凶一郎夢ツイッターログまとめ
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[赤い糸]
「ん?」
ふと気付くと自分の小指に赤い糸が結ばれていた。
長い糸はどこかに続いているのか自室の外に向かっていた。
誰かの悪戯か、嫌五あたりだろうが……煩わしい糸を外そうとしたがくっついて中々離れない。
犯人に文句でも言ってやろうと妹弟に愚痴を零したところ自分以外の誰にも見えていなかった。
…………もしかするとこの赤い糸は「運命の糸」ということなのか?
そうなると途端にこの先に誰がいるのか気になり最愛の六美に繋がっているのか六美の小指を見ると赤い糸があった。
床を這い赤い糸を追う凶一郎だが当然赤い糸は凶一郎にしか見えていないので妹弟は怪訝な視線で引いていたのは言うまでもない。
さて……六美の運命の相手とは!?!?もちろん相手は義弟の太陽だった。
がっくりと項垂れる凶一郎を太陽は何があったんですかと優しく宥めるが凶一郎にとっては余計なお世話だ。
……となると凶一郎の運命の人は六美ではないことが確定した。
凶一郎としてはこの先に誰がいるかなんてさほども興味はないが……この際顔だけでも見てみようと小指から続く赤い糸を追ってみた。
糸は家の外に続き、ヒナギク、スパイ協会を通り越して……気づけば海にたどり着いていた。
赤い糸は揺れる海面の下に続いていて海外を示している。
海外か、と思い描いていた人物が候補から外れ凶一郎は途端にやる気を無くした。
「…………くだらん」
急にむしゃくしゃしてきた、と凶一郎は自宅に踵を返した。
翌日来客の気配を感じ凶一郎は賑やかな客間に向かおうか否か迷っていた。
運命の相手は自分ではない、その事実から目を背けてしまいたくて拳を握りしめた。
しかし六美から渡したいお土産があるらしいから来てと言われてしまい、渋々客間に向かうと昨日まで玄関の外に続いていた赤い糸が今日は客間の先に続いていた。
…………そういえば昨日は海外出張と聞いていたような……と淡い期待を込めて扉を開くと。
優しく微笑む彼女の小指を見て凶一郎はそういうことか、と気持ちが一転晴れやかな気分になり口角を上げて笑った。
どうやら運命の人は見つかったらしい。
[第二ボタン]
陽気の良い日差しの中凶一郎はボタンを手持ち無沙汰に放り投げてはキャッチしてそれを繰り返していた。
今日は中学校の卒業式。
めでたく気温にも天気にも桜にも祝われる日となった今日は自分と同じく卒業を迎えた生徒達がわいわいと思い出話に花を咲かせているのを凶一郎は何となく屋上から眺めていた。
先程から宙を入ったりきたりしているこれを素直に渡すかどうか迷っていると屋上の戸が開いて凶一郎は手に持っていたボタンをポケットに入れた。
振り返れば幼馴染の彼女が立っていて風が強く吹いた為かスカートの裾を押さえて笑う。
「どうした、クラスメイトとの談笑は終わりか?
今日で最後なのにもういいのか?」
「別に今日で終わりってわけじゃないし……
あれ、凶一郎第二ボタンないよ?」
彼女は無くしたの?と聞こうとしてその意味に気付いた。
そして少し気まずそうに視線をそらした。
「あ…………えっと……誰かにあげたんだ」
「…………正確に言うとあげてはいないがまだ渡しそこねている、だ」
「へ、へぇ――――が、頑張ってね……」
しばし無言が続き二人の間にそよ風がなびく。
その風に誘われてひらひらと屋上にまで桜の花びらが舞ってきた。
彼女は何となく両手で花弁を受け止め、これがボタンに変わったらいいのになと内心思っていると。
「それと第二ボタンどっちがいい」
「えっ!?!?だ、第二ボタン……?」
咄嗟に質問され正直に答えてしまったところ凶一郎はそうか、と言うと屋上から出ていってしまった。
何だったんだろう…………と困惑して再び手元を見ると。
「え…………??」
不思議な事に花弁はボタンに置き換わっていたのだった。
[砂糖多め]
午後のティータイム、穏やかなゆったりとしたこの時間が好きだ。
ティーカップを持つ凶一郎の視界の端に映った姿を見て眉間に皺を寄せる。
るんるん、と上機嫌に紅茶に砂糖を入れる彼女だが明らかに量が逸脱しているからだ。
ドバドバと飽和量の砂糖なんぞ入れたら紅茶の味が台無しだ。
