第三章
夢小説設定
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月明かりが差す中訪れた人物はあきらだった。
「あきら……」
「留三郎、ちょっといいかな?」
話したいことがある、あきらは襖を閉めた。
その表情は悲しげで、まるでもう今夜が最後みたいなと言っているみたいだった。
「話って何だ」
「うん、ここに残るか何だけど……
ごめん、やっぱりここに残るって決断は……できない」
予想していた事が当たり留三郎は膝に乗せていた拳を握りしめた。
「……学園長は残ってもいいって言ったじゃないか、それに甘えたって……」
「出来ないよ」
あきらは困ったように笑う。
「それが……本心でもやっぱり出来ない
私が居て巻物が残ってる以上争いが起きるのは確実だし」
「皆で頑張ればいいじゃないか」
「でもその途中で誰かが怪我をしたり……最悪死んだら?
……私は絶対後悔する、ああ何であの時帰る決断をしなかったんだろうって」
「ならそうならないように何か方法を考えよう
あきらをよく思っていない奴らがいることも分かってる、でも全員がそうじゃないんだ……!
伊作達もきっと……!」
お前の力になってくれると言いかけて留三郎は口をつぐんだ。
あきらは本当に嬉しそうに笑っていた、でもそれはどこか寂しさや悲しみを感じるもので。
「うん……そうなったらいいね
そうしたら皆と一緒に忍術を学ぶことも出来るし……留三郎と一緒に居られる
それはきっといい未来だと思う」
「なら、なんで……」
「好きだから」
と表情を和らげてあきらは言った。
「留三郎の事が好き、大好き
前世でも生まれ変わった今でも愛してる
忍術学園の皆もこの学園の事も大切で
大切だからこそ私は……私のせいで皆が傷つくところは見たくない」
「っ、じゃあ、あきらは元の世界に戻るって言うのか、その世界には俺達はいないんだぞ……?」
画面越しでしか会えないっていうのにいいのか。
あれほど忍術学園に行きたいと願ってここに来たのではなかったのか。
もう二度と会えないかもしれないのに。
そんな思いを留三郎は吐露した。
「もう……十分だよ、たくさん皆と思い出作ったからいいの」
十分幸せだよ、とあきらは笑う。
胸がはり裂けそうだと留三郎は思った。
もうあんな思いはしたくないと思っていたのに。
でも、あきらを悲しませたくないとも思った。
本当は、帰したくないけれどあきらがそう決断するのならば見送らないと。
「……しょうがねぇ、惚れた女の頼みだからな
聞いてやるよ」
「ありがとう、留三郎」
「最後にいいか、明日には帰るんだろ?」
うん、とあきらは頷き留三郎はあきらに近づいた。
しばらく見つめあった後。
「好きだ、あきら」
「うん、私も、留三郎」
月明かりの中ゆっくりと二人のシルエットが重なった。
そして目を覚ますと隣にあきらは居なかった。
保健室で薬を調合していた伊作に聞くと夜が開ける前までに姿を消すつもりだったとあきらから聞いたと言っていた。
まだ夜明けは来ていない。
伊作の制止を振り切ってくまなく学園を駆けたがあきらの姿はなく留三郎は地面にひれ伏して涙を溢した。
「……何でだよ」
見送りくらいさせてくれよ、急に居なくなるなんて俺が何て思うかも分かっているはずなのに。
別れの一言さえも言わせてくれないのか。
とがむしゃらに走っていると大きな桜の木の前にたどり着いて留三郎は目を見開く。
「あきら!」
夢か幻かあきらは桜の木の前に立っていた。
けれどその姿は陽炎のように揺らめいている。
「……ごめんね、勝手に決めちゃって
1日でも帰る日が遠退いたら決心が鈍っちゃうと思って」
皆怒ってるかな、とあきらはポツリと呟いた。
「今からでも遅くないだろ
ちょっとくらい帰る日が遅くなったって皆文句は言わねぇよ」
「うん、でも今の私は幻みたいな物だから……すぐに消えちゃうと思う」
ならその前に、と留三郎はあきらに手を伸ばそうとして手がすり抜けた。
どれほど触れようとしても触れられない。
こんな……こんな別れがあってたまるか、肝心の巻物はほぼ燃え尽きていてほとんど炭になっていた。
もうこれではあきらを引き留めることなど出来やしない。
あきらは自分のした事が悪いことだと自覚しているのか口をつぐんでしまった。
それでも去る所を見られたくなかった、だからこんな所で一人で、消えようとしていたのだ。
もう周りは明るくなってきていて夜から朝に変わろうとしている。
きっとこの瞬間が最後だ。
「あきら」
「……何?」
「お前が勝手に消えようとしてる事はめちゃくちゃ怒ってる
……だから俺も勝手にさせてもらう」
怒ってると聞いてあきらは少し目を伏せた。
「あきらが消えるなら……俺はあきらを探しだす!、何年いや何百年、何千年かかってでも!
