タイムマシンの研究が始まってしばらく。
ここら一体の復興も進んだものだ、と千空は歩きながら思った。
とふいに横から、そこの君。
と声をかけられその方向を見ると不審者がいた。
頭には天使の輪っか、白いローブを着て杖をもったハゲのじいさんがこちらを見ている。
きょろきょろ、と辺りを見たが自分以外に人気はなし。
が、こんな明らかに変なやつとは話はしたくない。
そのまま立ち去ろうとするとはげのじいさんは慌てて千空を引き留めにきた。
なんでも自分に用があるらしい。
「で、なんだよ、おっさん
こちとら暇じゃねーんだが」
「おっさんではない、神じゃ」
新手の新興宗教かよ、と千空は帰りたくなった。
「若者よ……おぬしは自分の運命の人をしりたくはないか……？」
「じゃあな」
「待て待て待て！！！ちゃんと人の話をきかんかい！」
怒る神に対して千空は心底めんどくさそうな顔をした。
運命の人？非科学的なワードはごめんだ。
「で、その運命の人、とやらが何だってんだ」
「では、驚かないで聞いてほしいんじゃが……
運命の人は……なんと100人も現れるのじゃ！！」
「はぁ！？100人？！？なんだその馬鹿げた数字は……」
なんと神が言うにはラピ●タの影響でそんな桁数を設定しまったらしい。
てか、設定てなんだ。
更に神は不思議な事を話す。
運命の人同士が会うと電流のような衝撃が走るだの……にわかには信じがたいというか千空は一ミリも信じていなかった。
「分かっていただけたかな？愛城恋太郎くん」
「いや、一ミリも……今なんつった？」
「ん？だから愛城……」
「俺の名前をは石神千空っていうんだが」
「…………」
神はごそごそと紙と老眼鏡をとりだして老眼鏡をかけ、神に書かれた写真と千空を見比べた。
「……人違いだったわ」
「どこをどう見比べればそいつと俺を間違うんだよ！！ぜんっぜん似てねぇじゃねぇか！！」
「この頃ちと老眼がすすんでのぉ～～～
すまんすまん、今調べるから……ええと……いしがみ……」
老眼の問題か？と思った千空はこの話自体が無駄だと思い始めた。
「……あほらし」
帰って研究の続きだ、と千空は神の元から去った。
数分ほどなくして、神はおお！とようやく顔を上げた。
「あった、あった！！
ちゃーーーん、と一人運命の人いたわい！
運命の人一人もいない者もおるからの～～よかった……ってあれ？」
しかし、ときすでに遅し、千空は既に立ち去った後だった。


「ったく、結局なんだったんだ、あのじーさん……」
周りの連中からはそんな怪しい人物がいるとは聞いたことはなかったが、新しく石化から復活した者かもしれない。
話自体を話すとあまりにも馬鹿馬鹿しいと笑われるかもしれないが、一応共有しとくか、と研究室を開けるとゼノと目があった。
「おお、千空！ちょうど君に用事があった」
「？俺に？」
ゼノは背後にそう隠れてないで出てきなさいと語る。
「私の後輩の……だ
研究メンバーに選ばれてね、最近復活したんだが……ちょうど君と同じ歳に当たるはずだ」
こんにちわ、と物陰からひょっこりと出てきた女性を見て、千空は目を見開いたのだった。
果たして千空に稲妻のような衝撃が走ったかどうかは本人達しか、しらない。