凶一郎の婚約者さん
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「あきら様っ!恋バナ談義をしましょう!!!」
「……………………え?」
目を爛々と輝かせて言う殺香にあきらは呆然としたのだった。
殺香に連れられるがままあきらは殺香の部屋で真向かいに椅子に座り殺香が喋るのを待っていた。
机の上には紅茶と茶菓子が置かれザ•女子会が行われようとする雰囲気だが殺香は恋バナとして何を話すのだろうか……
殺香と直接話す機会は少ないが、彼女が恋をしたというのはどんな人なんだろう……?
「では先んじて私の方から…………
私はずばり!太陽様と六美様についての恋バナをさせてもらいます!」
あ、やっぱりその二人なんだ、とどこか安心した。
最早殺香の感情は恋…………というよりかはまた別の特殊な感情のような気がするがそれはさておいて。
殺香はふんすふんすとそれはもう大層に太陽と六美についてぺらぺらとどこが好き、とか喋りまくった。
「ああっ!もしお二人にお子様が生まれたら私はどうなってしまうのでしょうっ!」
「こ、子供…………殺香は気が早いね、まだ二人は正式には結婚してないのに……そんなに楽しみ?」
「はいっ!もう既に予想してどんなお子様が生まれるか候補を考えております!」
少々気が早いと思うものの未来を想像して語る殺香の表情は生き生きとしていて本当に二人の事を大事に思っているんだなと実感できた。
そんな殺香が微笑ましくて穏やかに微笑んでいると。
「では次はあきら様の番ですね」
「え、私?そうだね、恋……バナ……か
となるともう凶一郎以外に語る人はいないか」
「そういえば時に質問なのですがよろしいですか?」
「ん?質問?いいよ」
凶一郎の何を喋ろうかなぁと思考を巡らせていたところ殺香が質問があると述べた。
質問……なんだろう?と妙に思ったものの、何から喋ったらいいか悩んでいたので逆に選択肢が狭まっていいかもしれない。
「あきら様はプロポーズされるならどんな方法がよろしいですか?」
「ごふっ!?!?」
まさかそんな質問が飛んでくるとは思わずあきらは不覚にも咽かけてしまった。
心配する殺香に待ったをかけなんとか紅茶を飲み込み口元をハンカチで拭いて深呼吸をする。
プロポーズ…………言葉通りの意味なのだろうか、それにしても若干リサーチぽい質問なような気がするのは気の所為だろうか……
「ど、どんな方法って言われても…………そもそも何でそんな質問を私に……?」
「えーー?どんなプロポーズされたいかとか定番ですよね?普通の恋バナで話しますよ!きっと!」
「そ、そうかな…………」
「で、どんな形式でされたいですか?サプライズ?公開プロポーズ?フラッシュモブとかもありますよね!!」
少し食い気味の殺香に若干押されつつあきらはプロポーズ……と反芻する。
が、あきらにはこれといって特に希望もなかった。
いつか……彼はプロポーズをしてくれるのだろうか、彼の言葉を信じるならばいつの日か……してくれるのだろうけど。
でも私は彼に発破をかけるつもりはない、どういう方式が良いとかそんな私だけが喜ぶような事は許されていない気がする。
心のどこかで最大に心底幸せになってはいけない…………と冷たい水が過ぎる。
彼と結婚できる、隣に居られるそれだけで幸せなのだと昔から言い聞かせてきた。
返答に迷う顔が紅茶に映し出される。
「…………私は特に希望はないかな、他にどういうのがあるかなんてあまり知らないし」
「でしたら雑誌を参考にするのは如何でしょう!ちょうど結婚特集が組まれているんです!」
「ほんとだ、スパイ同士の結婚も多いからねぇ
へーー成功するプロポーズプランとはって書いてある」
殺香が差し出したスパイデーを受け取ると特集が組まれたページが目に入った。
喜んで貰えるプロポーズ方法とは!と大きく書かれた見出しを見てあきらはむず…………と足が少し浮き立った。
「具体例をみる事で心境も変わるかもしれませんよ?実際頬も緩んでらっしゃいますし
