短編夢
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携帯電話作りに悪党苦戦していた冬のある日の事だ。
「千空、何か手伝える事はない?」
話しかけられて千空は作業の手を止めた。
「もうてめえには作業振ってんだろ」
配線の元になる金の細線をよじる作業があるはずだ、しかもたんまりと。
「や、それはあるんだけどさ
えっと、そのちょっと手が空いたから何か手伝える事はないかなって」
「っていってもなあ」
というか何故急にと聞くとあきらはこう答えた。
「よく考えたらっていうか考えるまでもないんだけど
千空に頼りっぱなしで……力になれてないなって思って……
科学の事は何にも分かんないしサポート出来ないしさ
難しいとは思うんだけど」
懇願してくるあきらに千空は困った顔をした。
もう十分力になれていると千空は思う。
実際大きく貢献してくれているのだ。
(これ以上、なあ……)
顎に手を当てて思考を巡らせているとあきらが口を開いた。
「そうだ、肩凝ってない!?」
「は?」
つい、いらねぇと言いかけて千空は意図に気付いた。
多分だと思うがあきらが気にしているのは体力的なあれこれではない。
恐らく内面的な何かだと。
「じゃあ、ちょっと背中貸してくれ」
千空に背を向けるよう頼まれなんの事だか分からないけど、とりあえず背中を向いて座らされた。
「こ、これでいいの」
ああと答えた千空はあきらの背に自身の背をくっつけて座り込んだ。
「……ねぇ、こんなんで本当にいいの?」
大した事してないと文句を少し言われて苦笑する。
「こんなんでいいんだよ、十分だ」
全く、とあきらは溜め息をついて膝を抱えた。
「気ぃ遣ってくれてありがとな」
「……別に……、普通だっての
寒くない?」
寒いと聞かれれば寒い内に入るだろう。
季節は真冬だ、でも。
「寒くねぇよ、背中が暖かいからな」
目線だけを後ろに移しあきらの手に触れた。
「そりゃどうも」
今夜の星空はよく映える。