あきらは夜綾部喜八郎が来るのを待っていた。

「綾部本当に来るかな」

すると、綾部が天井からひょっこりと顔を出した。

「どもー先輩、来ましたーあ、監視の人いないんで何でも喋っていいですよー。」

「警戒が解けてないのに、監視がなぜいない」

「それは僕が今日監視の当番だからですかねー今日僕１人だけなんで、
前世の事でもどうぞお好きに」
前世、か。
「じゃあ、聞くけどお前は以前私が忍術学園の生徒だった事をおぼえていると」
「ええ、まぁ」

「綾部、率直に聞く、ここに何が起きた？」

綾部は一呼吸おくと、話し出した。

「今から数ヵ月前、空から天女が降ってきました……不思議なことに上級生のほとんどが天女に夢中になり、委員会に出ずに天女にうつつを抜かしていました。上級生がいないせいで下級生が怪我をしたり、少しずつ忍術学園は崩壊していった……
天女がいなくなると同時に先輩たなちそして僕も目を覚ましました。
でも……全部遅かった、下級生たちは怯えきっていて、とても関係を修復できる状態ではありませんでした。
それからまた、天女が降ってきたんです。僕らはあえて天女をチヤホヤしてある程度たつと、天女に仕返しをしたんです……」
仕返し…ある程度予想はつく。
が、そうではない事を願っていた。
「綾部、今までの天女は………」
「天に帰りました
詳細は聞かなくてもわかりますね？」
「……！！」
嫌な予感が当たってしまった。
「先輩の前の天女も同様に。先輩はちなみに5人目の天女です。
このままいけば先輩もいずれ同じ目に遭うでしょう
でも先輩なら元に……あの頃の忍術学園に戻せますか？」

「綾部……」

あきらは思った、自分は綾部に頼られているのだと
委員会は違えども後輩には違いない。綾部だって天女に対する怒りがあるだろうに、それを押さえつけて自分に頼みに来たのだ。

「分かった
出来るかはわからないけど、最善はつくす」
これ以上かつての旧友が道を踏み外すようなのは見たくは無い。
おびえている下級生達もどうにかして恐怖を取り除きたいと思う。
そう言うと綾部は少し頷いて去っていった……