あきらは曲者に小刀を突きつけられながら口角を上げた。
(交渉して、すぐに人質を離す…
最悪の場合私としんべえ、喜三太が両方捕まるとゆうパターンもなくもないんだけど……それにしても人質つっても手を拘束しないのか)

「うんともすんとも言わねえな」
「まぁ、怖がって声上げられねぇんだろ、可愛いもんだぜ」
曲者の目には自分が怯えて声も出せない人間に見えるのだろう、実際は真逆だが。
「……………………った」
あきらが何か呟いたが、聞き取れなかったのか曲者が聞いた。
「ん？？何か言ったか？？」
「あんたらがほんと三流忍者で良かったって言ったんだ」
あきらは凶悪にも取れる笑顔で言うと、拳を握りしめ曲者の顎に向けて振り上げた。
「がっっっ」
思わず、後ろのめりになる曲者にあきらは間髪入れず回し蹴りをした。
攻撃をくらい吹っ飛んだ相方を見て、慌ててもう一人が攻撃してきたが、あきらはしゃがみ土を掴んで曲者に投げ掛けた。
曲者が思わず目を瞑ってしまった隙にあきらは小刀を持っている手を捻り落とし、鳩尾に拳を落とした。
地面に倒れたのを見てひとまず安心した矢先。
「引っ掛かったな！！！」
気絶したと見せかけてあきらが近づいた瞬間を曲者は狙った。
曲者は懐に隠し持っていた苦無を振り上げたのを見て、留三郎は走る。
「あきら危ねえ！！！！」
苦無が迫ってくるのをあきらは直感的に避けられないと悟り、覚悟を決めた。
「なっっ！？！？！？」
あきら除く全員が驚いた、何とあきらは左手で苦無を握りしめて被害を最小限にしたのだ。
苦無を握った事で肉が裂け、血が滴り激痛が走ったが我慢して、曲者が驚いている間にあきらはもう一回鳩尾を殴り気絶させた。

一連の戦闘を茫然と見ていた忍たまにちょうど駆けつけた山田先生は
「何をぼさっとしとる！さっさと曲者を拘束せんか！！」と怒鳴りつけ慌てて上級生は曲者二人を拘束し、連れて行った。
「おい、あきら手…大丈夫か？？痛くないか？どうしてそんな危ない事すんだよ」
あきらの左手から血がポタポタと落ちるのを見て留三郎が聞くと
「そりゃ痛くないかって聞かれれば痛いけど…しんべえ、喜三太が感じた怖さに比べればどうってことない」と答えた。
そのやり取りを見て、伊作はとりあえず保健室に行って応急措置をしようと提案した。

伊作はそんな名前を見て、別の危うさがあると感じた。
(あの子は普通の子じゃない、これまで会った天女とは全然違うけど、そうゆう問題じゃない
あきらちゃんは自分の優先頻度が低いんだ)