短編夢
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「モデルになってほしい……??」
突拍子もない願いにあきらは目を点にした。
ちなみに話を持ちかけたのは同級生の杠だ。
「もうすぐジューンブライドでしょ?
後輩達と乞ったもの作りたいな~って
話してて……
で、写真とかを学校のブログとかに載せたいなって……駄目?」
杠は現高校三年生で手芸部の部長だ。
ジューンブライドという事はウェディングドレスやタキシードを着ると
いう事か。
いやはや、全く高校生のやる事とは思えない。
文化祭に出す予定もあるらしく、何というか熱意が凄い。
「いや、駄目とかではないけど……
何で私に?」
どうやら、杠の後輩が是非お願いしたいと言っているらしい。
他にもオファーをしている生徒はいるらしく何パターンか衣装を用意し
撮影するとのこと。
「わかった、せっかくだしね」
承諾すると、早速採寸をしたいと言うのであきらは手芸部へと
連れていかれた。
ちなみにあきらには想い人がいる。
出来れば相手役に彼がいたらなんて。
(とても引き受けるような人じゃないけど
彼だったらいいなあ)
「千空くん」
翌日放課後に千空は杠に呼び止められた。
「あ?」
話を聞くと用は撮影会をやるから観に来ないかという事だった。
手芸部の部員だけだと味気がないというか観客として来てほしいらしい。
「そういえば、あきらちゃんもモデルするんだよ」
「……!?!?」
あいつが?。
ふと、ウェディングドレスを身に纏ったあきらを想像きてしまい、
急いで頭の中から消す。
まぁ、顔も体型もそこそこいいから納得はする。
「なあ、あきらの相手役って決まってんのか」
動揺を悟られぬよう、何となく気になったと平坦なトーンで聞く。
「いや、もし、だ
万が一決まってねぇんだったら俺がやってもー」
顔見知りの方がいいだろと平凡な後付けをして杠の反応を見ると。
何かすごく申し訳なさそうな顔をしていた。
「えっとね、もう決まってるっていうか……
実はいうと千空くんじゃ、駄目なの」
「は?駄目?」
何が駄目なんだ、全く意味が分からない。
身長差も問題ないはずだ。
理由を聞いたが、とにかく駄目だと一点押しで明確な理由は分からなかった。
「よお、モデルやるんだってな」
帰り道千空はあきらに聞いたぜと話を振った。
「あーうん」
杠から聞いたのかな、とあきらは思った。
「いやーポージング?とか練習されられるんだけど……恥ずかしいね、
アレ」
と言うと急に千空が不機嫌になり歩くスピードも速くなった。
「そうかよ」
「え、何で不機嫌なの」
追い付いたあきらに対し、知らねえ、とか、不機嫌じゃねぇ、と
千空はそっぽを向くばかり。
どうみても機嫌を損ねているとあきらは思ったがいまいち理由が
分からない。
別れ様、千空が問いかけた。
「……今回の撮影
嫌だとか思わねえのか」
「初めてだから緊張はしてるかな……
あ、千空も観に来るんだよね」
観に来る?どこのやつとも知れない野郎と一緒に写るあきらを?
そう思うとたちまち黒い陰りが心を覆い始めろくに返事をしないまま千空はその場を後にしてしまった。
撮影当日。
撮影に時間がかかるので放課後では尺がとれず土曜日に撮影するらしいのだが、千空は朝二度寝をしていた。
大樹も観に行くらしいが、とても行く気にはなれず、ベットに潜りこみ目を閉じた。
「千空」
目を開けるとそこには白いウェディングドレスを纏ったあきらが
立っていた。
「私、この人と結婚するの」
「っ、夢か」
ベットは冷や汗で濡れ時計を見れば二度寝をしてから30分も経っていなかった。
「あ~~~クソ」
夢で出たから何だと言いたいところだが、もう嘘はつけまい。
急いで学ランに着替え学校へと向かう。
その途中で店に立ち寄る事にした。
(これくらいしねぇとな)
学校に到着しダッシュで撮影所へと向かい扉を勢いよく開いた。
「待て!!!」
ぜえぜえ言いながら開くとあきらが視界に入った。
「は?」
あきらはウェディングドレスではなくタキシードを着ていたのだ。
「千空!!遅いぞ!!」
遅刻か?と大樹がバシバシ叩き、千空は席に座らされた。
「もう、撮影は始まっているぞ
寝坊か?」
同じく琥珀もタキシードに身を包み観客席に座っていた。
「そういう事かよ…………」
自分だけ勘違いしていたようだと悟った。
何故自分じゃ駄目なのか、それはあきらが男役で撮影するから相手は自ずと女子になるからだった。
杠の言い方で早とちりしてしまったのもあるが、あれは言い方が悪いと
思う。
いや、わざとあの言い方をしたのかも知れない。
実際、行動を起こすきっかけにもなったのだから。
と、考えていると撮影を終えたのかあきらが寄ってきた。
「千空、来ないかと思ってた」
「まぁ、気が変わってな」
