短編夢
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「ねえ、千空
今日何か花火あるらしいよ?」
「花火??」
5月の末の事だ。
急に打ち上げ花火が全国でやるらしい、と噂を聞き付けた私は千空に話を持ちかけた。
夜の8時からとの事なので夕食をそれまでに終えて待っていたのだが。
「そろそろか」
時刻を見れば8時まであと数分だ。
私は千空に、電気消すね、と断りをいれてからスイッチをオフにした。
椅子に座って窓の向こう側に現れる大輪をいまかいまかと待つ。
「見えるかなあ」
「さぁな」
千空は興味なさそうにしていたが、視線は窓の方に向いていた。
テレビも消して聞こえるのは時計の音のみ。
8時になった。
「????始まらないね」
おっかしいな、と外を眺めたが、真っ暗な夜空が広がるだけだった。
「………聞こえねぇのも同然、か」
千空はスマホを片手に言った。
「打ち上げ場所はここだ
距離が離れてるから無理だな」
「そっか、ここからじゃ見えないか……」
それもそうだ。
事前に場所は明かされなかった。
だけに見える範囲でやってくれないかな、とつい願ってしまった。
「……残念、だね」
しょうがないと諦めて電気をつけようとした時、千空に止められた。
「ちょっと、待て」
待て、と言った千空は何やら押し入れをがさごそと漁りはじめた。
あった、と言って見せてきたのはよくある花火セットだった。
「ちょい湿気てるかもしんねぇが……
今から花火やらねぇか?
つってもベランダだから線香花火くらいしか出来ねぇが……」
「……やる!!」
ベランダに出て水を張った蝋燭に火をつけた。
幸い風はそれほど吹いていないので消える心配はなさそうだ。
線香花火に火を灯し………そして消えた。
「やっぱあんま時間持たねぇな」
外に出て他のやつもやるか?と言われたが私は首を横に振った。
「線香花火は線香花火で楽しいからこれでいいよ、それに……」
私は千空にもうちょっと近くに来てと頼んだ。
「ほら、千空の目に打ち上げ花火が映ってる」
千空は急に何だと眉を上げたが、少しして口元を緩ませた。
線香花火はまだある。
二人の時間はまだ始まったばかりだ。
今日何か花火あるらしいよ?」
「花火??」
5月の末の事だ。
急に打ち上げ花火が全国でやるらしい、と噂を聞き付けた私は千空に話を持ちかけた。
夜の8時からとの事なので夕食をそれまでに終えて待っていたのだが。
「そろそろか」
時刻を見れば8時まであと数分だ。
私は千空に、電気消すね、と断りをいれてからスイッチをオフにした。
椅子に座って窓の向こう側に現れる大輪をいまかいまかと待つ。
「見えるかなあ」
「さぁな」
千空は興味なさそうにしていたが、視線は窓の方に向いていた。
テレビも消して聞こえるのは時計の音のみ。
8時になった。
「????始まらないね」
おっかしいな、と外を眺めたが、真っ暗な夜空が広がるだけだった。
「………聞こえねぇのも同然、か」
千空はスマホを片手に言った。
「打ち上げ場所はここだ
距離が離れてるから無理だな」
「そっか、ここからじゃ見えないか……」
それもそうだ。
事前に場所は明かされなかった。
だけに見える範囲でやってくれないかな、とつい願ってしまった。
「……残念、だね」
しょうがないと諦めて電気をつけようとした時、千空に止められた。
「ちょっと、待て」
待て、と言った千空は何やら押し入れをがさごそと漁りはじめた。
あった、と言って見せてきたのはよくある花火セットだった。
「ちょい湿気てるかもしんねぇが……
今から花火やらねぇか?
つってもベランダだから線香花火くらいしか出来ねぇが……」
「……やる!!」
ベランダに出て水を張った蝋燭に火をつけた。
幸い風はそれほど吹いていないので消える心配はなさそうだ。
線香花火に火を灯し………そして消えた。
「やっぱあんま時間持たねぇな」
外に出て他のやつもやるか?と言われたが私は首を横に振った。
「線香花火は線香花火で楽しいからこれでいいよ、それに……」
私は千空にもうちょっと近くに来てと頼んだ。
「ほら、千空の目に打ち上げ花火が映ってる」
千空は急に何だと眉を上げたが、少しして口元を緩ませた。
線香花火はまだある。
二人の時間はまだ始まったばかりだ。