一方留三郎たちは町にたどり着き、各自で贈り物を選び始めた。

「ふむ、私はこれに決めた」

「仙蔵、そんな簪にするのかよ、色も派手すぎじゃねえか？」

「文次郎、ああいう女はこうゆうのが好みだ、最も経験がない文次郎では分からないかもしれんがな」

「何だと！？」



仙蔵たちが口喧嘩しているのを横目に見ながら、留三郎は適当に品物を見繕っていた。

「ったく、なんで貴重な金をあんな天女にやんなきゃいけねぇんだよ……」

留三郎はそう呟いていると、店の人に話しかけられた。

「おい、兄ちゃん彼女への贈り物探してるのかい？」

「ばっ、バカ野郎、違ぇよ！」

「そんなムキになったって、しょうがねぇよ？ほら、この髪紐なんてどうだい？綺麗な紺色だろう？」

留三郎は店主が差し出したその髪紐に釘付けになった。
どこかで同じような物を見たような気がする。
そしてそれはかけがえのない大切な物のような気がした。

「ちょいと値がはるが兄ちゃんどうだい？」

「か、買います」
自分でも信じられないがこの髪紐をあの天女にあげたいと想い
留三郎は紺色の髪紐を買った。



そして、一同は忍術学園に戻り各々があきらに贈り物を手渡した。

「どうぞ、簪です」

「あ、ありがとう、大切に使うね」
渡される品々はどうにもきらびやかな物ばかりだった。
あきらは内心自分の好みの色ではなかったので、あまり嬉しくなかった。
出来ればもう少し落ち着いた色の方がいいが…
「お、おい、あきら！これやる」

留三郎は半ば強引にあきらに髪紐を押し付けた。

「これ……髪紐？」

あきらは驚きのあまり絶句した。

「……！？あきらお前……」

「あ、あれ？」

あきらはいつの間にか泣いている事に気付いた。

「その、あんまりにも嬉しかったから…
ありがとう、留三郎、大事にする」


涙が頬をつたっては笑うと自分の部屋へと走って帰ってしまった。



あきらは自分の部屋に戻ると、前世の事を思い出した。

「……まさか、こっちでも最初の贈り物が一緒になるなんて思わなかったな……」

あきらはこの髪紐を大事にしようの思ったのだった。

「今度こそ、大事にするから」