短編夢
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のどかな陽気の春。
高校一年生になった私は新しい新生活を待ちわびてワクワクしていた。
そうこの日までは。
カリカリとシャーペンを走らせ黒板の文字を写そうと顔を上げた私は眉を上げた。
私の一つ前に座る男、石神千空。
授業が始まる前までは何か入学式で何か言ってたな、くらいの印象だったが……
この男、異常に髪が長いのだ。
しかも下方向ではなく上方向に、だ。
後ろ席が男子ならともかく女子生徒の私が後ろにいると髪が邪魔でほぼ黒板が見えない。
ので首を斜めにしてどうにか文字を見ようとするのが最早恒例とかしてきている。
一回席替えがあったが、なんと連続でまたもや後ろになってしまった。
当の本人といえばこちらの目線に気づくことなく授業を熱心に受けてる……かと思いきや全く聞いていなかったのだからもう怒りを通り越して呆れたものだ。
授業中はもっぱら何かの参考書や文献を机の上に広げていて先生も叱る気はないのかノータッチである。
今日なんかスマホ片手に中継を見ていた。
他の女子が中継に映ってる人物を見て、宇宙飛行士がどうのこうたら言っていたが。
なるほど、自分の父親が宇宙に飛び立つから中継を見ていたらしい。
気持ちは分からなくもないけど……
案の定先生は困り果てていた。
やれやれ、次の席替えまでいつまで続くかわからないけどしばらくはこの状態を我慢するとしよう…………
と、私の記憶ではここまでが石化前の出来事だ。
遠い昔に全人類が石化して幾数千年が経った。
初めに石化から復活した第一弾の人々たちが必死に復興を進めたおかげで少しずつ文明が戻ってきているらしい。
……と、歴史の教科書にはそう綴られていた。
人類を全て復活させると目的を上げたものの全ての人間を一斉に復活出来るわけでなしある程度優先順位を設け段階的に復活させることが大昔に決まったそうで。
復興に役立つ人々は優先して復活したけど、しがない高校生の私なんかはものすごく遅れて復活した、とまず係の人に説明してもらった。
私が復活した時には復興も進んでいて以前と変わらず学生生活を送ることになって1ヶ月が経つだろうか。
周りの人達は新時代の人々ばかりで少々肩身が狭いが、他のクラスに旧時代の人がいるらしいので少し安心した。
もう文明も進んでいるし私としてはあまりあれから数千年が経っているとは実感が無かった。
と思っていたのだけれど。
歴史の小テストの問題を見て私は目を見開いた。
『人類復活の第一人者の名前を答えよ』
紙に印刷された白黒の写真。
最初に説明された時には半信半疑だったけれど
ここに至ってようやく分かった。
私にとってはまだ1ヶ月も前の事なのに。
「肖像画が舌出しってどうなの」
ポツリと小声で呟く。
あれほど睨んでいた後ろ姿はいつの間にか遠くへ行ってしまった。
あの後ろ姿が今になってもう一回でいいから見たい、なんて我ながらおかしな事を思うものだ。
「……一生忘れないから」
高校一年生になった私は新しい新生活を待ちわびてワクワクしていた。
そうこの日までは。
カリカリとシャーペンを走らせ黒板の文字を写そうと顔を上げた私は眉を上げた。
私の一つ前に座る男、石神千空。
授業が始まる前までは何か入学式で何か言ってたな、くらいの印象だったが……
この男、異常に髪が長いのだ。
しかも下方向ではなく上方向に、だ。
後ろ席が男子ならともかく女子生徒の私が後ろにいると髪が邪魔でほぼ黒板が見えない。
ので首を斜めにしてどうにか文字を見ようとするのが最早恒例とかしてきている。
一回席替えがあったが、なんと連続でまたもや後ろになってしまった。
当の本人といえばこちらの目線に気づくことなく授業を熱心に受けてる……かと思いきや全く聞いていなかったのだからもう怒りを通り越して呆れたものだ。
授業中はもっぱら何かの参考書や文献を机の上に広げていて先生も叱る気はないのかノータッチである。
今日なんかスマホ片手に中継を見ていた。
他の女子が中継に映ってる人物を見て、宇宙飛行士がどうのこうたら言っていたが。
なるほど、自分の父親が宇宙に飛び立つから中継を見ていたらしい。
気持ちは分からなくもないけど……
案の定先生は困り果てていた。
やれやれ、次の席替えまでいつまで続くかわからないけどしばらくはこの状態を我慢するとしよう…………
と、私の記憶ではここまでが石化前の出来事だ。
遠い昔に全人類が石化して幾数千年が経った。
初めに石化から復活した第一弾の人々たちが必死に復興を進めたおかげで少しずつ文明が戻ってきているらしい。
……と、歴史の教科書にはそう綴られていた。
人類を全て復活させると目的を上げたものの全ての人間を一斉に復活出来るわけでなしある程度優先順位を設け段階的に復活させることが大昔に決まったそうで。
復興に役立つ人々は優先して復活したけど、しがない高校生の私なんかはものすごく遅れて復活した、とまず係の人に説明してもらった。
私が復活した時には復興も進んでいて以前と変わらず学生生活を送ることになって1ヶ月が経つだろうか。
周りの人達は新時代の人々ばかりで少々肩身が狭いが、他のクラスに旧時代の人がいるらしいので少し安心した。
もう文明も進んでいるし私としてはあまりあれから数千年が経っているとは実感が無かった。
と思っていたのだけれど。
歴史の小テストの問題を見て私は目を見開いた。
『人類復活の第一人者の名前を答えよ』
紙に印刷された白黒の写真。
最初に説明された時には半信半疑だったけれど
ここに至ってようやく分かった。
私にとってはまだ1ヶ月も前の事なのに。
「肖像画が舌出しってどうなの」
ポツリと小声で呟く。
あれほど睨んでいた後ろ姿はいつの間にか遠くへ行ってしまった。
あの後ろ姿が今になってもう一回でいいから見たい、なんて我ながらおかしな事を思うものだ。
「……一生忘れないから」