短編夢
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私のベットの横には窓がある。
こうして起き上がれる日には窓の外の世界を覗くのだ。
「あ」
野菜を彷彿とさせる特徴的な少年が家の側をちょうど歩いていた。
ほどなくしてドアをノックする音がして母親が入ってきた。
「またベットから起き上がって」
母親は溜め息をついた。
今日は調子が良かったから、と言おうとしたが代わりに口から出てきたのは咳だった。
この通り私は体があまり良くない。
入院と退院を繰り返し小学校に通えたのはほんの一握りでしかなかった。
学校に1日通えば熱を出しこうやってずっと家に居る。
「はい、今日も届いたわよ、プリント」
それは宿題のプリントだった。
あの少年が届けてくれたのだろう。
こうやって彼がプリント等を届けれくれるようになって数年が経つが実は彼の事を何にも知らないのだ。
知ってるのは名前だけ。
玄関で母に渡すだけでちゃんとお礼を言えた試しがない。
お礼を言いたいのだが、玄関までいく体力が無かった。
だから私は窓から見ているだけで。
話してみたい気もあるけれど。
こうやって窓から見ている事も知らないんだろうな、と帰る彼をそっと眺めていたら。
ふいに赤い眼と目が逢った。
空でも見たのだろうか彼は踵を返し帰っていった。
次の日、いつも通りやってきたプリントに嫌々目を通すと四隅に何か書いてあったのだ。
『いつも窓から見ての、バレバレだからな』
「えっ」
窓から外を見ると彼が立っていてしたり顔でこちらを見ていた。
バレていたのか、絶対知らないと思っていたのに、と羞恥心で顔を赤くすると彼はその様子を見て、しまった、と言わんばかりに顔をしかめた。
そして、翌日のプリントには。
『悪かった、体調大丈夫か』
と書かれていたのだ。
なるほど、ああいう表情をしたのは私が自分の行動によって熱が出たのではと思ったからか。
でも、どうしよう。
もう帰っちゃったし誤解を解くにはどうすれば…………
「そうか、こっちも書けばいいんだ」
直接会えないのなら文面に書けばいい。
とりあえず誤解を解くだけだから少しだけ。
『熱じゃないよ、恥ずかしかったの
心配してくれてありがとう、石神くん』
後はこの切れ端を母に手渡すだけだ。
それから一週間が経った。
「あきら、プリント来てるわよ」
相変わらず体の調子は良くない、良くないが。
楽しみが増えたのだ。
私は宿題をほっといてプリントの隅、端っこの方を見た。
『好きな科目は理科、算数
いや、科学だな』
へーーと言いながら次は何を聞こうと私は考えだした。
前回は好きな食べ物で、今回は好きな科目……
そうだ、次はこれにしようとメモ張に鉛筆を走らせた。
ふうと鉛筆を置いてプリントを胸にそっとのせて目を細めた。
「楽しみだなあ」
こうして起き上がれる日には窓の外の世界を覗くのだ。
「あ」
野菜を彷彿とさせる特徴的な少年が家の側をちょうど歩いていた。
ほどなくしてドアをノックする音がして母親が入ってきた。
「またベットから起き上がって」
母親は溜め息をついた。
今日は調子が良かったから、と言おうとしたが代わりに口から出てきたのは咳だった。
この通り私は体があまり良くない。
入院と退院を繰り返し小学校に通えたのはほんの一握りでしかなかった。
学校に1日通えば熱を出しこうやってずっと家に居る。
「はい、今日も届いたわよ、プリント」
それは宿題のプリントだった。
あの少年が届けてくれたのだろう。
こうやって彼がプリント等を届けれくれるようになって数年が経つが実は彼の事を何にも知らないのだ。
知ってるのは名前だけ。
玄関で母に渡すだけでちゃんとお礼を言えた試しがない。
お礼を言いたいのだが、玄関までいく体力が無かった。
だから私は窓から見ているだけで。
話してみたい気もあるけれど。
こうやって窓から見ている事も知らないんだろうな、と帰る彼をそっと眺めていたら。
ふいに赤い眼と目が逢った。
空でも見たのだろうか彼は踵を返し帰っていった。
次の日、いつも通りやってきたプリントに嫌々目を通すと四隅に何か書いてあったのだ。
『いつも窓から見ての、バレバレだからな』
「えっ」
窓から外を見ると彼が立っていてしたり顔でこちらを見ていた。
バレていたのか、絶対知らないと思っていたのに、と羞恥心で顔を赤くすると彼はその様子を見て、しまった、と言わんばかりに顔をしかめた。
そして、翌日のプリントには。
『悪かった、体調大丈夫か』
と書かれていたのだ。
なるほど、ああいう表情をしたのは私が自分の行動によって熱が出たのではと思ったからか。
でも、どうしよう。
もう帰っちゃったし誤解を解くにはどうすれば…………
「そうか、こっちも書けばいいんだ」
直接会えないのなら文面に書けばいい。
とりあえず誤解を解くだけだから少しだけ。
『熱じゃないよ、恥ずかしかったの
心配してくれてありがとう、石神くん』
後はこの切れ端を母に手渡すだけだ。
それから一週間が経った。
「あきら、プリント来てるわよ」
相変わらず体の調子は良くない、良くないが。
楽しみが増えたのだ。
私は宿題をほっといてプリントの隅、端っこの方を見た。
『好きな科目は理科、算数
いや、科学だな』
へーーと言いながら次は何を聞こうと私は考えだした。
前回は好きな食べ物で、今回は好きな科目……
そうだ、次はこれにしようとメモ張に鉛筆を走らせた。
ふうと鉛筆を置いてプリントを胸にそっとのせて目を細めた。
「楽しみだなあ」