そこまでにしておけと苦言すると彼女はむう……と不満げに砂糖を戸棚に閉まった。
そして自分の隣の椅子に座るとちびちびと紅茶を飲み始めた。
何年経っても変わらない紅茶の好み方に呆れ半分眺めていると。
「凶一郎も味見する?」
自分も飲みたいと受け取ったのか首を傾げて聞いてきた。
そんなもの飲んだら今自分が飲んでいる紅茶の味がかき消されてしまう。
ここは…………こうするべきだろうと凶一郎は彼女の口から砂糖を貰うことにした。
唇を重ねて顔をしかめた。
「…………これで十分だ、…………まぁこっちの甘さはいくらあってもいいがな」
そう言う凶一郎に対し彼女は耳まで赤くして放心してしまっていた。
こっちの砂糖にはまだ慣れていないようだ…………砂糖の過剰摂取にはご注意を。
[大雨山小屋]
山の中は著しく天気が変わる。
密猟の輩を協会に引き渡した後、さて帰ろうとした凶一郎と彼女の顔に一粒の水滴が当たった。
ぴちょん、と冷たい感触がしたかと思うと一滴の雫から大粒の大雨に急激に変わった。
そしてゴロゴロ…………と雷の音までしてくるとはついていない。
雨だけならいいが雷までついてくるとなると状況が変わる。
流石に雷に打たれるのはご勘弁だと思った矢先に何と運がいいことに山小屋が見えた。
ひとまず空が晴れるまであそこで時間を潰そうと二人は山小屋に走った。
もう使われていないのか無人と化した山小屋に避難する。
体が冷えたな、とぐっしょりと濡れたスーツの上着を脱いでその下のワイシャツも透けていて舌打ちをうつ。
凶一郎はあまりこの肌に服が張り付く感触は好まない、不快だからだ。
ワイシャツのボタンを外しながら何か暖を取れる物はないかと部屋を物色して何もなさそうだと分かりため息をつく。
仕方がない、部屋には埃が溜まっていて長い事使われていないのだから当たり前だ。
ヒーターでもあればよかったんだが……とくしゃみが聞こえた。
振り向けば寒そうに腕を擦る彼女が見えた。
せめて彼女だけでも暖を取れる方法を考えねば……と何となしに背中を見やると自分と同じように透けたワイシャツから下着が見えていた。
その下着を見て、脳内で悪魔が囁く。
暖?簡単に取れるじゃないか。
彼女は早くやまないかなーと窓の外を眺めていてとても今からその雰囲気に持ち込めるとは思えない。
というか暖を都合にするのは些か紳士として欠けるのではないだろうかと内心思う裏腹に行動していた。
後ろから彼女に抱きつくと驚いたのか、凶一郎……?と振り返る。
「どうしたの?寒い?」
「ああ、すっかり冷えてしまった」
「ん――私も……困ったねー何か暖かい毛布あればなぁ……ひゃっ!?」
すりすりと服の中に手を突っ込めば手の体温よりも暖かった。
と同時に彼女の体温が徐々に上昇していく。
「きょ、凶一郎…………あ、あのね、どういう意図かは分かるけど……!きょ、今日、そんなに可愛くないやつなの、だ、だから……仕事用だから……!」
「ん?ああ、そうだな、俺は何でも唆られるから問題はない、安心しろ」
「そ、そういう問題じゃあ…………」
器用にも凶一郎は後ろから抱きつきワイシャツのボタンを外していく。
全て外されちゃう……!と思った矢先ふと手が止まった。
「さて、どうする?このまま寒さに震えるのとボタンを外されるのと……どっちがいい?」
「……………………凶一郎と暖まりたい…………」
紅潮する頬を眺め凶一郎は暖を取るべく最後のボタンに手をかけた。
[雪の中の花嫁]
※死ネタです
酷く凍える雪の大地で、ざくり、ざくりと革靴が雪を踏みしめる音が響くが全て雪が消し去っていく。
「あともう少しだ」
背中に乗せた相手に励ましの言葉をかけて凶一郎は一歩一歩雪の上を歩く。
七悪が待っているところまであともう少し、だからしっかりしろと声をかけ続ける。
この時までは助かるものだと思い込んでいた――
極寒の寒空の下で凶一郎とあきらは任務に当たっていた。
任務は無事終えたものの……突如としてあきらが高熱を引いてしまい寝てれば大丈夫と言うものの一夜経っても熱が下がる様子はなかった。
ここは外国な上に医療機関はない、しかも夜桜に関係する者なら尚更のこと素人には見せられない。
ヘリコプターなり移動手段を使おうにも距離がありそれなら自分が背負って七悪と待ち合わせる方が早いと判断した。