色々選択肢を知ることで自分がどれを望んでいるかはっきりするかもしれません」
「え、やだ、恥ずかしい…………」
さっきあれほど控えめな事を思っていたにも関わらず少し浮足立っている自分に恥ずかしく思う。
………………そりゃあこうやって綿密に気持ちが上がるように仕組まれてプロポーズしてもらえたらちょっと嬉しい…………かもなんて。
もしこんな風に…………と想像してしまった脳内図を慌ててかき消す。
雑誌には実際にどういうプロポーズをしてもらったか、とか人気のスポット……特にスパイに特化したというわけではなさそうな万人が喜ぶような事例がつらつらと書き連ねていた。
「夜桜家の皆様はよく映画を観ておいででしょう?貸切の映画館でプロポーズ……なんてプランもあるらしいです」
「え、普通に映画を観るんじゃなくて思い出とかオリジナルムービーを流すの??ちょ、ちょっと恥ずかしいかも…………いや色々録画は残ってるけど〜」
「では映画館でのプロポーズはなし……ですね」
殺香はわざとらしく少し大きめにぺらぺらと喋る。
まぁでも普段から声量は大きい時もあるしあきらは大して気にしていなかったが。
きらりと光る糸によってこの会話を誰かに聞かれているなんてあきらは露にも思わなかった――――――
振り返ること少し前、殺香は凶一郎に呼び出された。
平然とする手前殺香はやや緊張していた。
太陽と六美にそこつなくべったりと愛でている自分に何か文句があるのだろうか……と珍しく冷や汗をかく。
とはいえメイドとして働くのももうしばらく長い、彼から言及があるのならとっくに言われているであろう。
となるとそれとは別件?と首を捻ったがその予想は当たっていた。
「調査を頼みたいんだが」
開口してすぐ凶一郎はそう頼み込んだ。
要約するとあきらがどういうプロポーズをしてほしいかそれとなくリサーチしてほしいとのことだった。
本人から聞くと多分答えてくれないしそもそも凶一郎自ら聞くのは勝手が違うだろう。
「それは構いませんが…………私でよろしいのでしょうか?」
「世間話に乗じてなら多少は聞きやすいだろう、家族以外の第三者ならな
勿論ただでとは言わん、………………もし、成功したら…………したら…………ぐっ…………この…………俺秘蔵のっ!六美写真を…………やってもいい」
「やります!!!!!!!!!」
苦渋をのんで報酬を切り出す凶一郎に殺香は食い気味にその依頼を承った。
ちょうど殺香から見える窓の外…………に凶一郎はこっそりと隠れて鋼蜘蛛の糸伝いに会話を盗み聞きしている。
なるべく糸を見えない位置に配置したがバレる可能性もある、あまり目立った動きは出来ないが…………
凶一郎は指だけ見えるように出してハンドマークで殺香に指示を出す。
凶一郎からのハンドサインを確認し殺香は引き続き表情を変えずに雑誌に指を指す。
「結婚式場でのプロポーズなんてものもあるらしいですよ」
「ぷ、プロポーズと同時に結婚ってこと……?それはもう行き先の時点でバレちゃいそう……」
「確かにサプライズにはなりませんね……となると定番のレストランや夜景の綺麗な場所でプロポーズの方がよろしいですか?」
なんだか実際にされる方法を決めているようで恋バナとはかけ離れつつあるが……
ぼんやりではあるが先ほど言われた場面を脳内で想像する。
「そうだなぁ…………静かな場所の方が…………いいかも
二人きりだと緊張しちゃいそうで出来れば周りに人が居るほうが…………」
「ふむふむ」
「あっ、あくまでも……!消去法で……!か、仮の話だから……!私はもう何でも…………」
「という割にはご想像されているのでは?」
図星を刺されあきらはたちまち顔を赤くする。
具体的ではないにしても想像してしまっていたので言い当てられて中々に恥ずかしい。
でも……………………
「………………まぁされたらされたで…………嬉しい、かな……」
「ふふ」
まだいつプロポーズされるかなんてわからないのに勝手にこうだったらいいな、なんて喋って自分勝手だな……と思うあきらに対し殺香は微笑ましいと言わんばかりに笑っていた。