「後で話したいんだけど、いい?」
構わないと伝えると、あきらは着替えてくると去っていった。
(さて、どうするかね、これ)
鞄の中にはいささか早すぎるプレゼントが入っている。
相手によっちゃ引かれる案件だ。
「おまたせ」
どうしようかと迷っているとあきらがちょうど制服に着替えて
出てきた。
まだ撮影は続行している為、迷惑にならぬよう場所を科学室へと変更
した。
本日はカメラマンなど部外者が招かれる部活は休止する事になり、生徒が居らず校舎は静かだ。
「実はさ、本当はウェディングドレス着る予定だったんだよね」
あきらにタキシード着てるとは思っていなかったと言うとまさかの
回答が返ってきた。
「何でだ」
千空的には着ない方が良かったのだが、あえて聞く。
「いや、その……撮影で着ると婚期が……」
「ううん、それもあるけど
相手は……一番好きな人じゃないと嫌って思って」
千空の事だよ。
ポツリとあきらの口から溢れた。
「……お前が結婚する夢を見た」
片手でごそごそ鞄を探る。
「俺も嫌だと思った、奇遇だな」
お目当てが見つかり、千空は笑みを浮かべた。
「先約、とっていいか」
箱を空けて中身を見せるとあきらは顔を真っ赤にしたまま、頷いた。
「うん……っ、ごめん、涙とまんない」
ぼろぼろ泣きじゃくるあきらを抱きよせた。
「?何だ、その袋」
「あ、忘れてた、杠に言って貸して貰ったの」
ベールだけ貸して貰ったらしい。
おい、タイミング良くないか。
「いや、千空には見せるつもりはなかったんだけど……恥ずかしいし」
「せっかくだから被れよ」
ベールをあきらの頭に乗せ、左手の薬指に指輪を嵌める。
アクセサリーショップで買った指輪なので本物には程遠いだろう。
「結婚式まで絶対外すなよ」
「うん」
ベールを上げてお互いに見つめあい誓いのキスをする。
鐘なんてないはずなのに気のせいか、鐘の鳴る音が響いたような気がした。
突拍子もない願いにあきらは目を点にした。
ちなみに話を持ちかけたのは同級生の杠だ。
「もうすぐジューンブライドでしょ?
後輩達と乞ったもの作りたいな~って
話してて……
で、写真とかを学校のブログとかに載せたいなって……駄目?」
杠は現高校三年生で手芸部の部長だ。
ジューンブライドという事はウェディングドレスやタキシードを着ると
いう事か。
いやはや、全く高校生のやる事とは思えない。
文化祭に出す予定もあるらしく、何というか熱意が凄い。
「いや、駄目とかではないけど……
何で私に?」
どうやら、杠の後輩が是非お願いしたいと言っているらしい。
他にもオファーをしている生徒はいるらしく何パターンか衣装を用意し
撮影するとのこと。
「わかった、せっかくだしね」
承諾すると、早速採寸をしたいと言うのであきらは手芸部へと
連れていかれた。
ちなみにあきらには想い人がいる。
出来れば相手役に彼がいたらなんて。
(とても引き受けるような人じゃないけど
彼だったらいいなあ)
「千空くん」
翌日放課後に千空は杠に呼び止められた。
「あ?」
話を聞くと用は撮影会をやるから観に来ないかという事だった。
手芸部の部員だけだと味気がないというか観客として来てほしいらしい。
「そういえば、あきらちゃんもモデルするんだよ」
「……!?!?」
あいつが?。
ふと、ウェディングドレスを身に纏ったあきらを想像きてしまい、
急いで頭の中から消す。
まぁ、顔も体型もそこそこいいから納得はする。
「なあ、あきらの相手役って決まってんのか」
動揺を悟られぬよう、何となく気になったと平坦なトーンで聞く。
「いや、もし、だ
万が一決まってねぇんだったら俺がやってもー」
顔見知りの方がいいだろと平凡な後付けをして杠の反応を見ると。
何かすごく申し訳なさそうな顔をしていた。
「えっとね、もう決まってるっていうか……
実はいうと千空くんじゃ、駄目なの」
「は?駄目?」
何が駄目なんだ、全く意味が分からない。
身長差も問題ないはずだ。
理由を聞いたが、とにかく駄目だと一点押しで明確な理由は分からなかった。
「よお、モデルやるんだってな」
帰り道千空はあきらに聞いたぜと話を振った。
「あーうん」
杠から聞いたのかな、とあきらは思った。
「いやーポージング?とか練習されられるんだけど……恥ずかしいね、
アレ」
と言うと急に千空が不機嫌になり歩くスピードも速くなった。
「そうかよ」
「え、何で不機嫌なの」
追い付いたあきらに対し、知らねえ、とか、不機嫌じゃねぇ、と
千空はそっぽを向くばかり。
どうみても機嫌を損ねているとあきらは思ったがいまいち理由が
分からない。
別れ様、千空が問いかけた。
「……今回の撮影
嫌だとか思わねえのか」
「初めてだから緊張はしてるかな……
あ、千空も観に来るんだよね」
観に来る?どこのやつとも知れない野郎と一緒に写るあきらを?
