「伊作は離脱したが、体力トレーニングは引き続き行う」
あきらに合わせて裏裏山まで走るらしい。

(今の体力でどこまで行けるかな…………
正直最初でダウンする気がする)

あきらは自嘲気味に笑った。



走り始めてしばらく経っただろうか、
あきらは既に息が上がっていた。

(まだ裏裏山には程遠いのに、もう苦しい、
こんなに体力落ちてたなんて……)

「もう、こんな息上がってんの？？
思ったよりもお前体力ないんだな！！！！」

小平太ががハハハハと笑いながら後ろから、
あきらを追い抜かし爆走していった。

(ちょっと待て、先に行ってるはずの小平太なんで私の後ろからきたの？？)

「うわ、小平太もう一周し終わったのかよ」

あきらと平行しながら走っていた留三郎
(当然だが全く疲れてる様子はない)のつぶやきを聞いてあきらは悟った。

(あーなるほど、もう裏裏山までついちゃった
から忍術学園に戻ってもう一回走ってんのか
相変わらず体力バカだな、あいつ)


そしてあきらは裏裏山まで辿り着けず、途中でギブアップしてしまった。

肩で息をして疲れている様子を見て、留三郎は
「あきら大丈夫か？」

と聞き、竹筒を渡した。

あきらはありがとうと礼を言って、竹筒の水を飲み干した。


「はあ、疲れた…………」

「おう、じゃ、忍術学園行って飯食おうぜ
腹減ってるだろ」

うん、と返事したあきらだったが、今いる場所から徒歩で帰らないと思うとちょっと気が重い。

すると、留三郎があきらに背を向けてしゃがんだ。

「疲れてんだろ？ほら、おぶってやるから
乗れよ」

「えっ、いや、いいよ」

あきらは恥ずかしいので断ったが、留三郎が
なかなか引き下がらないので仕方なくお言葉に甘えることにした。

「ごめん、留三郎も疲れてるでしょ」

「あ？いや、こんな距離いつものトレーニングに比べたら軽いしな
今日は全然疲れてねーから気にしなくてもいいぞ」

(全然疲れてないか、昔は結構張り合って鍛練してたけど、私はこんなに無力になってたのか)

あきらは落ち込むと同時に自分に対して苛立ちのしていた。

一方的留三郎は別の事に気をとられていた。

(さっきから何か背中に柔らかいものがあたってんだけど……………………
これはももももしかして、おっ…………
あきらの胸！？！？！？
触ったことねえから分かんねぇ！！)