「あきら様はご想像をするだけでそんな表情をされるくらい……凶一郎様の事をお慕いなのですね」
「………………うん、好き…………大好きなの
ほんと自分勝手だと思うんだけど……サプライズでプロポーズなんかされたら明日死ぬんじゃ?って思うくらい……幸せになっちゃうよ」
の頭の上でお花畑を生やしているあきらの後ろで…………窓に映っていた凶一郎の手が素早くハンドサインを送る。
恐らく昂っているのであろう、素早くて一部しか汲み取れなかったが。
『俺も』『好き』『愛してる』………………と中々に恥ずかしいハンドサインが送られてきた。
その対象は言うまでもなく…………殺香ではなくあきらで。
見えないところで言うのではなく直接伝えればいいのに、と殺香はハンドサインに思わずくすりと笑ってしまった。
「??どうかした?窓に何か映ってる?」
「えっ?」
不覚にも反応してしまったのが悪さをしたのかあきらは窓の向こうに何かがあると思い込んでしまった。
凶一郎は気持ちが昂っているのかまだラブコールのハンドサインを続けている。
ここで凶一郎にアクションを取れば最初から盗み聞きしていたとバレてしまう。
「あっ、あーーっ!そうだ!あきら様!!!私も結婚したい相手がいるのです!!!!」
「えっ、えーーっ!?!?、だ、誰!?」
わー!!と目を輝かせて聞くあきらもまた女子だった。
餌に食いついてくれたと殺香はほっと安堵する。
「それは勿論…………太陽様と六美様です!」
「……………………うん?」
思わず耳を疑う、いや確かに序盤殺香は恋バナとして太陽と六美を挙げていた。
でも彼女の言い分は恋…………というよりは応援したいとか見守りたい……とかそっちの方面なような気もするが………
「え、えっと…………た、太陽と六美は結婚…………してるよね?いや戸籍上はまだだけど……太陽と、いうか……つまり三人…………で、ってこと?」
「はい!!!三人で結婚して…………いずれお生まれするお子様を一緒に育てるお手伝いをするのです!」
なんと変わった結婚なのだろう、いやそもそも今現時点での日本の制度では到底叶わないが…………
「しかし残念ながらこの夢は叶いそうにありません…………太陽様と六美様に申し訳ありませんが…………よよよ」
「あ、あはは…………」
果たして二人とも残念だと思っているのだろうか…………いやきっと否だろう。
「あ、殺香はその二人以外で気になる人はいないの?ほら、辛三とはよく一緒に作業とかしてたりするし……」
「いえ!!特にいませんね!!!」
そう言い切る殺香にあきらはそっかーーーと冷めた紅茶を口に含んだのだった。
「というわけで以上が報告内容となります」
「ご苦労」
大体のリサーチは取れた、これでプランも組みやすくなる…………後は日程を決めてそれとなくあきらを誘うだけだ。
殺香が纏めた報告書をぺらぺらと捲っている凶一郎に殺香がおずおずと切り出す。
「そ、それで…………約束していた…………ご褒美の六美様お写真をっ!!!くださいっ!!!」
「………………そのことについてなんだが」
凶一郎は非常に言い出しづらそうに口を開いた。
もしかして頑張ったからたくさんくれるとか!?!?と期待したのも束の間。
くわっと威嚇するように凶一郎は大きく怒った。
「六美と結婚しようとする奴に六美の写真なぞやれんっ!!!門前払いだ!!!!」
「そ、そんなっ!ご無袋な!!!どうか!1枚だけでも!お慈悲を〜〜〜〜!!!!」
「やれんと言ったらやれん!帰れっ!!!」
と凶一郎に追い出されてしまったのだった……………………(ちなみにしぶとく食い下がったので渋々1枚だけくれた)
「……………………え?」
目を爛々と輝かせて言う殺香にあきらは呆然としたのだった。
殺香に連れられるがままあきらは殺香の部屋で真向かいに椅子に座り殺香が喋るのを待っていた。
机の上には紅茶と茶菓子が置かれザ•女子会が行われようとする雰囲気だが殺香は恋バナとして何を話すのだろうか……
殺香と直接話す機会は少ないが、彼女が恋をしたというのはどんな人なんだろう……?
