夜桜凶一郎R夢まとめ
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ふと、廊下で凶一郎の姿を見かけた。普通に話しかけようとして……家の中なのにその背中は剥き出しの刃物を曝け出しているみたいに刺々しい空気を出していた。この場に一人だけだからか、そんな重苦しい表情に……
彼はちゃんと自分を大切にできているんだろうか、休めているんだろうか、と心配になって要らないお世話だと思いつつ声をかけた。
「凶一郎、大丈夫……?」
「…………」
声をかけても凶一郎は答えない。聞こえていないということはない。今は話しかけるなと背中が語っているけれど話しかけないという選択肢はなかった。だってそんな……崖っぷちで自分を追い詰めるような表情をしているなら尚更だ。
「……ちゃんと休めてる?睡眠をとれないのはわかってるけど……せめて自分を大切に……そうだ、紅茶でも飲もうよ、こないだお菓子買ったの、ね?」
「……さい」
「凶一郎お気に入りのダークスイートにする?それともお菓子に合いそうな別のやつにしようか?どっちがいい?」
「………………うるさいっ」
そっと彼の手をひこうとして袖をちょんと掴むと勢いよく手を弾かれた。予想よりも強い拒否に思わず笑みを忘れて目を見開いてしまった。
どう返事をしたら良いのか分からない、いつもなら少し苛立っているんだね、とか。何か嫌なことがあった?とかいくらでも台詞が浮かぶのに、何も浮かばない。
あの事件以来ずっと彼の間には深い亀裂が入ってものすごく遠く感じる。他の家族とも距離を置いているけれど私個人に対してはそれよりも遠く……一歩下がっているような……
彼ははっと自分のしたことに気づいてバツが悪そうにするものの……顔を背けた。そんな彼に足を踏み出すことはできず……進もうとした足を一歩後ろに引き下がった。
「……すまない、しばらくそっとしておいてほしい」
「…………うん」
彼の顔が上手く見れない、彼の表情も自分がどんな表情をしているのか、わからなかった。そう距離を置いていたのはきっと自分の方だったんだ。遠ざかっていく彼の背中に頬に雫が流れた――――
きっと対応が間違っているのは俺の方なんだろう。実際にそうだと自分でも思う。だが優しい言葉さえ今の俺の心には何も響かないどころか返って悪影響を生む。
あの事件以来、俺は上手く彼女と接することが出来なかった。それもこれも己の心が弱いせいなのだろう。
今の俺は彼女を真っ正直に信じることが出来なくなっていた。だってそうだろう、母と妹を手がけたのが実の父親なんて光景を目撃してしまったら。最大に信じるべき相手が家族を裏切ったら。
後は残されたのは血を通じた兄弟のみ…………わかっている、彼女がそんな事を自分を裏切るような事はしないと理解している。だがあの日以来ずっと心にくすんだ闇が漂っていてどうしようもない思いを抱えたまま凶一郎はどろどろとした暗い闇にやるせない気持ちと本当の本音を吐き捨てたのだった――――
彼はちゃんと自分を大切にできているんだろうか、休めているんだろうか、と心配になって要らないお世話だと思いつつ声をかけた。
「凶一郎、大丈夫……?」
「…………」
声をかけても凶一郎は答えない。聞こえていないということはない。今は話しかけるなと背中が語っているけれど話しかけないという選択肢はなかった。だってそんな……崖っぷちで自分を追い詰めるような表情をしているなら尚更だ。
「……ちゃんと休めてる?睡眠をとれないのはわかってるけど……せめて自分を大切に……そうだ、紅茶でも飲もうよ、こないだお菓子買ったの、ね?」
「……さい」
「凶一郎お気に入りのダークスイートにする?それともお菓子に合いそうな別のやつにしようか?どっちがいい?」
「………………うるさいっ」
そっと彼の手をひこうとして袖をちょんと掴むと勢いよく手を弾かれた。予想よりも強い拒否に思わず笑みを忘れて目を見開いてしまった。
どう返事をしたら良いのか分からない、いつもなら少し苛立っているんだね、とか。何か嫌なことがあった?とかいくらでも台詞が浮かぶのに、何も浮かばない。
あの事件以来ずっと彼の間には深い亀裂が入ってものすごく遠く感じる。他の家族とも距離を置いているけれど私個人に対してはそれよりも遠く……一歩下がっているような……
彼ははっと自分のしたことに気づいてバツが悪そうにするものの……顔を背けた。そんな彼に足を踏み出すことはできず……進もうとした足を一歩後ろに引き下がった。
「……すまない、しばらくそっとしておいてほしい」
「…………うん」
彼の顔が上手く見れない、彼の表情も自分がどんな表情をしているのか、わからなかった。そう距離を置いていたのはきっと自分の方だったんだ。遠ざかっていく彼の背中に頬に雫が流れた――――
きっと対応が間違っているのは俺の方なんだろう。実際にそうだと自分でも思う。だが優しい言葉さえ今の俺の心には何も響かないどころか返って悪影響を生む。
あの事件以来、俺は上手く彼女と接することが出来なかった。それもこれも己の心が弱いせいなのだろう。
今の俺は彼女を真っ正直に信じることが出来なくなっていた。だってそうだろう、母と妹を手がけたのが実の父親なんて光景を目撃してしまったら。最大に信じるべき相手が家族を裏切ったら。
後は残されたのは血を通じた兄弟のみ…………わかっている、彼女がそんな事を自分を裏切るような事はしないと理解している。だがあの日以来ずっと心にくすんだ闇が漂っていてどうしようもない思いを抱えたまま凶一郎はどろどろとした暗い闇にやるせない気持ちと本当の本音を吐き捨てたのだった――――
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