短編夢
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最初のプレゼントは何だったか。
確かボールペンだったような気がする。
誕生日の日を伝えなかったら、大樹、杠を通して知られてしまった。
知ったのが当日だったので、プレゼントを用意する暇が無かったと少し怒られながらプレゼント用の包みを渡されたのを今でも覚えている。
翌年は準備する期間があったのか、手作りのマフラーだった。
杠に教えられて編んだ物だったが、出来は不恰好だし刺繍も上出来ではなかった。
しかし、絆創膏だらけの指を見ると以下に苦戦したかが分かる。
千空はそのマフラーを大事に大事に使い、例え本人からボロボロだから捨てていいと言われても尚着けていた。
あきらからのプレゼントは本人の気分と千空の状況によって変わった。
ある年はケーキだったり、スーツにつけるアクセサリーだったりした。
そしてあきらと出会ってから十年以上が経った頃。
例年通りプレゼントを抱えてやってきたあきらに交換だと千空は言った。
それは婚約指輪だった。
「プレゼントありがとよ
……毎年、いやずっとプレゼントを受けとる代わりにこれを受け取ってくれねぇか?」
あきらは涙を流し指輪を受け取った。
そうして、千空とあきらは夫婦になった。
千空は科学者である。
当然海外で仕事をする事もあり、たまたま誕生日と重なる事はあった。
あきらも日本で仕事があり、向こうに祝いにいく事は無かったがスマホでメッセージを送り祝わない事は無かった。
そう、どんな時も。
多少昔に上げたプレゼントと重なる時はあったけれど、あきらは決して祝う事を辞めずにプレゼントと祝いの言葉を千空に贈る。
結婚前は親友達と共に祝い、千空と二人っきりで。
結婚後は親と生まれてきた子供や度々友人と。
数年に一度は二人で出掛け歳をとってもデートをした。
「ずっと、一緒にいようね、千空」
「あ“あ、ずっとな」
しかし、永遠はない。
人間足るものそんな物はないと千空は知っていたはずなのに、事実から目を背けた。
いつか、こんな日が来ると分かっていたのに。
眼を覚ました千空はベットから起き上がり時刻を見るとお昼の手前だった。
「あ“あ、今日1月4日だったか」
(もう何十年も0時になったら祝ってたからなあ)
実感がわかねえ、と千空は色んな人物から祝いのメッセージが届いている事に気づいた。
それは親友や家族からだったり、仕事関係の人物やらそれはもうたくさんの人々から届いていた。
「どんだけ送ってきやがんだ」
読めきれねえと千空は一旦居間に向かった。
「悪い、昼まで寝ちまってた……」
と言いかけてこの家には自分一人しかいないことを思い出した。
「そうか……もう居ないんだったな……」
あきらがこの世を去ってから初めての誕生日だった。
がらんと静けさの居間にいると何か調子が狂いそうで出かける用意をし始めようとした時チャイムが鳴った。
来訪の人物は千空の子供達だった。
「父さん、誕生日おめでとう!!」
「あ“あ、お前らか」
せっかく来たのに全く嬉しそうにしない素振りをした千空だったが、子供には筒抜けだったらしい。
静かだった石神家にまた活気が戻った。
幼い孫が家を駆け回るのを見て千空は目を細めた。
「そうだ、父さん、誕生日プレゼント
それと……これは母さんから」
子供達が外に隠していたプレゼントを持ってきた。
「俺たちは一旦出るからこの動画を見て欲しい」
パッと壁に投影された動画は生前のあきらの姿だった。
「あきら…………」
背景が病院のである事を考えれば入院中に撮った映像なのだろう。
「あなた、お誕生日おめでとう
えっと……何歳かしら……?」
あ、そうそう、思い出したわとあきらは嬉しそうに話す。
「ちゃんとね、誕生日プレゼント用意してるからね、今回贈るのは荷物になるから最悪捨ててくれてもいいわ」
「プレゼントはね、薔薇よ
あなたが欲しい物ではないだろうけど、
私のメッセージを伝えたかったの」
やけに本数が多い。
「144本の薔薇が今年の誕生日プレゼント
本人には意味があってね……」
144本の意味は。
「何度生まれ変わっても君を愛する
千空、ずっとずっとあなたが好きよ」
ずっと一緒に居られなくてごめんなさいとあきらの目から涙が溢れた時、千空の手にも
水滴が落ちた。
「あ“あ、知ってる、よーく知ってるわ
てめえの事は俺が一番知ってるが……
ったく、こんな事仕込んでたとはな」
驚かされたぜと千空は映像を見て笑った。