「では先んじて私の方から…………
私はずばり!太陽様と六美様についての恋バナをさせてもらいます!」
あ、やっぱりその二人なんだ、とどこか安心した。
最早殺香の感情は恋…………というよりかはまた別の特殊な感情のような気がするがそれはさておいて。
殺香はふんすふんすとそれはもう大層に太陽と六美についてぺらぺらとどこが好き、とか喋りまくった。
「ああっ!もしお二人にお子様が生まれたら私はどうなってしまうのでしょうっ!」
「こ、子供…………殺香は気が早いね、まだ二人は正式には結婚してないのに……そんなに楽しみ?」
「はいっ!もう既に予想してどんなお子様が生まれるか候補を考えております!」
少々気が早いと思うものの未来を想像して語る殺香の表情は生き生きとしていて本当に二人の事を大事に思っているんだなと実感できた。
そんな殺香が微笑ましくて穏やかに微笑んでいると。
「では次はあきら様の番ですね」
「え、私?そうだね、恋……バナ……か
となるともう凶一郎以外に語る人はいないか」
「そういえば時に質問なのですがよろしいですか?」
「ん?質問?いいよ」
凶一郎の何を喋ろうかなぁと思考を巡らせていたところ殺香が質問があると述べた。
質問……なんだろう?と妙に思ったものの、何から喋ったらいいか悩んでいたので逆に選択肢が狭まっていいかもしれない。
「あきら様はプロポーズされるならどんな方法がよろしいですか?」
「ごふっ!?!?」
まさかそんな質問が飛んでくるとは思わずあきらは不覚にも咽かけてしまった。
心配する殺香に待ったをかけなんとか紅茶を飲み込み口元をハンカチで拭いて深呼吸をする。
プロポーズ…………言葉通りの意味なのだろうか、それにしても若干リサーチぽい質問なような気がするのは気の所為だろうか……
「ど、どんな方法って言われても…………そもそも何でそんな質問を私に……?」
「えーー?どんなプロポーズされたいかとか定番ですよね?普通の恋バナで話しますよ!きっと!」
「そ、そうかな…………」
「で、どんな形式でされたいですか?サプライズ?公開プロポーズ?フラッシュモブとかもありますよね!!」
少し食い気味の殺香に若干押されつつあきらはプロポーズ……と反芻する。
が、あきらにはこれといって特に希望もなかった。
いつか……彼はプロポーズをしてくれるのだろうか、彼の言葉を信じるならばいつの日か……してくれるのだろうけど。
でも私は彼に発破をかけるつもりはない、どういう方式が良いとかそんな私だけが喜ぶような事は許されていない気がする。
心のどこかで最大に心底幸せになってはいけない…………と冷たい水が過ぎる。
彼と結婚できる、隣に居られるそれだけで幸せなのだと昔から言い聞かせてきた。
返答に迷う顔が紅茶に映し出される。
「…………私は特に希望はないかな、他にどういうのがあるかなんてあまり知らないし」
「でしたら雑誌を参考にするのは如何でしょう!ちょうど結婚特集が組まれているんです!」
「ほんとだ、スパイ同士の結婚も多いからねぇ
へーー成功するプロポーズプランとはって書いてある」
殺香が差し出したスパイデーを受け取ると特集が組まれたページが目に入った。
喜んで貰えるプロポーズ方法とは!と大きく書かれた見出しを見てあきらはむず…………と足が少し浮き立った。
「具体例をみる事で心境も変わるかもしれませんよ?実際頬も緩んでらっしゃいますし
色々選択肢を知ることで自分がどれを望んでいるかはっきりするかもしれません」
「え、やだ、恥ずかしい…………」
さっきあれほど控えめな事を思っていたにも関わらず少し浮足立っている自分に恥ずかしく思う。
………………そりゃあこうやって綿密に気持ちが上がるように仕組まれてプロポーズしてもらえたらちょっと嬉しい…………かもなんて。
もしこんな風に…………と想像してしまった脳内図を慌ててかき消す。
雑誌には実際にどういうプロポーズをしてもらったか、とか人気のスポット……特にスパイに特化したというわけではなさそうな万人が喜ぶような事例がつらつらと書き連ねていた。
「夜桜家の皆様はよく映画を観ておいででしょう?貸切の映画館でプロポーズ……なんてプランもあるらしいです」
「え、普通に映画を観るんじゃなくて思い出とかオリジナルムービーを流すの??ちょ、ちょっと恥ずかしいかも…………いや色々録画は残ってるけど〜」
「では映画館でのプロポーズはなし……ですね」
殺香はわざとらしく少し大きめにぺらぺらと喋る。
