短編夢
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石神千空はとても高校生とは思えないほど
とても賢い。
実際科学に関する科目は毎度テストで満点を上回るほど優れていた。
論文等に必要な英語はネイティブな発音で英会話も大した事がないくらい得意だ。
もはや彼に不得意な科目はない……と思われがちだが、もちろん得意ではない科目はある。
一つは体育。
体力、運動神経が全くない千空は通知表で1レベルである。
それともう一つ。
これが厄介なやつで現代文という。
幅広く言うと国語全般だが、千空はこの教科に苦戦を強いられている。
漢字等は概ね大丈夫だが、これはどう足掻こうがお手上げだった。
「作者の気持ちを答えろ、だあ??
んなもん分かるか」
椅子からのっけぞりだらけた千空を(名前)が咎めた。
「ちょっと千空、初っぱなから諦めないで」
普段理系の科目を習っているあきらと千空の立場が完全逆転している。
理系の千空にとって文章を読み解く現代文は苦手分野だ。
参考書には問題の文章には出題者の意図が組まれているから意識するように、と書かれているが分かるか、くそ。
「最低赤点は回避しないといけないんだからさあ」
入試なら選択が出来るが、定期試験となると話は別だ。
「何でもいいからとりあえず書いてよ」
千空はシャーペンをくるくる回し思案した。
(何でもねえ…………)
千空がカリカリと用紙に書き込む。
「ほい」
「いや、早すぎない?」
スピードが気になるものの、用紙に目を通すと。
『お前が好き』
とだけ書かれていた。
「~~っ、真面目にやって!」
関係ない事書いて……とあきらは顔を真っ赤にした。
(千空とは恋人同士だから気持ちは知ってるんだけど)
「真面目にやってるぜ
気持ちを書いたんだからな」
「千空、の、とは書かれてないけど?」
じとりと睨むと千空は用紙をトントンと指で指した。
「返事」
書け、と言う事か。
しょうがないとあきらは椅子に座り直して用紙に文字を書き込んだ。
そして、千空に無言で紙を差し出した。
『私もって言いたいけれど
最近この感情が好きというものなのか疑問に思う』
まて、おい、初耳なんだが。
しかし、文章はまだ続いている。
『千空と付き合ってしばらく経つけれど
今まで以上に思いが溢れているような感覚になる
もっと、声を聴きたい、体温に触れたい
抱き締めて欲しい、名前を呼んで欲しい
もっと……私を見て欲しい……
好きでは物足りなくなるような感じになるの
この思いは……何?』
そこで文章は終わっていた。
何だか読んでいるこっちまで恥ずかしくなってきやがった。
頬を赤らめたあきらが聞いてくる。
「……なんだと思う?」
ふいっと横を向きあきらの手に自身の手を絡めた。
「さあな、んなもん知らねえ
……だがな、俺も同じ気持ちには違いねぇな」