過去編
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桶の温くなった水を棄て冷たい水と交換する。
空を見上げれば自分の心のように暗く澱んでいた。
このままでは駄目だと伊作は両頬をぺちんと叩いた。
(そうだ、くよくよしてどうする)
僕までめげたらお仕舞いだ。
しっかりしなくては。
(あきらちゃんも頑張ってる)
「っと、時間空きすぎたかな」
今は留三郎が診てくれているけど……。
そろそろ戻らなきゃと思い保健室の襖を開けて伊作は入れ換えたばっかりの桶をガタンと落とした。
「嘘……」
留三郎の手に握られた手は既に力を失っていた。
「伊作、さっきな………逝っちまった」
パタパタと床に水が滴った。
そんな、と思うと同時に自分がどこか
助からないだろうと胸のどこかで悟っていた。
(ごめんね、あきらちゃん)
出来る事はしたのだ。背一杯。
「なあ、あきら、俺の事がずっと好きだって言ってたんだ」
「そっか…………」
留三郎の顔は見ずに返答する。
きっと見られたくないと思うから。
「俺……ずっとずっと、あいつの事好きだったんだ…………!
馬鹿だよな、こんな時に気付くなんてよ」
ぎゅっとあきらの手を握りしめた。
「馬鹿だね、ほんと、二人ともさ」
こんな形で両思いになるなど、悲しいものがあるだろうか。
もうじき夜が明ける。
空を見上げれば自分の心のように暗く澱んでいた。
このままでは駄目だと伊作は両頬をぺちんと叩いた。
(そうだ、くよくよしてどうする)
僕までめげたらお仕舞いだ。
しっかりしなくては。
(あきらちゃんも頑張ってる)
「っと、時間空きすぎたかな」
今は留三郎が診てくれているけど……。
そろそろ戻らなきゃと思い保健室の襖を開けて伊作は入れ換えたばっかりの桶をガタンと落とした。
「嘘……」
留三郎の手に握られた手は既に力を失っていた。
「伊作、さっきな………逝っちまった」
パタパタと床に水が滴った。
そんな、と思うと同時に自分がどこか
助からないだろうと胸のどこかで悟っていた。
(ごめんね、あきらちゃん)
出来る事はしたのだ。背一杯。
「なあ、あきら、俺の事がずっと好きだって言ってたんだ」
「そっか…………」
留三郎の顔は見ずに返答する。
きっと見られたくないと思うから。
「俺……ずっとずっと、あいつの事好きだったんだ…………!
馬鹿だよな、こんな時に気付くなんてよ」
ぎゅっとあきらの手を握りしめた。
「馬鹿だね、ほんと、二人ともさ」
こんな形で両思いになるなど、悲しいものがあるだろうか。
もうじき夜が明ける。