短編夢
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「センクウ!!」
扉を開けてずかずかと図体の男が入ってきた。
話しかけられた男は振り返る事もなく作業を続けながら何だデカブツと返した。
「親父さんが……いや、国王がお呼びだ」
ピタリと手を止めセンクウは溜め息をついた。
「まーーたか、こりねぇな、ビャクヤも」
とりあえずその場を後にして大広間に向かうと父であるビャクヤが待っていた。
「センクウ」
「わーってるて、あれだろ?ビャクヤ」
重鎮である大臣のコクヨウが国王様だろう!と嗜めたがビャクヤは好きにしてやれと言う。
「で、どうだ?センクウ
お前が好きそうな子はいたか?」
「だから言ってんだろ
俺は結婚する気はねぇ」
何度目か分からないこのやりとりにビャクヤは困った。
なるべく意を尊重してやりたいが、次期国王である以上妃候補は必要だ。
数々の王家の娘を探しそのつど聞いていたのだが、センクウの答えはいつも、どうでもいい、だった。
「そうか…………ならしょうがないな」
やっと諦めてくれるかと思った瞬間ビャクヤは驚くべき発言をした。
「許嫁をつけるしかないな!」
「は?」
「父さんうっかり忘れてて今日から来る事になってるから、よろしくな」
ポンと肩に手を置かれてセンクウは絶句した。
今日から、だと?
絶対に俺が鼻っから縁談を蹴ると分かってていってんのか。
ビャクヤの狙いはきっとその許嫁が訪れ既成事実を作らせる事に違いない。
そうなれば自動的に結婚が決まってしまう。
「なるべくセンクウに合いそうな子を選んだから仲良くな」
わなわな震えていると突然兵が入ってきた。
「し、失礼します!」
コクヨウが急になんだと声を張り上げたが兵は緊急事態ですと告げた。
「その……今日来られる予定だったあきら姫様ですが……
来る途中の馬車から居られなくなったそうで……」
「ゆ、誘拐か!?」
どこの勢力か分からないが、もし仮に王国の者だった場合一気に関係が悪くなってしまう。
「い、いえ、誘拐ではなく……
その、あきら姫様が自ら逃げたらしいのです」
「に、逃げた……」
思わずビャクヤ達がドン引きする中センクウだけがうすら笑いをしていた。
とんだ災難に巻き込まれたと思っていたが、不幸中の幸いと言えるかもしれない。
同刻、とある兄弟は町の警備に当たっていた。
あくびをした弟を兄は叱責した。
「はあああ……僕一生警備してるのかなあ
そういえば隣の国のお姫様が来るらしいこど偶然会えないかなあ」
「一般兵の俺らがそんな人逢えるわけないだろうギンロウ」
「夢が無いよねぇ、キンロウはさあ……」
ギンロウは地べたに座ろうとするとまたもや叱られたのでふてくされた。
「もし万が一来るとしたら厳重な警備だし顔なんぞ見えんだろう」
「そうだよねぇ……」
と呟いた二人に話しかけた者がいた。
「すまないが、城はどちらだろうか」
「城なら向こうだが……」
「ありがとう」
礼を言って遠ざかった人物を二人は呆然と眺めていた。
「お、お姫、さま?」
「いや、しかし何故メイドに抱き抱えられていたんだ?」
メイドに抱きかかえられていた人は麗しいドレスを身に纏っていてそれこそ姫であった。
「失礼する、姫をお届けに参った」
「コハク、元気そうで何よりだ
して……何故姫は失神しておられるのだ」
コハクの父コクヨウは再会に喜んだものの奇妙な登場に顔を鈍らせた。
「ハッ、仕方がない事だ
こうでもしなければ逃げ出すのでな」
王子に加え許嫁となる姫までも悩みの種になりそうだとコクヨウは眉間を押さえた。
「起きていないんじゃ、話が出来ねぇな
おい」
センクウはツンツン額をつついて起こそうとした。
「こら!起こそうとするな!」
が、刺激が加えられたせいかあきらは目を覚ましてしまった。
コハクの腕からするりと抜け出し門へと素早いスピードで駆けた。
が、コハクも動揺に素早くまた捕まってしまった。
「無駄だ、姫」
観念しろと言われあきらは溜め息をついた。
「もう城の中に着いてるんじゃしょうがないか……」
「てめぇが俺の許嫁ってやつか」
センクウは先ほどの行動からもしかしたら自分と同じかもしれないと期待を込めて話しかけた。
「そうらしいけど
私はあなたと結婚する気は一切、ありません」
どよどよと大臣達が困惑し始めた。
これでは連れてきた意味がない。
この姫が駄目ならまた別の姫を探すしかーーと思い始めていた矢先センクウが動いた。
「ちょっと着いてこい
てめぇだけに用がある」
そうして返事を聞かないまま手を引っ張って行ってしまった。
「どうしたんだ、センクウ」
「こ、心変わりですかね?」
しかし、ビャクヤはとある懸念をしていた。
「お前、結婚したくないんだって?
