夜桜凶一郎R夢まとめ
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誘拐されたあきらを救出し、思いを告げて2人は無事に結ばれた。
さてこれからどうするか、だが…………
このまま自宅に返すのは危険すぎると判断して凶一郎はあきらを夜桜家に連れてきた。
誘拐されたと連絡を受けた妹弟達は密かに心配していたのか、なんと全員揃って家で待っていた。
集まって貰おうと思っていたが必要性はなかったようだ。
想像よりも多かったのかあきらは数の多い妹弟を目の前にして目を点にしていた。
「紹介しよう、俺の妹弟達だ」
「この人達が凶一郎さんの……!あれ?見たことあるお客さんばかり……?」
「それもそうだろう、実際に店を訪れていたらしいからな」
パチクリと目を瞬かすあきらの前に二刃が立った。
「凶一郎の妹二刃だよ
…………兄が苦労をかけたようですまないね」
「あ!!ちっちゃいゴスロリ姿のお客さん!
そうか、お兄ちゃんの為にお花買いに来てくれてありがとうね〜〜〜二刃ちゃんは何歳?」
ニコニコと子供に接するように笑いかけられた二刃は気まずそうに顔を引きつらせた。
まぁこれも慣れた事だ……と二刃は説明した。
「…………21歳だよ、凶一郎の一つ下のね」
「そう、にじゅう……いっさ…………21歳!?!?
え!?!?私の一つ下!?!?ご、ごめんなさい、私てっきり小学生くらいだと……」
「いいんだよ、こんなのは慣れっこさ」
幼女に間違われている二刃を凶一郎と嫌五がうすら笑いしている事だけが癪だが……それは後でお灸を据えるとして。
各々妹弟が挨拶をし、七悪が挨拶をしたところで彼だけが記憶にないなぁ?と首を捻っていたところ急に背が縮んで少年の姿になりあきらは腰を抜かしてしまった。
「お、おい、大丈夫か」
「あ……いえ……急にマジックみたいな事が起こったものでびっくりしちゃって…………」
「僕の方も驚かせちゃってごめんなさい、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫です…………」
凶一郎に寄りかかりながらやっとのこさ立ち上がったあきらに二刃は神妙な表情で考え込んだ。
そんな二刃を他所に太陽が前に出る。
「あ、前にいらっしゃったカップルの彼氏さん!」
カップルと聞いて凶一郎の空気が重くなっている事に気付かずにそのままあきらは話を続けた。
だが、六美と太陽は恋人というわけではない。
学生という身ではあるが、家の伝統に習い夫婦なのだが説明するとややこしくなるのでカップルと偽っていた……と改めて誤解を解くとあきらはそうだったんですね……と誤った情報をのんでいたことに罪悪感を感じてしまったらしい。
「いえいえ、お気にならず…………」
「でもなんだか恋人にしてはすごく仲睦まじい様子で……
それなら夫婦というのも納得です!」
「………………別に仲良くないが!!!!!」
「凶一郎さん……?」
それまでずっと黙っていた凶一郎が口を開いたかと思うとそれはもう以下に太陽が婿として相応しくないかとか六美を任せるには早い!!!!!と怒りだした。
終いには…………床で寝っ転がって来年戸籍で本当に結婚するなんて認めない!!!!!とただを捏ねてしまった。
「凶一郎あのね、いい加減にしな」
「やだ!!!!!絶対絶対認めない!!!!やだったらやだ!!!!」
「お兄ちゃん………………」
「お兄ちゃんはどんだけ蔑まれても聞かないぞ!!!!昔からだからな!!!!」
「………………あきらさんもいるんだけど」
「あ」
それまでジタバタと暴れていたのが嘘かのように凶一郎はしん…………と静かになる。
あきらは無言のままだ、こんな姿晒したことなんて今までなかったというか見せてこなかった。
隠すべきなのに家族の前と同じ自分を出してしまう。
あわ…………あわ………………と飛び起きて慌てて取り繕うとしたところであきらがのほほんと笑みを浮かべている事に気づいた。
「妹さん思いなんですね、凶一郎さんは」
「あ………………そ、そうだ、た、大切なんだ
ひ、引いていないのか……?」
「ちょっと驚きましたけど…………凶一郎さんの新しい一面が見れて嬉しいです、もっとたくさん見たいです、私」
「………………あきら……」
じっっっとお互いを見つめ合いすっかり二人の空間に入ってしまった凶一郎とあきらに今までの兄なら考えられなかった事に驚きつつも会話を進める為に咳払いをした。
「で、あんたら2人はこれからどうする気だい?」
「ど、どう…………とは…………」
「あたしらが関与しているとはいえ、もうあんたは普通の日常には戻れない、どうしたい……とか考えはあるかい?」
「それなんだが…………あきら指輪を渡した後で言うことではないんだが…………俺と結婚してくれないか」
「けっ…………!?」
唐突に結婚の文字が出たあきらは目を白黒させている。