だから……待っててくれ、あきら」
留三郎は笑った。
あきらは反対に泣きじゃくっている。
この手で涙を拭えないことが少し悲しい。
「もう……二度と会えないって言ってるじゃん」
「そうか?こうやって再会できたんだ
俺は……信じてる」
と言うとあきらは涙を流して、待ってると笑って消えた。
と同時に差し込んだ朝日の光が眩しくて留三郎は手で遮りさて……と呟き微笑んだ。
「待ってろよ、あきら」
「あきら……」
「留三郎、ちょっといいかな?」
話したいことがある、あきらは襖を閉めた。
その表情は悲しげで、まるでもう今夜が最後みたいなと言っているみたいだった。
「話って何だ」
「うん、ここに残るか何だけど……
ごめん、やっぱりここに残るって決断は……できない」
予想していた事が当たり留三郎は膝に乗せていた拳を握りしめた。
「……学園長は残ってもいいって言ったじゃないか、それに甘えたって……」
「出来ないよ」
あきらは困ったように笑う。
「それが……本心でもやっぱり出来ない
私が居て巻物が残ってる以上争いが起きるのは確実だし」
「皆で頑張ればいいじゃないか」
「でもその途中で誰かが怪我をしたり……最悪死んだら?
……私は絶対後悔する、ああ何であの時帰る決断をしなかったんだろうって」
「ならそうならないように何か方法を考えよう
あきらをよく思っていない奴らがいることも分かってる、でも全員がそうじゃないんだ……!
伊作達もきっと……!」
お前の力になってくれると言いかけて留三郎は口をつぐんだ。
あきらは本当に嬉しそうに笑っていた、でもそれはどこか寂しさや悲しみを感じるもので。
「うん……そうなったらいいね
そうしたら皆と一緒に忍術を学ぶことも出来るし……留三郎と一緒に居られる
それはきっといい未来だと思う」
「なら、なんで……」
「好きだから」
と表情を和らげてあきらは言った。
「留三郎の事が好き、大好き
前世でも生まれ変わった今でも愛してる
忍術学園の皆もこの学園の事も大切で
大切だからこそ私は……私のせいで皆が傷つくところは見たくない」
「っ、じゃあ、あきらは元の世界に戻るって言うのか、その世界には俺達はいないんだぞ……?」
画面越しでしか会えないっていうのにいいのか。
あれほど忍術学園に行きたいと願ってここに来たのではなかったのか。
もう二度と会えないかもしれないのに。
そんな思いを留三郎は吐露した。
「もう……十分だよ、たくさん皆と思い出作ったからいいの」
十分幸せだよ、とあきらは笑う。
胸がはり裂けそうだと留三郎は思った。
もうあんな思いはしたくないと思っていたのに。
でも、あきらを悲しませたくないとも思った。
本当は、帰したくないけれどあきらがそう決断するのならば見送らないと。
「……しょうがねぇ、惚れた女の頼みだからな
聞いてやるよ」
「ありがとう、留三郎」
「最後にいいか、明日には帰るんだろ?」
うん、とあきらは頷き留三郎はあきらに近づいた。
しばらく見つめあった後。
「好きだ、あきら」
「うん、私も、留三郎」
月明かりの中ゆっくりと二人のシルエットが重なった。
そして目を覚ますと隣にあきらは居なかった。
保健室で薬を調合していた伊作に聞くと夜が開ける前までに姿を消すつもりだったとあきらから聞いたと言っていた。
まだ夜明けは来ていない。
伊作の制止を振り切ってくまなく学園を駆けたがあきらの姿はなく留三郎は地面にひれ伏して涙を溢した。
「……何でだよ」
見送りくらいさせてくれよ、急に居なくなるなんて俺が何て思うかも分かっているはずなのに。
別れの一言さえも言わせてくれないのか。
とがむしゃらに走っていると大きな桜の木の前にたどり着いて留三郎は目を見開く。
「あきら!」
夢か幻かあきらは桜の木の前に立っていた。
けれどその姿は陽炎のように揺らめいている。
「……ごめんね、勝手に決めちゃって
1日でも帰る日が遠退いたら決心が鈍っちゃうと思って」
皆怒ってるかな、とあきらはポツリと呟いた。
「今からでも遅くないだろ
ちょっとくらい帰る日が遅くなったって皆文句は言わねぇよ」
「うん、でも今の私は幻みたいな物だから……すぐに消えちゃうと思う」
ならその前に、と留三郎はあきらに手を伸ばそうとして手がすり抜けた。
どれほど触れようとしても触れられない。
こんな……こんな別れがあってたまるか、肝心の巻物はほぼ燃え尽きていてほとんど炭になっていた。
もうこれではあきらを引き留めることなど出来やしない。
あきらは自分のした事が悪いことだと自覚しているのか口をつぐんでしまった。
それでも去る所を見られたくなかった、だからこんな所で一人で、消えようとしていたのだ。
もう周りは明るくなってきていて夜から朝に変わろうとしている。
きっとこの瞬間が最後だ。
「あきら」
「……何?」
「お前が勝手に消えようとしてる事はめちゃくちゃ怒ってる
……だから俺も勝手にさせてもらう」
怒ってると聞いてあきらは少し目を伏せた。
「あきらが消えるなら……俺はあきらを探しだす!、何年いや何百年、何千年かかってでも!
だから……待っててくれ、あきら」
留三郎は笑った。
あきらは反対に泣きじゃくっている。
この手で涙を拭えないことが少し悲しい。
「もう……二度と会えないって言ってるじゃん」
「そうか?こうやって再会できたんだ
俺は……信じてる」
と言うとあきらは涙を流して、待ってると笑って消えた。
と同時に差し込んだ朝日の光が眩しくて留三郎は手で遮りさて……と呟き微笑んだ。
「待ってろよ、あきら」