短編夢
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今日は体育祭、天候にも恵まれて空は雲一つないくらい晴れている。
半袖にするほど暑くなくはなく、かといって凍えるほど寒くはない。
今日ほど体育祭をするのにとっておきの日はないだろう。
私はテントの下に敷かれたブルーシートの上に体育座りをして心地のよい風を感じていた。
現在時刻は午後をちょっと過ぎた頃で後半戦が始まったところである。
先ほどまで昼食を囲んでいた面々は居らず私は一人ブルーシートの上にいる。
というのも千空は今の競技に出ているし大樹は次の競技に召集、杠は係員の為不在だ。
「そろそろ、千空の出番か」
今行われている競技は借り物競争だ。
千空ならば敬遠しそうな競技だ。(そもそも全部が嫌そうだけど)
が、いくら運動が苦手で体力がないといえども必ず一つは競技に出ねばならない。
じゃんけんの末決まったのがこの競技だ。
その他にも出ざるをおえなかったのか千空は数日前から端から見てもテンション駄々下がりな様子だ。
そうこうしているうちに千空の出番がやってきた。
ピストルの合図と共にスタート。
予想通り千空は一番後ろを走っている。
係員が持った箱をがさごそ探り千空は一枚の紙を取り出した。
さて、中身は何と書いてあるのだろう、と予想していると千空がなんとこちらに向かって走ってきた。
「おい!こっちこい」
手巻きしてこちらを見る千空。
後ろを振り返った私に対し千空は、おめーだよ!!早く!とずかずかとブルーシートの上を歩く。
「え、私……??」
「ほら、走るぞ」
ぐいぐいと手首を捕まれ私は慌ててシューズを履いた。
訳も分からず千空の手を握りしめて走り出す。
揺れるゼッケン姿の千空を見ながら走るというのは初めてだ。
手を繋ぐことすらあまりないのにこんな大勢の前で一緒に走るなんて公開処刑だ。
千空に促されるまま審査員の前に着く。
お題に合った物をちゃんと借りれたかどうか委員が判断するのがルールだ。
(あ、杠)
たまたま並んだところは杠だったらしく千空は杠にお題の紙を手渡した。
じゃあ、確認しますねーと杠はぺらりと紙を捲るな否や、わぉ、と驚きの声を上げて一瞬千空の方をちらりと見た。
「はい、確認出来ました、OKです!」
「じゃあ、とっとこゴールすんぞ」
と千空に促され再び走り出す。
視界の先にはゴールテープがあった。
ああ、あれをとったらもうこの状態とはおさらばなのだと思うと胸がきゅっと締め付けられた。
嬉しいような悲しいような、二つの気持ちに揺さぶられたせいかゴールする直前、つい手に力を加えてしまった。
そして夢のような手繋ぎは終わった。
結果は予想通り最下位。
クラスの人達はまぁ、予想通りだったのか、まぁ、石神だからな、と頷いている。
「ま、計算した通りの順位、だな」
走ったせいか千空の息は上がっている。
「あの、千空」
「“あ?しょうがねぇだろ、文化系人間なんだから」
走って疲れた、と千空はゆっくりとテントに向かって歩き始めた。
「いや、そっちじゃなくて、あ、別に心配してないってわけじゃないんだけど
その……手繋いだままだけど」
「…………!!」
千空はしまったと言わんばかりに驚きパッと手を直ぐに離した。
「“あーーー……悪ぃ」
千空もうっかりすることがあるのだな、と思いくすりと笑う。
「別にいいよ」
ほんとは直ぐに手を離されたのは少しがっかりしたけど、しょうがない。
このままクラスの前まで繋いでいたらそれこそ噂の種にされるだろう。
そんなことになったら千空は嫌がるだろうし私も彼の負担になるような事はしたくない。
だからきっとこの選択で間違ってない、はずなのに。
まだ名残惜しい。
離れた手はまだそこにあってあと数センチがもどかしく感じた。
気づけば体育祭は終わっていた。
「はあ、疲れた……」
明日は筋肉痛だな……と端から見ても疲労困憊な千空に私は苦笑いをした。
「お疲れ様、千空
っていっても千空あんま競技出てないじゃん
普段から運動しないから筋肉痛になるんだよ」
と小言を言うと千空は耳を手で塞いだ。
よっぽど運動したくないのだろう。
苦笑をしつつ一つ質問をしようもしたが、やめた。
借り物競争のお題の中身、結局分からずじまいだ。
千空に聞いても答えてくれずお題の中身を見た杠に聞くと答えてくれたが。(女子?だったか、知り合いの女子?だったような?とはぐらかされた)
こうなっては内容を何としても知りたいが隠されると知りたくもない気もする。
果たしてしって大丈夫なのだろうか。
本人は答えてくれなさそうだし……と千空を横目で見る。
「?なんだよ」
「あ、えーーと……
体育祭どうだった??」
「んなの答え決まってんだろ
悪いことだらけ…………」
と言いかけて千空は口を止めてニヤリと笑みを浮かべた。
「クク、まぁ一つくらいは良い事あったかもな??」
「え、何、何??」
その気になったら教えてやるよ、と千空は相変わらず意地悪だ。
教えてくれない事ばっかじゃないか。
「まぁ、そんなとこが好きなんだけど」
ボソリと呟く。
「何か言ったか??」
「教えてくれない、誰かさんには答えてあげなーい」