無理もない、家のしきたりなど何も説明しないまま指輪を渡しここまで連れてきてしまったのだから。
気持ちばかり焦りこれからどうするかなどすっかり頭から抜けてしまっていた。
改めて夜桜家のしきたりを説明して、戸籍的にはまだ結婚していないので彼女にとってはこれがプロポーズということになる。
あきらは少し戸惑っていたが、一呼吸置いた後返答しようとして…………
「ちょっと待ちな」
と、二刃に返答を止められた。
会話を区切った二刃に家族全員の視線が向く。
二刃は淡々と凶一郎とあきらに問いかけた。
「あたしは結婚には反対だよ」
「なっっ!?!?!?ふ、二刃!?どういうことだ!!!」
「言葉の通りさね」
「ちょっと待て、お前太陽の時は自ら進めていただろう!!!!何故俺だけ反対なんだ!!!!」
「あの時はあんたが暴走してたからね、非常事態だったのさ」
今も非常事態だろう!!!!と憤る凶一郎に二刃はため息をつく。
この兄はといったら、六美以外に大切な人が増えて何か変わったかと思えば………………根本的な所は全く変わっていないようだ。
相も変わらずシスコンぶりを発揮しているし、他の妹弟への態度には変わりなし、おまけに太陽へのいびりも健在だ。
だがそれでも彼女と一緒になりたい……という気持ちだけはこれまでとは違い強く、猛烈に願っているらしい。
だからこそ目の前が見えなっている兄に二刃は忠告を入れた。
「あたしはねあんたらを心配して……」
「嫌だ!!結婚する!!!!」
「そりゃあんたは問題ないだろうさね、あたしが言いたい事は…………」
「結婚するったらする!!!」
「あのね、人の話を………………」
「結婚!!!結婚!!結婚!!!!!」
「…………………………」
凶一郎はひたすらに結婚!!と連呼する、まるで聞く耳を持たない。
やだやだ、と床で暴れる一つ上の情けない姿を晒す長男に二刃の堪忍袋がぶちりと切れた音をその場にいる全員に聞こえた。
「いい加減にしな!!!!」
「びゃん!!!!」
怒りの鉄槌が落ち凶一郎は漸く静けさを取り戻した、渋々だが。
二刃め…………遠慮なく殴ったな…………と痛む頬を擦っているとあきらが不安そうに凶一郎の手を取る。
…………この気遣いだけで痛みが取れたような気がしたなとほのぼのしていると二刃からの鋭い視線が突き刺さった。
「あたしはね、心配しているんだよ」
「………………襲撃だろう?それなら問題ない、俺が全て片付けて…………」
「彼女の心は??」
「………………」
二刃は慈しむような悲しむような表情を浮かべて問いかけた。
そう、二刃が心配していた事は…………
「ただでさえうちは狙われやすい質だ、六美の件もあるしね…………けど六美は最初から裏社会の人間、そんなのは慣れこっさ。でも………………彼女は違う人間だ、銃もナイフも毒殺も…………縁遠い世界からこんな殺伐とした世界にきて、ずっと…………この先何十年もこんな生活を送れて平常心でいられると思うかい?」
決して意地悪で言っているわけではない、彼女の事を思っているからこそ出た言葉だった。
そう、身は守れても心は守れないかもしれない、それは凶一郎も以前危惧していたことで。
自分がそう思うなら同じ家族も同様だと何故気づかなかったのだろうと凶一郎は拳を握る。
しかしもう決めてしまった、あきらと生きる…………と。
それは彼女も同じことで。
「私…………めげません、どんなことがあっても……」
「この先何十年も、だよ?今だけは強がれても未来がどうなっているか分からないじゃないか」
「そ、その時に考えますっ!」
「強情だねぇ」
これじゃ拉致があかない、と二刃は本題に入った。
そう二刃は今日いきなり諦めろと言うつもりで話題にだしたわけではない。
妻を守る為に特訓すると意気込んだ義弟の事を思い出しつつ二刃は条件を出した。
「1年間、この夜桜の家で暮らしな」
「え…………?」
「え?も何もここに住むつもりだったんだろう?それが監視つきというルールが加わっただけさね」
「おい、監視って……」
「皆はともかくあたしはそういう目で見るよ、あんたがこの先ずっと夜桜家で生活してても大丈夫か否か…………
勿論この家は安全だけどここに籠りきりって訳にはいかない、時に危険な目に合う可能性もある
この1年間で見極めさせてもらうさ、もし1年間で大丈夫だと判断したそのつきには…………結婚するなりなんなりするといいよ」
緊張の表情のまま固まってしまったあきらに二刃は優しく肩を叩く。
経緯と表社会の人間であっても二刃自身は素直に兄に相手が出来たことを祝福していた。
が、気持ちと試練は別だ。
「うちは良くも悪くも…………個性強めな奴でいっぱいでね
この先何十年も付き合う事を考えたら1年で疲弊しないよう願うよ」
こうして1年間を目処に結婚の許可を貰うため夜桜家での生活が始まったあきらだった――――