そう思うとたちまち黒い陰りが心を覆い始めろくに返事をしないまま千空はその場を後にしてしまった。
撮影当日。
撮影に時間がかかるので放課後では尺がとれず土曜日に撮影するらしいのだが、千空は朝二度寝をしていた。
大樹も観に行くらしいが、とても行く気にはなれず、ベットに潜りこみ目を閉じた。
「千空」
目を開けるとそこには白いウェディングドレスを纏ったあきらが
立っていた。
「私、この人と結婚するの」
「っ、夢か」
ベットは冷や汗で濡れ時計を見れば二度寝をしてから30分も経っていなかった。
「あ~~~クソ」
夢で出たから何だと言いたいところだが、もう嘘はつけまい。
急いで学ランに着替え学校へと向かう。
その途中で店に立ち寄る事にした。
(これくらいしねぇとな)
学校に到着しダッシュで撮影所へと向かい扉を勢いよく開いた。
「待て!!!」
ぜえぜえ言いながら開くとあきらが視界に入った。
「は?」
あきらはウェディングドレスではなくタキシードを着ていたのだ。
「千空!!遅いぞ!!」
遅刻か?と大樹がバシバシ叩き、千空は席に座らされた。
「もう、撮影は始まっているぞ
寝坊か?」
同じく琥珀もタキシードに身を包み観客席に座っていた。
「そういう事かよ…………」
自分だけ勘違いしていたようだと悟った。
何故自分じゃ駄目なのか、それはあきらが男役で撮影するから相手は自ずと女子になるからだった。
杠の言い方で早とちりしてしまったのもあるが、あれは言い方が悪いと
思う。
いや、わざとあの言い方をしたのかも知れない。
実際、行動を起こすきっかけにもなったのだから。
と、考えていると撮影を終えたのかあきらが寄ってきた。
「千空、来ないかと思ってた」
「まぁ、気が変わってな」
「後で話したいんだけど、いい?」
構わないと伝えると、あきらは着替えてくると去っていった。
(さて、どうするかね、これ)
鞄の中にはいささか早すぎるプレゼントが入っている。
相手によっちゃ引かれる案件だ。
「おまたせ」
どうしようかと迷っているとあきらがちょうど制服に着替えて
出てきた。
まだ撮影は続行している為、迷惑にならぬよう場所を科学室へと変更
した。
本日はカメラマンなど部外者が招かれる部活は休止する事になり、生徒が居らず校舎は静かだ。
「実はさ、本当はウェディングドレス着る予定だったんだよね」
あきらにタキシード着てるとは思っていなかったと言うとまさかの
回答が返ってきた。
「何でだ」
千空的には着ない方が良かったのだが、あえて聞く。
「いや、その……撮影で着ると婚期が……」
「ううん、それもあるけど
相手は……一番好きな人じゃないと嫌って思って」
千空の事だよ。
ポツリとあきらの口から溢れた。
「……お前が結婚する夢を見た」
片手でごそごそ鞄を探る。
「俺も嫌だと思った、奇遇だな」
お目当てが見つかり、千空は笑みを浮かべた。
「先約、とっていいか」
箱を空けて中身を見せるとあきらは顔を真っ赤にしたまま、頷いた。
「うん……っ、ごめん、涙とまんない」
ぼろぼろ泣きじゃくるあきらを抱きよせた。
「?何だ、その袋」
「あ、忘れてた、杠に言って貸して貰ったの」
ベールだけ貸して貰ったらしい。
おい、タイミング良くないか。
「いや、千空には見せるつもりはなかったんだけど……恥ずかしいし」
「せっかくだから被れよ」
ベールをあきらの頭に乗せ、左手の薬指に指輪を嵌める。
アクセサリーショップで買った指輪なので本物には程遠いだろう。
「結婚式まで絶対外すなよ」
「うん」
ベールを上げてお互いに見つめあい誓いのキスをする。
鐘なんてないはずなのに気のせいか、鐘の鳴る音が響いたような気がした。