夜桜凶一郎R夢まとめ
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「よし、これで設置完了だな…………」
凶一郎は満足そうに自身のスペースを眺める。
今日はスパイコミックマーケット、略してスパコミと呼ばれるイベントの日である。
各々が作った自作書を持ち寄りここで頒布する……というのがお決まりだ。
そして凶一郎が出す本……は当然六美に関する詩集である。
そのページ数………………なんと2000P。
あまりの分厚さに引き受けてくれる印刷時が中々見つからず骨が折れたがやっとのこさ完成した。
もう刷り上がった時には今までの六美との思い出が蘇り浮かんだ涙で一冊台無しにしてしまったほどである。
ちなみにそう多くは刷ってはいない、たくさん!!!!刷りたいところだがなんせ2000Pもあるのだ。
紙代だけで金がかかり、どうせなら装丁もころう……と凝りまくった結果印刷費がとんでもないことになった。
まぁほぽ自己満足なので、赤字になってもいい……との意思で破格の500円という値段設定になっている。
すると隣で設営を手伝っていた妻がひょっこりと顔を出し、分厚い鈍器本を見て微笑んだ。
「わーー、やっぱり実物見るとすごいね…………」
「ふふ、そうだろう、なんせ六美が生まれてから約二十数年…………の思いが詰めに詰まっているからな
ふっ、あるふぁと一二三の分もいずれ……ふふふふふ…………………………」
「また、何年後かに来れるといいね、あっ、凶一郎の本まだ見せて貰ってないから家に帰って読むの楽しみだなぁ」
「ああ、楽しみにしておくといい」
「そっちも準備できた??うんうん、お母さんとお父さんにも読んでもらおうね」
両隣では愛する六美のこども、あるふぁと一二三も自作した本を並べている。
ちなみに本人達の両親、六美と太陽はそっちもそっちで本を頒布予定なので子守り…………と任された次第である。
ところで預けられた理由についてだが…………と一部切り取られたイベント全体のサークルカットを眺め凶一郎は口を閉じた。
………………まぁ要するにお子様には見れられない物を頒布しているからである、妹が、旦那に関する本で。
それにしても愛する妻とはいえ自分に関することで暴走する様子をただただ愛しい目で見つめる太陽は狂気の沙汰かもしれんな…………と妹鈍器本を眺めてニコニコしている自身の妻に凶一郎はそういえばこっちも似たような物か…………と負に陥ったのだった。
「さて、全部捌けたな」
「まぁ部数事前に聞いておいたもんね」
「くっ、一部だけでも残ってくれてたら…………!保存用に継ぎ足せたのに!!!」
「おじちゃん保存用増やしすぎておかーさんに怒られなかったっけ??」
「一二三それは忘れてくれ」
感極まるが故に本を濡らさずにしなかったら良かった…………と思うももう一回後で更に一冊台無しにするとは露にも思わない凶一郎だったが。
設営の片付けをせっせとしている妻に凶一郎ははたと気づき近づく。
「ん?凶一郎、もう片付け終わるよ?大丈夫だからあるふぁくん達と……」
凶一郎は懐からすっと、自宅で刷られたような薄い本、いやコピー本を差し出した。
妻はきょとんと首を傾げながらも素直にその本を受け取った。
「これ…………何?」
「………………その……お前用の本だ、中にはお前に向けた、詩……がある」
「えっ、わ、私…………の?」
「…………ああ」
自分にとは思っていなかったのか、うれしそうに微笑んだ後うきうきでめくろうとした妻に凶一郎は手を制し本を閉じさせた。
「あっ、ごめん、見られるの恥ずかしいよね」
「…………それもあるが…………ここだと人目もある、出来れば俺と二人きり、1人の時に読んで欲しい」
「………………言う通りにするけど……何で?」
「これは……この本は……一冊しか作っていない」
ここにしか、もう予備はない、と凶一郎は語る。
印刷の刷り上がりを確認する為に試し刷りはしたものの、それは既にシュレッダーにかけてしまった。
「あーー六美ちゃんの本作るのにだいぶ時間かかったしお金もかかったもんね、気にしないよ、私は」
「違う」
「?」
「そうじゃない、俺が言いたいのは…………」
大事そうに胸に本を抱えた妻の手をそっと握る。
薬指につけられた指輪が夕焼けに照らされてきらりと光る。
「お前との思い出は誰にも共有したくないということだ、お前と、俺が覚えていたら…………それでいい」
「凶一郎…………うん、二人だけの……思い出だね」
「ああ」
