あきらが落ちた所は忍たま長屋の近くだったため、その周辺には
忍たま達がおり落ちてきたあきらの様子を伺っていた。


視線に気付いたあきらだが、動こうとする前にすぐさま首に苦無を
突き付けられて体を強張せた。

事態についていけないあきらに後ろから声をかけた男が一人。


「動くな、少しでも動いたらその首をかっきるぞ」

(！？、せ、仙蔵！？)

苦無を突き付けたのは前世で友だった仙蔵であった。

姿は見えないがこの声は仙蔵の声に違いない。

「貴様は誰だ、何処から来た？答えろ」

苦無を突き付けられている事に動揺しているあきらだったが、何とか声を振り絞って答えた。

「……信じてもらえないと思いますが、こことは別次元の日本の平成時代から来ました。名前は五十嵐あきらといいます。」


仙蔵は返答を聞くと苦無をしまい、にこりと笑った。

「やはり、天女さまでしたか。お会い出来て光栄です。」

その笑顔にあきらの背中に悪寒が走り思わず顔が引きつる。

仙蔵とあきらは友というか仲間ではあるもののお互い異性として意識した事は全くなく
先ほどの満面の笑みなど目の前で見た事はない。

よそ者に対する笑顔というか営業スマイルだ。

(てかそんなことよりもこいつ、天女って言った？)

「あ、あのー聞き間違えでなければ、さっき、天女って言いました？」

「えぇ、言いましたよ？天女さま」


見たくもないセンゾウのさわやかスマイルの攻撃！！
あきらに1000のダメージ！！効果はテキメンだ！！

「うっっ」

そんなあきらに仙蔵が心配したのか声をかけた。

「どうされましたか？天女さま、何やら顔色が……」

「だ、大丈夫です、それよりどうして天女なんて呼ぶんですか」
私は仙蔵に抗議した。

「何を言ってるんですか？当たり前の事でしょう？」

まるで話が通じない。

あ、あれかな、いつもの湿り気コンビできっと頭がばぐってるんだ、違いない。
……いや、仙蔵の頭がイカれてるのは元々か……
と、考えていると、仙蔵が口を開いた。

「天女様、学園長から話があるそうなのでこちらへ」
「あ、はい。分かりました」

学園長の元へと向かう途中あきらは呟いた。
「まさか、本当に来れたとはなぁ……」
まさに願い通りだ。

その呟きを前方を歩いていた仙蔵が睨みを効かせていたとは知らないあきらだった……