日本の環境とは異なり猛烈な吹雪が吹く中凶一郎は淡々と歩みを進める。
あと数十分で着く、と思った矢先背負っていた重さが無くなっている事に気付く。
どさり、と雪に何かが沈み込む音が後ろから聞こえた。
くそ、落とすなんて俺はどうかしたのか、と慌てて駆け寄り抱き寄せて酷くあきらの体が冷え切っていることが分かる。
あれほど、高熱だったのに、温かい肌が冷え切っていた。
しっかり着込ませて風が当たらないようにしていたのに何故……と凶一郎は事実から目を反らす。
「おい、しっかりしろ!あと少しだ、もう少しなんだ」
「………………うん」
あきらは目を閉じていて、ゆっくりと唇を開けて答えたがあまりにもその声は小さかった。
雪が彼女を覆い尽くす。
吹雪があきらを連れて行こうとしている。
やめてくれ、連れていかないでくれ。
少しでも暖めようと力強く抱きしめた、あと少しなんだ、持ってくれ。
そんな願いは届かずあきらは目を開くことなく、ポツリと呟いた。
「………………きょう、いちろう、くん」
「なんだ?」
意識を繋ぎたくて続きを問うとあきらは青白い顔のまま微笑んだ。
「…………うれしい」
嬉しい?何がだ?何を言っている?俺に抱きしめられていることが?違うこれは…………走馬灯だ。
さっきあきらは凶一郎くんと言った、昔の呼び名だ、昔の夢を……見ている。
息が…………できない。
『あきらちゃん、あのね、いつか僕がおおきくなったら……』
幼い日のやりとりをあきらは懐かしむように繰り返す。
「おおきくなったら…………いつか……けっこんしようね……」
「っ、今!しよう!今!だから……!逝かないでくれ……!」
いつかじゃなく今すぐに、感情がぐちゃぐちゃになりながらもせめて彼女の願いを叶えよう。
俺は何で引き伸ばしていたんだ……と震える手つきで片方の手の指輪を掴んだ。
手につけている指輪を外して彼女の薬指につける。
するとああ、と嬉しそうに彼女は微笑んだ。
「はがねぐもの……ゆびわ…………くれて……ありがとう……」
「違う……!それじゃない!俺を……!見てくれっ」
願いを叶えてしまった為かもう後悔はない……と言っているように目を開くことはなかった。
しかしとうに彼女の意識は既にここから消え去ってしまった。
あきらは本当に心底幸せそうに微笑んで。
「これで…………およめさんに、なれ…………た……」
寒空の下金色の指輪が雪に、落ちた。
白い雪の猛吹雪の中、純白の雪を纏ってもう目覚めることのない花嫁が静かに男に抱きかかえられて。
永遠の眠りについた――
[隔たれた壁を破って君に会いたい]
※凶一郎目線
夢を見る。
久しぶりに見る夢の内容は名前も知らない女と恋人になっていて触れ合う夢だった。
夢の中の女と俺は幸せそうな顔をして話す。
夢の中の出来事は一瞬とは言うがそれは短くも長くもあったと思う。
目が覚めてまさか知らない女と恋愛する夢を見ようとは……と眉間に皺を寄せた、疲れていたのだろうか。
あまり睡眠をとらないがあんな夢はもう見たくはない……と感じた。
だが、その認識は夢を見るにつれて変わっていく。
夢を見れば見るほどその夢の中の女が恋しくなるのだ、俺は気づけば向こうの女に焦がれていた。
夢の中だけでしか会えないのに、眠れば彼女に会えるのだろうか……そんな事を思ってしまう。
けれど俺は家族の為に不眠の生活を送っている、眠れるのは家族達が休ませる為に無理やり寝かす日のみ。
向こうも俺に会いたいだろうに申し訳ないななんて、現実にいないのに気にしてしまう。
………………この世界にいてくれたら、直接話せるのに、ああ、もどかしい。
夢の中の逢瀬でいくら話しても体を重ねても心に空いた隙間は埋まらないままだった。
そう、全ては夢なのだから。
夢でどうこうしたところで何も…………意味は、ない。
やるせなさを晴らすように凶一郎は夢の中で彼女の髪を撫でた。
この世界の隔たりを無くせたらどんなにいいだろう、とキスをして。
目が覚めた。
ああ、また離れ離れになってしまった…………と。
もう1回枕に飛び込むも、彼女は現れないままだった―
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