奇遇だ、俺もだ」
「なら結婚しなければいいだけじゃない
今すぐにでも解消してーー」
しかしセンクウは首を横に振った。
「俺らが結託して無かった事にしてもまた同じ事が繰り返されるだけだ」
このチャンスは二度と訪れない。
自分と同じく結婚を嫌がる姫。
「俺らは仲良くなるように振る舞うんだ
それこそ睦まじい恋人のようにな」
「そんな事して意味あるの」
「意味はある
俺達以外の誰もがそれを疑わないようになった時
姫には死んでもらう」
あきらはビクリと怯えたがセンクウは訂正した。
「待て、ほんとに死んでもらうつもりはねぇ
死んだって思わせるだけだ
どのみち国に帰ってもまた送り出されるだけだろ
なら……姫を捨てて別の人間として生きるさか、道はねぇ」
「捨てる……」
それは生まれ育った場所に別れを告げるということ。
「そんで、俺は……
まぁ、そんな相手が死んだってなりゃ流石に新しい相手を探すのは当分止めるだろ」
本当は気が進まないが、ほぼ毎日話題に出されてはたまらない。
「で、どうする?」
「……それが最善策なら」
「なら契約完了だな」
扉を開けてずかずかと図体の男が入ってきた。
話しかけられた男は振り返る事もなく作業を続けながら何だデカブツと返した。
「親父さんが……いや、国王がお呼びだ」
ピタリと手を止めセンクウは溜め息をついた。
「まーーたか、こりねぇな、ビャクヤも」
とりあえずその場を後にして大広間に向かうと父であるビャクヤが待っていた。
「センクウ」
「わーってるて、あれだろ?ビャクヤ」
重鎮である大臣のコクヨウが国王様だろう!と嗜めたがビャクヤは好きにしてやれと言う。
「で、どうだ?センクウ
お前が好きそうな子はいたか?」
「だから言ってんだろ
俺は結婚する気はねぇ」
何度目か分からないこのやりとりにビャクヤは困った。
なるべく意を尊重してやりたいが、次期国王である以上妃候補は必要だ。
数々の王家の娘を探しそのつど聞いていたのだが、センクウの答えはいつも、どうでもいい、だった。
「そうか…………ならしょうがないな」
やっと諦めてくれるかと思った瞬間ビャクヤは驚くべき発言をした。
「許嫁をつけるしかないな!」
「は?」
「父さんうっかり忘れてて今日から来る事になってるから、よろしくな」
ポンと肩に手を置かれてセンクウは絶句した。
今日から、だと?
