「実は食満先輩がいない状態で修補するのは
少し不安があったんです。これまでも同じようにやってきたので出来ない…とゆうわけではないのですが…」

作兵衛は責任感が強い、任された事をしっかりやるのは留三郎も分かっていた。

「もちろん、塀の補修も今までと同じように
やってました。ただ、なにぶん高いところは
梯子を使って作業することになるので時間がかかりますが……」

苦笑しながら作兵衛は続けた。

「そんな時、いつも通り作業してたら天女様がお通りになったんです。
゛大変そうだから自分も手伝うって゛…
もちろん断ったんですけど、同じことをした事があるっておっしゃって…それならどうぞって許可してしまいました
すすすすすみません！！！勝手に！！」

顔を真っ青にしてペコペコ謝る作兵衛に留三郎は制止した。

「作兵衛、顔を上げてくれ、別に謝ることはない。それに正式に加入することになったんだから順序が逆になっただけだから深く考えなくてもいい、それで？」

留三郎は続きを促した。

「えーと、引き続き塀の補修を開始したんですが、私と1年は身長が届く範囲の修補と補佐をすることになりまして。
天女様は屋根付近を修補してたんですが、あっとゆうまに終わったんです。
もちろん作業の分担ってゆうのもありますが……それ以前に修補が上手かったんです。経験者って言ってたのもほんとだったんですね」

修補の上手さに感嘆した作兵衛がうんうんと頷きながら述べた。

「あと、1年とあっとゆう間に打ち解けてたんで、それも驚きましたね」
「作兵衛……天女は変な術とかは使ってないか……？」

おそるおそる留三郎が聞くと、

「術……ですか、俺が見るかぎりは使って無かったと思いますけどね……
やけに1年の扱いに慣れてたのは不思議に思いましたが……」

留三郎は少し思案したが、今までの天女が何故か自分達の性格、行動等の情報を知っていたので、これまでと同じだろうと断定した。

「作兵衛、 1年は警戒を解いているたろうが、相手は天女だ。今は油断する隙を狙っているかもしれん。注意した方がいい」

留三郎の警告に作兵衛は頷いたが………


(食満先輩…あの人は…ほんとに…
今までと同じ天女なんでしょうか…？
俺には…同じようには思えない…）
全く知らない相手なはずなのにどうしてこんなにも胸が締め付けられるのか、と作兵衛は心の中で呟いた。