しばらく留三郎を探していると、留三郎は塀の修補をしていた。


(こうゆう時ってやっぱり口調とか可愛くした方が、好かれるのかな……
書類持ってきたよ、留三郎くん！とか？
いや無理だ…)

うんぬんかんぬん考えていたあきらだが、考えてもしょうがないので話し掛ける事にした。

「あの食満留三郎さん、土井先生から書類を預かってきたｙ…
あーその、受け取れこの野郎」

「え、あ、はい」

(ダメだー！！何やってだ！私！！ほら、留三郎も反応に困ってるし！）

留三郎はしばらく呆然としていたが、我に返って笑顔で応えた。

「あの天女さま、持ってきてありがとうございます」
いくら相手があの天女でも仕事をしてる以上ちゃんと対応せねばならないと留三郎は感情を殺した。


いつもは後輩たちに向ける笑顔を見てあきらは自分の頬が熱くなっていくのを感じた。

「い、いいえ、仕事ですから……
あの、天女っていう呼び方辞めてくれませんか？
私ただの人間なんでそうゆう呼び方はちょっと……」

「そうゆう事でしたら、分かりました、あきらさん」

留三郎はそういいつつ、今までの天女の事を思い出しイライラしていた。

(どうせ、こいつも敬語なくせっつんだろ？仙蔵によるとこの天女俺に惚れてるらしいし…)

「えっと、出来れば年も近いんだし、敬語なくしてほしいというか、なんというか……」

留三郎は衝動を抑え、無理やり笑顔を作った。

「あぁ、いいぜあきら！」

「……これからもよろしく、留三郎」
あきらは少しはにかんだ。

「じゃあ、別の仕事があるから！」
「あ、ああ」
そう言って去っていったあきらを留三郎はボーッと見ていた。

(さっきまであんなに殺したっかったのに、あいつの笑顔見たら急にどっか行っちまった……どうしたんだ俺……？)

思案錯誤していた留三郎はいつの間にか泣いている事に気付かなかったのであった……