短編夢
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「千空、誕生日おめでとう!」
今日は千空の誕生日である。
ゲンが企画したサプライズを終えた頃にあきらは改めて千空の元を訪れた。
「で、何食べたい?」
何かプレゼントしようかとも思ったがここはストーンワールド。
思いつかなかったあきらは得意の料理を振舞おうと思ったのだ。
とは言え作れる料理のレパートリーも少ないけれど。
何頼まれるかな…多分ラーメンとかかなと予想していたあきらは予想外の返答をされるとは全く思っていなかった。
「……あきらの作った味噌汁が食いてえ」
味噌汁?聞き間違いでなければ日本人が誰しも食べた事があろう料理の名前を千空は上げた。
至って普通の家庭料理だが、ドラマで聞くようなセリフだ。
(いやいやいや、千空に限ってそれはない…!!)
一瞬脳裏に過った考えを否定する。
千空が科学一筋で興味なんかないのはとっくの昔に分かっている。
それは石化から解けた後も変わらず科学に夢中だ。
「えーーーと、み、味噌汁?
まず味噌から作らなきゃいけないけど…それでいいの?
味噌作りからとなるとかなり時間かかるけど」
味噌と聞いて一番先に思いつくのは大豆だが、味噌は豆さえあれば作れるだろう。
しかし、発酵させるのにはかなり時間がかかる。
完成するのはいつになるやら。
一夜で作れないのは千空なら知って当然と思うのだけれどとあきらは思った。
しかし、千空は意図が分かってないと言わんばかりに大きなため息をついた。
「まじめに味噌作る話してどうすんだ、違えわ」
えっ、とあきらは目を見開いた。
「えっ、どういう事…??」
喉から出た声は緊張してるせいかたどたどしい。
千空も唾を飲み込みゆっくり深呼吸をしてまっすぐにあきらを見つめて告げた。
「……あきらが好きだ、結婚してくれ」
その言葉を聞いた瞬間あきらの目から涙がこぼれ…る事はなくただぽかんと口を開けているのに対し千空は眉を上げた。
告白をしたのにそんな表情をされるとは全く思っていなかったからだ。
あきらは自分の事が100億%好きであると今まで疑う事はなかった千空は気恥ずかしくなった。
「おい、何でもいいから反応してくれよ…」
多分誰も聞いてないと思うが告白が不発になったかもしれないなど誰にも知られたない。
恐らく皆そっとしておいてくれるだろうが、かなりショックだ。
(てっきり泣くと思ってハンカチ用意した準備が無駄になるとはな…)
すると、あきらは突然自分の頬を手でぎゅーっとつねり始めた。
「何してんだ…てめーは…」
「あーえーと、ごめん、夢でも見てるのかと思って…
嬉しさよりも驚きの方が勝っちゃって…」
自分はとんだ勘違いしたようだと千空は再び鼓動が早くなるのを感じながらあきらに近寄った。
「なら、夢じゃねえ事を証明してやろーか?」
えっ、とあきらが言う前に千空は唇を重ねた。
「これでもまだ夢だって言うか?」
月明かりに照らされたあきらの頬は赤く染まっていて、千空は何とも形容しがたい思いに駆られた。
もっと乱したいと思ったがぐっと堪え、あきらの返答を待つ。
「ゆ、夢じゃない事は分かった、さっきの…告白って捉えていいの…?」
「ああ、……まだてめえの返事を聞いてねえぞ?」
千空はあきらから返ってきた答えを聞いて嬉しそうに表情を綻ばせたのは二人とみていた月しか知らないーーーー。
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