短編夢
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「バレンタインとは何だ???」
冬のある日コハクたちが聞いてきた。
私と杠は顔を見合わせて驚いた。
「そっか、伝わってないのか」
「そもそもチョコがないもんね……」
西洋のバレンタインと日本のバレンタインはおおよそ違うものだが、ここは日本。
一般的な流れを説明することにした。
「あのね、バレンタインっていうのは……」
杠がおおまかに概要を説明するとコハクは爛々と目を輝かせた。
「なるほど、好きな男にアタックする日なのだな!!
となると杠は大樹で……」
そしてはコハクはちらりと私の方も見てにやついた。
「千空、だな?」
私も杠も赤面してしまう。
「そ、そんな……!!
や、やだなあ!!か、感謝の気持ちだよ!?
告白するなんて……!!」
手をぶんぶん振って杠は否定する。
「と、友チョコもあるから!!
何も告白だけじゃないし!!」
杠はともかく私はまだ千空に思いを伝える気にはなれず未だ友人のままだ。
「そうかーー」
コハクはつまらんとちょっとガッカリした様子だ。
そもそもチョコがないからバレンタインデーなどないと思ったが、何と千空が科学を駆使して代用チョコを作ってくれた。
一体どこから話が行ったのか。
まぁ、考えるまでもなく傍を彷徨いていたとある門番の一人やメンタリストが話を持ち掛けたのだろう。
チョコの代用が出来たとはいえ当の本人が作ったものを上げるというのは如何なものかと私は悩んだ。
あと、出来れば知られたくないものだがそこはしょうがない。
「板チョコのままはなあ……」
それでは味気がないし特別感はない。
変に凝っては悟られるかもしれないけど、このままは嫌だとチョコとにらめっこしていたのだが、不思議に思ったフランソワが声をかけてきた。
このままではありきたりで悩んでいたと伝えるとフランソワは提案した。
「それではその代用チョコを作り替えるのは如何でしょうか?」
そう言うとフランソワは高速スピードで調理し気づいた時には別のチョコが出来ていた。
そのチョコは丸く作られこれなら何とか渡せそうだ。
「フランソワ、これは?」
「はい、トリュフでございます」
牛乳の代わりにヤギのを使った生トリュフだった。
「ただし少しワインを使っております
少々なので千空さんでも大丈夫だと思いますよ」
「あ、ありえそうございます……」
千空に渡すとは言っていなかったが、いつの間にかバレていたらしい。
フランソワに教わって完成したトリュフを藁で編んだ簡単な入れ物に入れて千空の元へと急いだ。
気づけば日は傾き外はだいぶ暗かった。
千空は相変わらず研究室に籠っていた。
思えば今日顔を会わしていないことに気づいて緊張の為か鼓動が徐々に速くなっていく。
他の人にはもうチョコを貰ったんだろうか。
そして千空は何て反応したんだろう。
拒否する?いや杠たちからはそんな話は聞いていない。
只の糖分補給だって言うだろうか。
その可能性の方が正しいかもしれない。
千空は。
チョコを貰いたいって思うのかな。
誰から?
今まで出会ってきた女性陣の顔を思い浮かべると心がじんじん痛んだ。
「千空」
背を向けた彼に声をかけるとため息をつかれた。
何かため息をつかれるような事をしてしまったのだろうか。
実験を妨げた?と思案していると千空が振り返った。
「……何かようか」
千空は用紙を片手に問いかけた。
「あ、あの、これ
いつものお礼」
チョコを差し出すと千空の頬が若干緩んだ気がしたけど、やっぱりいつものままだった。
「……ああ、ありがとよ」
箱を開けると千空は少し目を見開いた。
「板、チョコじゃねぇ?」
「元は板チョコだよ」
フランソワに教わって作ったのと言うと千空はまじまじとトリュフを見る。
「糖分補給には持ってこいっていうしな
おありがたく頂いとくわ」
ひょいと一つ摘まんで口の中へと放り込まれるのを見て私はほっとした。
良かった、ちゃんと食べてくれた。
もし食べてくれなかったらどうしようと策を練るくらいに心配していた。
いっそのこと無理やり押し込んでやろうかとも思ったけど、そんなことしたら嫌われるに違いない。
「……??普通のトリュフじゃねぇな」
「そうだ、ワイン使ってるからアルコール入ってるよ
微々たるもんだし体暖めるにはいいでしょ」
フランソワも特に問題はないと言っていた。
すると千空は口元に手を当て俯いてしまった。
「ど、どうかしたの!?千空?」
近寄って顔色を見ようとした時いきなり千空に抱き締められた。
「……へ??」
「“あーー悪い、酔っちまった」
肩に頭をぐりぐり押し付けられて密着させられ私はパニック寸前だった。
酔った?あんな微量で?
とはいえ千空はまだ未成年だ。
少量でも酔ってしまうのかもしれない。
「せ、せ、千空、離れたほうが……!」
「安心しろ、誰も来やしねぇよ」
急にどうしたんだろう、と思ったが好きな人に抱き締められて嬉しく思わないわけがない。
「酒が切れるまで辛抱してくれ」
「わ、分かった」
こんなに近くに千空がいる。
距離を縮めていいのか分からず千空との距離は絶えず空いていた。
この日だけは、今だけは。
だれも来ない事を祈る。
どうかこの時間が続きますように。
冬のある日コハクたちが聞いてきた。
私と杠は顔を見合わせて驚いた。
「そっか、伝わってないのか」
「そもそもチョコがないもんね……」
西洋のバレンタインと日本のバレンタインはおおよそ違うものだが、ここは日本。
一般的な流れを説明することにした。
「あのね、バレンタインっていうのは……」
杠がおおまかに概要を説明するとコハクは爛々と目を輝かせた。
「なるほど、好きな男にアタックする日なのだな!!
