夢を見た。


大切な誰かが遠くに行ってしまう夢。
名前も声も顔も分からないのに無性に悲しくて追いかける。
けれど、どれだけ走っても追い付けない。
(待ってくれ…………！！！
俺はお前のこと…………！！！)
しかし、急に地面が暗闇になり留三郎は落ちた。
パラパラと土が落ちるのを見て、留三郎はああ…自分は穴に落ちたのだと思った。
自分の体が青年の頃から1年の時の姿になっているのに気付かなかったが、何とか這い上がろうとするが、身長が足りない。
成長した俺なら平気だろうが、小さい俺は経験が乏しくこのまま誰も来てくれないかと思い、泣きそうになっていた。

「そこでなにしてんの」誰かが呼びかけた。
ああ…俺は知ってる、この声を。
体を必死に伸ばして手を差し伸べる姿を俺は見たことがある。
何とか穴から出た、俺は助けられたやつ(顔にもやがかかっている)に
「泣いてんの？」と聞かれ、「な、！泣いてなんかねぇよ！」と意地を張った。
穴から出てそいつがくのたまの服を着ているのを見て、驚いたが特に嫌な感じはしなかった。
思えば、この時俺は一目惚れしてたのだと思う。
そいつは急にもじもじし始めると、
「と、友達になってほしいんだけど…」
と言った。
その時、一瞬顔にかかっていたもやがはれたと思うと、目に映ったのは天女であるあきらが幼くなったような顔だった。


そして、気がつけば俺は6年は組の布団の中にいた。
(夢か………)
「留三郎、何かうなされてたみたいどけど……」
隣で寝ていた伊作が心配したのか、声をかけてきた。
「いや、いつものあれだ、あれ
さーてと、戦う夢の続き見ないとな！」
と俺は誤魔化した。

(夢にあきらみたいなやつが出てきたなんて言えるかよ…
それにしても、何で俺はこんなにあいつの事が気になるのかわかんねえ……)
と思ったが、疲れていた留三郎はすぐに寝てしまった。