そうして、千空は年に一度過去から贈られてくるプレゼントを楽しみにするようになった。
確かボールペンだったような気がする。
誕生日の日を伝えなかったら、大樹、杠を通して知られてしまった。
知ったのが当日だったので、プレゼントを用意する暇が無かったと少し怒られながらプレゼント用の包みを渡されたのを今でも覚えている。
翌年は準備する期間があったのか、手作りのマフラーだった。
杠に教えられて編んだ物だったが、出来は不恰好だし刺繍も上出来ではなかった。
しかし、絆創膏だらけの指を見ると以下に苦戦したかが分かる。
千空はそのマフラーを大事に大事に使い、例え本人からボロボロだから捨てていいと言われても尚着けていた。
あきらからのプレゼントは本人の気分と千空の状況によって変わった。
ある年はケーキだったり、スーツにつけるアクセサリーだったりした。
そしてあきらと出会ってから十年以上が経った頃。
例年通りプレゼントを抱えてやってきたあきらに交換だと千空は言った。
それは婚約指輪だった。
「プレゼントありがとよ
……毎年、いやずっとプレゼントを受けとる代わりにこれを受け取ってくれねぇか?」
あきらは涙を流し指輪を受け取った。
そうして、千空とあきらは夫婦になった。
千空は科学者である。
当然海外で仕事をする事もあり、たまたま誕生日と重なる事はあった。
あきらも日本で仕事があり、向こうに祝いにいく事は無かったがスマホでメッセージを送り祝わない事は無かった。
そう、どんな時も。
多少昔に上げたプレゼントと重なる時はあったけれど、あきらは決して祝う事を辞めずにプレゼントと祝いの言葉を千空に贈る。
結婚前は親友達と共に祝い、千空と二人っきりで。
結婚後は親と生まれてきた子供や度々友人と。
数年に一度は二人で出掛け歳をとってもデートをした。
「ずっと、一緒にいようね、千空」
「あ“あ、ずっとな」
しかし、永遠はない。
人間足るものそんな物はないと千空は知っていたはずなのに、事実から目を背けた。
いつか、こんな日が来ると分かっていたのに。
眼を覚ました千空はベットから起き上がり時刻を見るとお昼の手前だった。
「あ“あ、今日1月4日だったか」
(もう何十年も0時になったら祝ってたからなあ)
実感がわかねえ、と千空は色んな人物から祝いのメッセージが届いている事に気づいた。
それは親友や家族からだったり、仕事関係の人物やらそれはもうたくさんの人々から届いていた。
「どんだけ送ってきやがんだ」
読めきれねえと千空は一旦居間に向かった。
「悪い、昼まで寝ちまってた……」
と言いかけてこの家には自分一人しかいないことを思い出した。
「そうか……もう居ないんだったな……」
あきらがこの世を去ってから初めての誕生日だった。
がらんと静けさの居間にいると何か調子が狂いそうで出かける用意をし始めようとした時チャイムが鳴った。
来訪の人物は千空の子供達だった。
「父さん、誕生日おめでとう!!」
「あ“あ、お前らか」
せっかく来たのに全く嬉しそうにしない素振りをした千空だったが、子供には筒抜けだったらしい。
静かだった石神家にまた活気が戻った。
幼い孫が家を駆け回るのを見て千空は目を細めた。
「そうだ、父さん、誕生日プレゼント
それと……これは母さんから」
子供達が外に隠していたプレゼントを持ってきた。
「俺たちは一旦出るからこの動画を見て欲しい」
パッと壁に投影された動画は生前のあきらの姿だった。
「あきら…………」
背景が病院のである事を考えれば入院中に撮った映像なのだろう。
「あなた、お誕生日おめでとう
えっと……何歳かしら……?」
あ、そうそう、思い出したわとあきらは嬉しそうに話す。
「ちゃんとね、誕生日プレゼント用意してるからね、今回贈るのは荷物になるから最悪捨ててくれてもいいわ」
「プレゼントはね、薔薇よ
あなたが欲しい物ではないだろうけど、
私のメッセージを伝えたかったの」
やけに本数が多い。
「144本の薔薇が今年の誕生日プレゼント
本人には意味があってね……」
144本の意味は。
「何度生まれ変わっても君を愛する
千空、ずっとずっとあなたが好きよ」
ずっと一緒に居られなくてごめんなさいとあきらの目から涙が溢れた時、千空の手にも
水滴が落ちた。
「あ“あ、知ってる、よーく知ってるわ
てめえの事は俺が一番知ってるが……
ったく、こんな事仕込んでたとはな」
驚かされたぜと千空は映像を見て笑った。
そうして、千空は年に一度過去から贈られてくるプレゼントを楽しみにするようになった。