凶一郎の婚約者さん
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雨が降る中、あきらの手を握りながら凶一郎は数年前の事を思い返していた。
あれはそう、一度家族が崩壊しかけた時のことだった。
母が死んだ後行方不明になり、六実の心臓がとられかけしかもそれを引き起こしたのが自分の父という出来事は凶一郎の心に重くのし掛かった。
六実の容態がひとまず落ち着き眠りについた頃、二刃から連絡を受けたあきらが慌てて駆けつけた。
駆けつけたものの、凶一郎他きょうだいの顔色は重く何と声をかけたらいいのかあきらは迷ったがとりあえず六実の様子を聞いた。
「……今は眠ってるよ」
「そっか……、ひとまず皆無事でよかった
凶一郎、その、私……」
「お前のせいだ」
謝ろうとしたあきらに凶一郎がぽつりと呟き、あきらの目が大きく見開いた。
「え…………?」
「ちょっと、凶一郎」
しぃん、と静まりかえった中、二刃が制止をかけようとすると尚凶一郎は言葉を続ける。
「母さんが死んだのも、……父さんが居なくなったもの……六美があんな事になったのも……
全部、全部、全部!!!お前のせいだ!」
本当はそんな事なんて思ってもいない、けれど父に裏切られ、母を失い、最愛の六美を失いかけた凶一郎は今正常な判断が出来なくなっていた。
自分の不甲斐なさに腹が立ち八つ当たりがたまたま居たあきらに向かってしまった。
「凶一郎!!!!」
二刃の叱咤に凶一郎はハッと我に返ったが、もう遅い。
あきらを見ると何かを思い出しまったような、表情をしていた。
「………………っ、」
そして、そのまま部屋を飛び出してしまった。
追いかけるか否か迷ったが、容態が安泰したものの六美の側を離れるわけにはいかない、とソファに座ろうとした凶一郎を二刃が平手打ちした。
本気で怒っていたのか、凶一郎の体が大きく吹っ飛ばされ壁に叩きつけられた。
そのままぐい、と胸倉を掴まれる。
「……えらく、怒っているな」
「そりゃね、あんな事大事な家族に言うのを見たら誰だってするさね」
「……俺だって悪いと思っている……後で」
「後で??今すぐ!!追いかけな!!」
切羽詰まった二刃の様子に凶一郎は眉をしかめた。
今すぐ謝らないと機嫌を損ねるからか?と問うと二刃は全然分かってないね、この鈍感は、と呆れる。
「これはあくまでも予感だけどあの子の様子からすると……最悪な事態になりかねない」
「……何がいいたい」
「凶一郎、あんたはこの1日で、大切な人を二人も、失いたいのかい??」
夜桜邸を飛び出してからあきらは当てもなく街を走っていた。
がむしゃらに走っていないと、心が壊れそうだった。
通常なら、もっと早く走れるはずなのに体がうまく、動かず足がもつれてしまい、地面に倒れこむ。
いつの間にか雨が降っていたのか地面は濡れていて服も、顔も、汚れてしまった。
「うぅっ」
先ほどかけられた凶一郎の言葉が脳を過ってあきらは呻いた。
それだけではない、無意識に封じ込めていたであろう、昔の記憶が甦りつつあった。
『お前なんて産まれなければ……今頃あの子は生きていたのに……』
『そうよ、お前が殺した!!!!この疫病神!!』
『奥様が亡くなってから、ずっと旦那様はあの様子で……
ご息女さん?ええ、全く気味が悪いですよ、泣きもしない、喜びもしない、怒りもせずで……
正直居なくなってほしいですね』
『……あきら、もうこの家には帰ってこなくてもよい、目障りだ』
「あ、あ、ぐ……ぅ!、わ、わたしのせい……
あああああああー!!!!!」
自分の母が亡くなったのも、凶一郎の母が死んだのも、私が生きているから。
私がいる限り、不幸をばら蒔くんだ、と涙が溢れて、顔がぐしゃぐしゃになる。
必死にごめんなさい、と繰り返しあきらはふと自分のいる場所が母の墓地である事に気づいた。
そうだ、死のう。
命を母に返さなくては。
そう思いあきらは短剣の鞘を引き抜き自分の首をーーー
「??」
しかし、首に痛みは走らなかった。
疑問に思うと、持っていた短剣に糸が絡まりそのままからん、と遠くに投げ捨てられる。
その糸の使い手は凶一郎だった。
「あ…………っ、」
なんで、と言おうとしたあきらを凶一郎が抱き締めた。
「ご、ごめ、ごめんなさい」
「あきら、俺が悪かった、謝らなくていい
お前は何も悪くない、悪くないんだ」
「っ、でも……!!」
「お前の母が死んだことと今日の事は何も関係がない、決してお前のせいじゃない」
ゆっくりと凶一郎はあきらの頭を撫でる。
「だから……死のうなんて思わないでくれ
俺はもう誰も失いたいたくない」
「凶一郎……」