千空の横を追い越して走る。
後ろからちょっと待てと声がするが、まぁこのくらいいいだろうと思った。
半袖にするほど暑くなくはなく、かといって凍えるほど寒くはない。
今日ほど体育祭をするのにとっておきの日はないだろう。
私はテントの下に敷かれたブルーシートの上に体育座りをして心地のよい風を感じていた。
現在時刻は午後をちょっと過ぎた頃で後半戦が始まったところである。
先ほどまで昼食を囲んでいた面々は居らず私は一人ブルーシートの上にいる。
というのも千空は今の競技に出ているし大樹は次の競技に召集、杠は係員の為不在だ。
「そろそろ、千空の出番か」
今行われている競技は借り物競争だ。
千空ならば敬遠しそうな競技だ。(そもそも全部が嫌そうだけど)
が、いくら運動が苦手で体力がないといえども必ず一つは競技に出ねばならない。
じゃんけんの末決まったのがこの競技だ。
その他にも出ざるをおえなかったのか千空は数日前から端から見てもテンション駄々下がりな様子だ。
そうこうしているうちに千空の出番がやってきた。
ピストルの合図と共にスタート。
予想通り千空は一番後ろを走っている。
係員が持った箱をがさごそ探り千空は一枚の紙を取り出した。
さて、中身は何と書いてあるのだろう、と予想していると千空がなんとこちらに向かって走ってきた。
「おい!こっちこい」
手巻きしてこちらを見る千空。
後ろを振り返った私に対し千空は、おめーだよ!!早く!とずかずかとブルーシートの上を歩く。
「え、私……??」
「ほら、走るぞ」
ぐいぐいと手首を捕まれ私は慌ててシューズを履いた。
訳も分からず千空の手を握りしめて走り出す。
揺れるゼッケン姿の千空を見ながら走るというのは初めてだ。
手を繋ぐことすらあまりないのにこんな大勢の前で一緒に走るなんて公開処刑だ。
千空に促されるまま審査員の前に着く。
お題に合った物をちゃんと借りれたかどうか委員が判断するのがルールだ。
(あ、杠)
たまたま並んだところは杠だったらしく千空は杠にお題の紙を手渡した。
じゃあ、確認しますねーと杠はぺらりと紙を捲るな否や、わぉ、と驚きの声を上げて一瞬千空の方をちらりと見た。
「はい、確認出来ました、OKです!」
「じゃあ、とっとこゴールすんぞ」
と千空に促され再び走り出す。
視界の先にはゴールテープがあった。
ああ、あれをとったらもうこの状態とはおさらばなのだと思うと胸がきゅっと締め付けられた。
嬉しいような悲しいような、二つの気持ちに揺さぶられたせいかゴールする直前、つい手に力を加えてしまった。
そして夢のような手繋ぎは終わった。
結果は予想通り最下位。
クラスの人達はまぁ、予想通りだったのか、まぁ、石神だからな、と頷いている。
「ま、計算した通りの順位、だな」
走ったせいか千空の息は上がっている。
「あの、千空」
「“あ?しょうがねぇだろ、文化系人間なんだから」
走って疲れた、と千空はゆっくりとテントに向かって歩き始めた。
「いや、そっちじゃなくて、あ、別に心配してないってわけじゃないんだけど
その……手繋いだままだけど」
「…………!!」
千空はしまったと言わんばかりに驚きパッと手を直ぐに離した。
「“あーーー……悪ぃ」
千空もうっかりすることがあるのだな、と思いくすりと笑う。
「別にいいよ」
ほんとは直ぐに手を離されたのは少しがっかりしたけど、しょうがない。
このままクラスの前まで繋いでいたらそれこそ噂の種にされるだろう。
そんなことになったら千空は嫌がるだろうし私も彼の負担になるような事はしたくない。
だからきっとこの選択で間違ってない、はずなのに。
まだ名残惜しい。
離れた手はまだそこにあってあと数センチがもどかしく感じた。
気づけば体育祭は終わっていた。
「はあ、疲れた……」
明日は筋肉痛だな……と端から見ても疲労困憊な千空に私は苦笑いをした。
「お疲れ様、千空
っていっても千空あんま競技出てないじゃん
普段から運動しないから筋肉痛になるんだよ」
と小言を言うと千空は耳を手で塞いだ。
よっぽど運動したくないのだろう。
苦笑をしつつ一つ質問をしようもしたが、やめた。
借り物競争のお題の中身、結局分からずじまいだ。
千空に聞いても答えてくれずお題の中身を見た杠に聞くと答えてくれたが。(女子?だったか、知り合いの女子?だったような?とはぐらかされた)
こうなっては内容を何としても知りたいが隠されると知りたくもない気もする。
果たしてしって大丈夫なのだろうか。
本人は答えてくれなさそうだし……と千空を横目で見る。
「?なんだよ」
「あ、えーーと……
体育祭どうだった??」
「んなの答え決まってんだろ
悪いことだらけ…………」
と言いかけて千空は口を止めてニヤリと笑みを浮かべた。
「クク、まぁ一つくらいは良い事あったかもな??」
「え、何、何??」
その気になったら教えてやるよ、と千空は相変わらず意地悪だ。
教えてくれない事ばっかじゃないか。
「まぁ、そんなとこが好きなんだけど」
ボソリと呟く。
「何か言ったか??」
「教えてくれない、誰かさんには答えてあげなーい」
千空の横を追い越して走る。
後ろからちょっと待てと声がするが、まぁこのくらいいいだろうと思った。