となると杠は大樹で……」
そしてはコハクはちらりと私の方も見てにやついた。
「千空、だな?」
私も杠も赤面してしまう。
「そ、そんな……!!
や、やだなあ!!か、感謝の気持ちだよ!?
告白するなんて……!!」
手をぶんぶん振って杠は否定する。
「と、友チョコもあるから!!
何も告白だけじゃないし!!」
杠はともかく私はまだ千空に思いを伝える気にはなれず未だ友人のままだ。
「そうかーー」
コハクはつまらんとちょっとガッカリした様子だ。
そもそもチョコがないからバレンタインデーなどないと思ったが、何と千空が科学を駆使して代用チョコを作ってくれた。
一体どこから話が行ったのか。
まぁ、考えるまでもなく傍を彷徨いていたとある門番の一人やメンタリストが話を持ち掛けたのだろう。
チョコの代用が出来たとはいえ当の本人が作ったものを上げるというのは如何なものかと私は悩んだ。
あと、出来れば知られたくないものだがそこはしょうがない。
「板チョコのままはなあ……」
それでは味気がないし特別感はない。
変に凝っては悟られるかもしれないけど、このままは嫌だとチョコとにらめっこしていたのだが、不思議に思ったフランソワが声をかけてきた。
このままではありきたりで悩んでいたと伝えるとフランソワは提案した。
「それではその代用チョコを作り替えるのは如何でしょうか?」
そう言うとフランソワは高速スピードで調理し気づいた時には別のチョコが出来ていた。
そのチョコは丸く作られこれなら何とか渡せそうだ。
「フランソワ、これは?」
「はい、トリュフでございます」
牛乳の代わりにヤギのを使った生トリュフだった。
「ただし少しワインを使っております
少々なので千空さんでも大丈夫だと思いますよ」
「あ、ありえそうございます……」
千空に渡すとは言っていなかったが、いつの間にかバレていたらしい。
フランソワに教わって完成したトリュフを藁で編んだ簡単な入れ物に入れて千空の元へと急いだ。
気づけば日は傾き外はだいぶ暗かった。
千空は相変わらず研究室に籠っていた。
思えば今日顔を会わしていないことに気づいて緊張の為か鼓動が徐々に速くなっていく。
他の人にはもうチョコを貰ったんだろうか。
そして千空は何て反応したんだろう。
拒否する?いや杠たちからはそんな話は聞いていない。
只の糖分補給だって言うだろうか。
その可能性の方が正しいかもしれない。
千空は。
チョコを貰いたいって思うのかな。
誰から?
今まで出会ってきた女性陣の顔を思い浮かべると心がじんじん痛んだ。
「千空」
背を向けた彼に声をかけるとため息をつかれた。
何かため息をつかれるような事をしてしまったのだろうか。
実験を妨げた?と思案していると千空が振り返った。
「……何かようか」
千空は用紙を片手に問いかけた。
「あ、あの、これ
いつものお礼」
チョコを差し出すと千空の頬が若干緩んだ気がしたけど、やっぱりいつものままだった。
「……ああ、ありがとよ」
箱を開けると千空は少し目を見開いた。
「板、チョコじゃねぇ?」
「元は板チョコだよ」
フランソワに教わって作ったのと言うと千空はまじまじとトリュフを見る。
「糖分補給には持ってこいっていうしな
おありがたく頂いとくわ」
ひょいと一つ摘まんで口の中へと放り込まれるのを見て私はほっとした。
良かった、ちゃんと食べてくれた。
もし食べてくれなかったらどうしようと策を練るくらいに心配していた。
いっそのこと無理やり押し込んでやろうかとも思ったけど、そんなことしたら嫌われるに違いない。
「……??普通のトリュフじゃねぇな」
「そうだ、ワイン使ってるからアルコール入ってるよ
微々たるもんだし体暖めるにはいいでしょ」
フランソワも特に問題はないと言っていた。
すると千空は口元に手を当て俯いてしまった。
「ど、どうかしたの!?千空?」
近寄って顔色を見ようとした時いきなり千空に抱き締められた。
「……へ??」
「“あーー悪い、酔っちまった」
肩に頭をぐりぐり押し付けられて密着させられ私はパニック寸前だった。
酔った?あんな微量で?
とはいえ千空はまだ未成年だ。
少量でも酔ってしまうのかもしれない。
「せ、せ、千空、離れたほうが……!」
「安心しろ、誰も来やしねぇよ」
急にどうしたんだろう、と思ったが好きな人に抱き締められて嬉しく思わないわけがない。
「酒が切れるまで辛抱してくれ」
「わ、分かった」
こんなに近くに千空がいる。
距離を縮めていいのか分からず千空との距離は絶えず空いていた。
この日だけは、今だけは。
だれも来ない事を祈る。
どうかこの時間が続きますように。