「俺と一緒に生きてくれ、あきら」
凶一郎の懇願にあきらはうん、と頷くと背中に手を回し、一筋の涙を溢した。
あれはそう、一度家族が崩壊しかけた時のことだった。
母が死んだ後行方不明になり、六実の心臓がとられかけしかもそれを引き起こしたのが自分の父という出来事は凶一郎の心に重くのし掛かった。
六実の容態がひとまず落ち着き眠りについた頃、二刃から連絡を受けたあきらが慌てて駆けつけた。
駆けつけたものの、凶一郎他きょうだいの顔色は重く何と声をかけたらいいのかあきらは迷ったがとりあえず六実の様子を聞いた。
「……今は眠ってるよ」
「そっか……、ひとまず皆無事でよかった
凶一郎、その、私……」
「お前のせいだ」
謝ろうとしたあきらに凶一郎がぽつりと呟き、あきらの目が大きく見開いた。
「え…………?」
「ちょっと、凶一郎」
しぃん、と静まりかえった中、二刃が制止をかけようとすると尚凶一郎は言葉を続ける。
「母さんが死んだのも、……父さんが居なくなったもの……六美があんな事になったのも……
全部、全部、全部!!!お前のせいだ!」
本当はそんな事なんて思ってもいない、けれど父に裏切られ、母を失い、最愛の六美を失いかけた凶一郎は今正常な判断が出来なくなっていた。
自分の不甲斐なさに腹が立ち八つ当たりがたまたま居たあきらに向かってしまった。
「凶一郎!!!!」
二刃の叱咤に凶一郎はハッと我に返ったが、もう遅い。
あきらを見ると何かを思い出しまったような、表情をしていた。
「………………っ、」
そして、そのまま部屋を飛び出してしまった。
追いかけるか否か迷ったが、容態が安泰したものの六美の側を離れるわけにはいかない、とソファに座ろうとした凶一郎を二刃が平手打ちした。
本気で怒っていたのか、凶一郎の体が大きく吹っ飛ばされ壁に叩きつけられた。
そのままぐい、と胸倉を掴まれる。
「……えらく、怒っているな」
「そりゃね、あんな事大事な家族に言うのを見たら誰だってするさね」
「……俺だって悪いと思っている……後で」
「後で??今すぐ!!追いかけな!!」
切羽詰まった二刃の様子に凶一郎は眉をしかめた。
今すぐ謝らないと機嫌を損ねるからか?と問うと二刃は全然分かってないね、この鈍感は、と呆れる。
「これはあくまでも予感だけどあの子の様子からすると……最悪な事態になりかねない」
「……何がいいたい」
「凶一郎、あんたはこの1日で、大切な人を二人も、失いたいのかい??」
夜桜邸を飛び出してからあきらは当てもなく街を走っていた。
がむしゃらに走っていないと、心が壊れそうだった。
通常なら、もっと早く走れるはずなのに体がうまく、動かず足がもつれてしまい、地面に倒れこむ。
いつの間にか雨が降っていたのか地面は濡れていて服も、顔も、汚れてしまった。
「うぅっ」
先ほどかけられた凶一郎の言葉が脳を過ってあきらは呻いた。
それだけではない、無意識に封じ込めていたであろう、昔の記憶が甦りつつあった。
『お前なんて産まれなければ……今頃あの子は生きていたのに……』
『そうよ、お前が殺した!!!!この疫病神!!』
『奥様が亡くなってから、ずっと旦那様はあの様子で……
ご息女さん?ええ、全く気味が悪いですよ、泣きもしない、喜びもしない、怒りもせずで……
正直居なくなってほしいですね』
『……あきら、もうこの家には帰ってこなくてもよい、目障りだ』
「あ、あ、ぐ……ぅ!、わ、わたしのせい……
あああああああー!!!!!」
自分の母が亡くなったのも、凶一郎の母が死んだのも、私が生きているから。
私がいる限り、不幸をばら蒔くんだ、と涙が溢れて、顔がぐしゃぐしゃになる。
必死にごめんなさい、と繰り返しあきらはふと自分のいる場所が母の墓地である事に気づいた。
そうだ、死のう。
命を母に返さなくては。
そう思いあきらは短剣の鞘を引き抜き自分の首をーーー
「??」
しかし、首に痛みは走らなかった。
疑問に思うと、持っていた短剣に糸が絡まりそのままからん、と遠くに投げ捨てられる。
その糸の使い手は凶一郎だった。
「あ…………っ、」
なんで、と言おうとしたあきらを凶一郎が抱き締めた。
「ご、ごめ、ごめんなさい」
「あきら、俺が悪かった、謝らなくていい
お前は何も悪くない、悪くないんだ」
「っ、でも……!!」
「お前の母が死んだことと今日の事は何も関係がない、決してお前のせいじゃない」
ゆっくりと凶一郎はあきらの頭を撫でる。
「だから……死のうなんて思わないでくれ
俺はもう誰も失いたいたくない」
「凶一郎……」
「俺と一緒に生きてくれ、あきら」
凶一郎の懇願にあきらはうん、と頷くと背中に手を回し、一筋の涙を溢した。