学園長のいる庵まで案内されたあきらは庵の中に入った。

既に先生方や学園長が部屋の中にいたが……

(く、空気が重い……というか先生からの視線がとても痛い……仙蔵からはあんなに歓迎されたのに…とはいえあの笑顔は裏のある笑顔だから、
そこは腑に落ちない所だけど……)

「ワシが忍術学園の学園長じゃ、ささ、天女さまはようこちらへ」

あきらは学園長の前に座り、自己紹介をした。

「あ、ありがとうございます。私は五十嵐あきらです。」

「所で天女さまは妙に落ち着かれているようじゃが、忍術学園を知ってるのかの？」

「え、ええ、ここがどんな時代であるかも分かっています」

「ふむ……天女さまはやはりてれびとやらで知ってるようじゃな」

やはり学園長は私の事を覚えていないようだ。だけど、前世の事を言っていいのか迷う……でも天井裏に何人か監視しているから、やめといた方が良さそうだ。

それよりも……

「あの、学園長。もしかして私のような人がここに来たんですか？」

「そうじゃ、最初の天女さまが、自分のいる世界ではわしたちが
物語の登場人物として、存在していると言っていたのぉー。
最初は信じられんかったが、本を見せられてびっくりしたわい」

「そう、ですか…所で何故天女と呼ぶんですか？」

「それは、前の天女さまが自分は天女だと言ったからと、同じような所から来た物は皆天女と呼ぶようにしとる、もちろん呼び方が嫌だったら、変えてもらってもよいぞ？」

「では、五十嵐でお願いします……」

「では、五十嵐さん、この忍術学園で働いてみないかの？
住み込みも含めてじゃ。
物知らずの少女がこのご時世に１人で暮らして行けるとは思えんからの、どうじゃ？」

「では、お言葉に甘えさせて頂きます」

「では、仕事は事務員と雑用を頼むぞ、山本先生部屋への案内を」

シナ先生が立ち上がったので、あきらは学園長に礼をして先生についていった。

案内されたのは、忍たま長屋の外れの部屋だった。

「ここが貴方の部屋よ、
着替えは押し入れの中にあるわ
何か困った時は私の所に来てちょうだい」

「あの、シナ先生、ここ忍たま長屋ですよ？
くのたま長屋と間違えてませんか？」

女子が男子長屋に住むのは駄目じゃないだろうか。

しかしシナ先生は悪人を見るような目つきで厳しく言い放った。

「いいえ、間違えてなどおりませんよ、
そうやって興味がないふりをするのはやめなさい、もう分かっていますからね」

淡々と言ってシナ先生は去ってしまった。

仕方なく私は部屋に入って、事務員の服を着た。

(ここに何が起きたんだろう……みんな何かしら取り繕ってはいるものの、敵意を感じる……今も監視されてるし……)

うだうだと考えてもしょうがないのであきらは寝ることにした。

そしてあきらの新たな忍術学園での暮らしが始まった……