絶対に俺が鼻っから縁談を蹴ると分かってていってんのか。
ビャクヤの狙いはきっとその許嫁が訪れ既成事実を作らせる事に違いない。
そうなれば自動的に結婚が決まってしまう。
「なるべくセンクウに合いそうな子を選んだから仲良くな」
わなわな震えていると突然兵が入ってきた。
「し、失礼します!」
コクヨウが急になんだと声を張り上げたが兵は緊急事態ですと告げた。
「その……今日来られる予定だったあきら姫様ですが……
来る途中の馬車から居られなくなったそうで……」
「ゆ、誘拐か!?」
どこの勢力か分からないが、もし仮に王国の者だった場合一気に関係が悪くなってしまう。
「い、いえ、誘拐ではなく……
その、あきら姫様が自ら逃げたらしいのです」
「に、逃げた……」
思わずビャクヤ達がドン引きする中センクウだけがうすら笑いをしていた。
とんだ災難に巻き込まれたと思っていたが、不幸中の幸いと言えるかもしれない。
同刻、とある兄弟は町の警備に当たっていた。
あくびをした弟を兄は叱責した。
「はあああ……僕一生警備してるのかなあ
そういえば隣の国のお姫様が来るらしいこど偶然会えないかなあ」
「一般兵の俺らがそんな人逢えるわけないだろうギンロウ」
「夢が無いよねぇ、キンロウはさあ……」
ギンロウは地べたに座ろうとするとまたもや叱られたのでふてくされた。
「もし万が一来るとしたら厳重な警備だし顔なんぞ見えんだろう」
「そうだよねぇ……」
と呟いた二人に話しかけた者がいた。
「すまないが、城はどちらだろうか」
「城なら向こうだが……」
「ありがとう」
礼を言って遠ざかった人物を二人は呆然と眺めていた。
「お、お姫、さま?」
「いや、しかし何故メイドに抱き抱えられていたんだ?」
メイドに抱きかかえられていた人は麗しいドレスを身に纏っていてそれこそ姫であった。
「失礼する、姫をお届けに参った」
「コハク、元気そうで何よりだ
して……何故姫は失神しておられるのだ」
コハクの父コクヨウは再会に喜んだものの奇妙な登場に顔を鈍らせた。
「ハッ、仕方がない事だ
こうでもしなければ逃げ出すのでな」
王子に加え許嫁となる姫までも悩みの種になりそうだとコクヨウは眉間を押さえた。
「起きていないんじゃ、話が出来ねぇな
おい」
センクウはツンツン額をつついて起こそうとした。
「こら!起こそうとするな!」
が、刺激が加えられたせいかあきらは目を覚ましてしまった。
コハクの腕からするりと抜け出し門へと素早いスピードで駆けた。
が、コハクも動揺に素早くまた捕まってしまった。
「無駄だ、姫」
観念しろと言われあきらは溜め息をついた。
「もう城の中に着いてるんじゃしょうがないか……」
「てめぇが俺の許嫁ってやつか」
センクウは先ほどの行動からもしかしたら自分と同じかもしれないと期待を込めて話しかけた。
「そうらしいけど
私はあなたと結婚する気は一切、ありません」
どよどよと大臣達が困惑し始めた。
これでは連れてきた意味がない。
この姫が駄目ならまた別の姫を探すしかーーと思い始めていた矢先センクウが動いた。
「ちょっと着いてこい
てめぇだけに用がある」
そうして返事を聞かないまま手を引っ張って行ってしまった。
「どうしたんだ、センクウ」
「こ、心変わりですかね?」
しかし、ビャクヤはとある懸念をしていた。
「お前、結婚したくないんだって?
奇遇だ、俺もだ」
「なら結婚しなければいいだけじゃない
今すぐにでも解消してーー」
しかしセンクウは首を横に振った。
「俺らが結託して無かった事にしてもまた同じ事が繰り返されるだけだ」
このチャンスは二度と訪れない。
自分と同じく結婚を嫌がる姫。
「俺らは仲良くなるように振る舞うんだ
それこそ睦まじい恋人のようにな」
「そんな事して意味あるの」
「意味はある
俺達以外の誰もがそれを疑わないようになった時
姫には死んでもらう」
あきらはビクリと怯えたがセンクウは訂正した。
「待て、ほんとに死んでもらうつもりはねぇ
死んだって思わせるだけだ
どのみち国に帰ってもまた送り出されるだけだろ
なら……姫を捨てて別の人間として生きるさか、道はねぇ」
「捨てる……」
それは生まれ育った場所に別れを告げるということ。
「そんで、俺は……
まぁ、そんな相手が死んだってなりゃ流石に新しい相手を探すのは当分止めるだろ」
本当は気が進まないが、ほぼ毎日話題に出されてはたまらない。
「で、どうする?」
「……それが最善策なら」
「なら契約完了だな」