次の日の朝、いつもと同じ時間に食堂に行くと、既に留三郎は朝食を食べていた。

あきらは挨拶しようとしたが、留三郎はこちらに気付くとささっと食べ終わって食堂を出ていってしまった。

(やっぱり、怒ってるよね…………
昨日から避けられっぱなしだ)

あきらは留三郎を追いかけようと迷ったが、
また無視されたら……と考えると気が重くなり止めてしまった。


あきらは朝食を口に運びながら考えていた。

(力強くで止めるしかなかったとはいえ、やっぱ殴って気絶させるのは無理があったな
昔と今は状況が違うんだから……)

ぐだぐだ考えていると、目から涙がこぼれそうになるので、急いでご飯をかっ込みあきらは食堂を出た。

「おばちゃん、ごちそうさまっ」

食堂から出ていくあきらを食堂のおばちゃんは心配そうに見つめて、朝食を食べていた伊作に様子を聞いた。

「ねえ、善法寺くん、あきらちゃん今朝から元気がないけど、大丈夫？？
あきらちゃんにどうしたのって聞いたんだけど、何でもないですって何も教えてくれないのよ」

伊作はおばちゃんに後で理由聞いときますねと伝え、食堂を後にした。


(多分十中八九留三郎が原因だな……
昨日の委員会の後からすこぶる留三郎の機嫌が悪い……
悪い方向に向かないといいんだけど……)

伊作は今にも雨が降りだしそうな曇り空を見上げて思った。