「町に行きたい」


突然小平太が言い出したのを周りは無視した。


「町に！！！！遊びに！！！！
行きたい！！！！！！！」

無視されて怒ったのか伊作の耳もとで大声で怒鳴っている。

突然耳もとで大声を出され気を失った伊作を留三郎が支えた。

「小平太、それは私たちも同じだ
しかし、我々は現在学園長からあきらの護衛を任されている
そう、容易に遊びになどいけないことは分かっているのだろう」

仙蔵に諭された小平太は思い付いた！と手を上げた。

「じゃあ！！！
あきらも一緒に出かければいいじゃん！！！」

「そういう問題ではない！！！！」

「あきらはあらゆる城から狙われている、そんな状況で町になんぞ出かけたらそれこそ敵の思うツボじゃないか！！」

説教された小平太はぶーぶーふてくされている。

「最近は授業受けてるから大丈夫じゃね？」

「小平太、それはあくまでも護身術を教えているだけだ…………」

あきらは文次郎、長次、留三郎から自分の身を守る為、護身術を習っているがいざ敵に襲われた時に対応出来るかと言うと否だ。

「とはいえ、上達具合はすごいんだかなあ……」

「じゃあ、やっぱ遊びに行くの無理？
はあ～～～～」

仙蔵はやっと諦めてくれたと安堵したが、ふとある事を考えついた。

「待て、もしかすると
あきらも一緒に行けるかもしれんぞ？？」

どうやら仙蔵は策を思いついたようだ。

「と言うわけで……、これから町に出掛けるぞ！！！！！」


突然小平太に言われたあきらは呆れた。

「は？何言ってんの？お前？」

あきらは今がどうゆう状況か分かって言ってんのか？と言わんばかりに睨みつけている。


「それは、我々も承知の上だ。
もちろん、対策は考えてある」

「へーー、じゃあ、教えてよ仙蔵」

分かったと仙蔵は返事をすると、風呂敷を広げ、中身をばっと広げた。


「あきら、これから男装をするぞ！！」

(あーーーーー、そういう事か
嫌な予感しかない……)


「男装すれば、印象を変えれるし
敵が狙ってるのは女だからな
まさか男装しているとは誰も思わんだろう」

「悪いけど、それは無理
護衛は5年とかに任せるとかして6人だけで行ってきなよ」

「しかし、他の学年は任務中でな……
学園長に許可を貰ったのも一日しかない」

「何だ、あきら変装嫌なのかよ」

留三郎につんつんつつかれあきらは困った。

「いや、別に嫌とかじゃないけどさ……」

男装することは別に嫌ではない。
嫌ではないが……。
色々面倒な事が前世で多々あり、そして今回も同じような事が起こる予感がある。

(まぁ、こいつらが自由に町に行けないのも私のせいか
しょうがないか)

「はぁ、分かった
その代わり後悔しないでよ」

あきらがいい放った言葉に六人は首を傾げたが後程意味を理解するのだった。