夕焼けが二人を照らす、あるふぁと一二三が眩しくて目を瞑った瞬間に。
また一つ、思い出が増えた。
凶一郎は満足そうに自身のスペースを眺める。
今日はスパイコミックマーケット、略してスパコミと呼ばれるイベントの日である。
各々が作った自作書を持ち寄りここで頒布する……というのがお決まりだ。
そして凶一郎が出す本……は当然六美に関する詩集である。
そのページ数………………なんと2000P。
あまりの分厚さに引き受けてくれる印刷時が中々見つからず骨が折れたがやっとのこさ完成した。
もう刷り上がった時には今までの六美との思い出が蘇り浮かんだ涙で一冊台無しにしてしまったほどである。
ちなみにそう多くは刷ってはいない、たくさん!!!!刷りたいところだがなんせ2000Pもあるのだ。
紙代だけで金がかかり、どうせなら装丁もころう……と凝りまくった結果印刷費がとんでもないことになった。
まぁほぽ自己満足なので、赤字になってもいい……との意思で破格の500円という値段設定になっている。
すると隣で設営を手伝っていた妻がひょっこりと顔を出し、分厚い鈍器本を見て微笑んだ。
「わーー、やっぱり実物見るとすごいね…………」
「ふふ、そうだろう、なんせ六美が生まれてから約二十数年…………の思いが詰めに詰まっているからな
ふっ、あるふぁと一二三の分もいずれ……ふふふふふ…………………………」
「また、何年後かに来れるといいね、あっ、凶一郎の本まだ見せて貰ってないから家に帰って読むの楽しみだなぁ」
「ああ、楽しみにしておくといい」
「そっちも準備できた??うんうん、お母さんとお父さんにも読んでもらおうね」
両隣では愛する六美のこども、あるふぁと一二三も自作した本を並べている。
ちなみに本人達の両親、六美と太陽はそっちもそっちで本を頒布予定なので子守り…………と任された次第である。
ところで預けられた理由についてだが…………と一部切り取られたイベント全体のサークルカットを眺め凶一郎は口を閉じた。
………………まぁ要するにお子様には見れられない物を頒布しているからである、妹が、旦那に関する本で。
それにしても愛する妻とはいえ自分に関することで暴走する様子をただただ愛しい目で見つめる太陽は狂気の沙汰かもしれんな…………と妹鈍器本を眺めてニコニコしている自身の妻に凶一郎はそういえばこっちも似たような物か…………と負に陥ったのだった。
「さて、全部捌けたな」
「まぁ部数事前に聞いておいたもんね」
「くっ、一部だけでも残ってくれてたら…………!保存用に継ぎ足せたのに!!!」
「おじちゃん保存用増やしすぎておかーさんに怒られなかったっけ??」
「一二三それは忘れてくれ」
感極まるが故に本を濡らさずにしなかったら良かった…………と思うももう一回後で更に一冊台無しにするとは露にも思わない凶一郎だったが。
設営の片付けをせっせとしている妻に凶一郎ははたと気づき近づく。
「ん?凶一郎、もう片付け終わるよ?大丈夫だからあるふぁくん達と……」
凶一郎は懐からすっと、自宅で刷られたような薄い本、いやコピー本を差し出した。
妻はきょとんと首を傾げながらも素直にその本を受け取った。
「これ…………何?」
「………………その……お前用の本だ、中にはお前に向けた、詩……がある」
「えっ、わ、私…………の?」
「…………ああ」
自分にとは思っていなかったのか、うれしそうに微笑んだ後うきうきでめくろうとした妻に凶一郎は手を制し本を閉じさせた。
「あっ、ごめん、見られるの恥ずかしいよね」
「…………それもあるが…………ここだと人目もある、出来れば俺と二人きり、1人の時に読んで欲しい」
「………………言う通りにするけど……何で?」
「これは……この本は……一冊しか作っていない」
ここにしか、もう予備はない、と凶一郎は語る。
印刷の刷り上がりを確認する為に試し刷りはしたものの、それは既にシュレッダーにかけてしまった。
「あーー六美ちゃんの本作るのにだいぶ時間かかったしお金もかかったもんね、気にしないよ、私は」
「違う」
「?」
「そうじゃない、俺が言いたいのは…………」
大事そうに胸に本を抱えた妻の手をそっと握る。
薬指につけられた指輪が夕焼けに照らされてきらりと光る。
「お前との思い出は誰にも共有したくないということだ、お前と、俺が覚えていたら…………それでいい」
「凶一郎…………うん、二人だけの……思い出だね」
「ああ」
夕焼けが二人を照らす、あるふぁと一二三が眩しくて目を瞑った瞬間に。
また一つ、思い出が増えた。
