寿命の問題もある
そうすれば、また最初からやり直しになるだろう」

そう、これは問題を解決したわけではない。

問題を先送りにしただけなのだ。

「そんなの……
じゃあ他にどうしろっていうのさ！」

これでは堂々巡りだと伊作は嘆いた。

「そうだ！！
天女をこの忍術学園に送ってるやつを倒せばいいんじゃねぇか！！！」

「留三郎……バカなの？」

真顔で淡々と言う伊作に留三郎はショックを受けた。

「そんな雲を掴むような案出されても……
だいたいそんな人どこを探せっていうのさ」

「く、雲の上とか？」

「まさか、神様が落としてるっていうの？ますます手出し出来ないじゃん」

二人の言い合いに仙蔵が咳払いをして止めた。

「まあ、方針は合っていると思うぞ？」

それを聞いて留三郎が調子に乗る前に仙蔵が続けて話す。

「だが、現時点でそんな人物のような情報は全く入ってきていない
とりあえずはこれまで通り学園生活を送り手掛かりを探す所からだな」

「じゃあ具体的にどうするんだ？」

文次郎の問いに仙蔵はクスリと笑った。

「そんなもの、落ちてきたやつに聞くしかないだろう」