まぁでも普段から声量は大きい時もあるしあきらは大して気にしていなかったが。
きらりと光る糸によってこの会話を誰かに聞かれているなんてあきらは露にも思わなかった――――――
振り返ること少し前、殺香は凶一郎に呼び出された。
平然とする手前殺香はやや緊張していた。
太陽と六美にそこつなくべったりと愛でている自分に何か文句があるのだろうか……と珍しく冷や汗をかく。
とはいえメイドとして働くのももうしばらく長い、彼から言及があるのならとっくに言われているであろう。
となるとそれとは別件?と首を捻ったがその予想は当たっていた。
「調査を頼みたいんだが」
開口してすぐ凶一郎はそう頼み込んだ。
要約するとあきらがどういうプロポーズをしてほしいかそれとなくリサーチしてほしいとのことだった。
本人から聞くと多分答えてくれないしそもそも凶一郎自ら聞くのは勝手が違うだろう。
「それは構いませんが…………私でよろしいのでしょうか?」
「世間話に乗じてなら多少は聞きやすいだろう、家族以外の第三者ならな
勿論ただでとは言わん、………………もし、成功したら…………したら…………ぐっ…………この…………俺秘蔵のっ!六美写真を…………やってもいい」
「やります!!!!!!!!!」
苦渋をのんで報酬を切り出す凶一郎に殺香は食い気味にその依頼を承った。
ちょうど殺香から見える窓の外…………に凶一郎はこっそりと隠れて鋼蜘蛛の糸伝いに会話を盗み聞きしている。
なるべく糸を見えない位置に配置したがバレる可能性もある、あまり目立った動きは出来ないが…………
凶一郎は指だけ見えるように出してハンドマークで殺香に指示を出す。
凶一郎からのハンドサインを確認し殺香は引き続き表情を変えずに雑誌に指を指す。
「結婚式場でのプロポーズなんてものもあるらしいですよ」
「ぷ、プロポーズと同時に結婚ってこと……?それはもう行き先の時点でバレちゃいそう……」
「確かにサプライズにはなりませんね……となると定番のレストランや夜景の綺麗な場所でプロポーズの方がよろしいですか?」
なんだか実際にされる方法を決めているようで恋バナとはかけ離れつつあるが……
ぼんやりではあるが先ほど言われた場面を脳内で想像する。
「そうだなぁ…………静かな場所の方が…………いいかも
二人きりだと緊張しちゃいそうで出来れば周りに人が居るほうが…………」
「ふむふむ」
「あっ、あくまでも……!消去法で……!か、仮の話だから……!私はもう何でも…………」
「という割にはご想像されているのでは?」
図星を刺されあきらはたちまち顔を赤くする。
具体的ではないにしても想像してしまっていたので言い当てられて中々に恥ずかしい。
でも……………………
「………………まぁされたらされたで…………嬉しい、かな……」
「ふふ」
まだいつプロポーズされるかなんてわからないのに勝手にこうだったらいいな、なんて喋って自分勝手だな……と思うあきらに対し殺香は微笑ましいと言わんばかりに笑っていた。
「あきら様はご想像をするだけでそんな表情をされるくらい……凶一郎様の事をお慕いなのですね」
「………………うん、好き…………大好きなの
ほんと自分勝手だと思うんだけど……サプライズでプロポーズなんかされたら明日死ぬんじゃ?って思うくらい……幸せになっちゃうよ」
の頭の上でお花畑を生やしているあきらの後ろで…………窓に映っていた凶一郎の手が素早くハンドサインを送る。
恐らく昂っているのであろう、素早くて一部しか汲み取れなかったが。
『俺も』『好き』『愛してる』………………と中々に恥ずかしいハンドサインが送られてきた。
その対象は言うまでもなく…………殺香ではなくあきらで。
見えないところで言うのではなく直接伝えればいいのに、と殺香はハンドサインに思わずくすりと笑ってしまった。
「??どうかした?窓に何か映ってる?」
「えっ?」
不覚にも反応してしまったのが悪さをしたのかあきらは窓の向こうに何かがあると思い込んでしまった。
凶一郎は気持ちが昂っているのかまだラブコールのハンドサインを続けている。
ここで凶一郎にアクションを取れば最初から盗み聞きしていたとバレてしまう。
「あっ、あーーっ!そうだ!あきら様!!!私も結婚したい相手がいるのです!!!!」
「えっ、えーーっ!?!?、だ、誰!?」
わー!!と目を輝かせて聞くあきらもまた女子だった。
餌に食いついてくれたと殺香はほっと安堵する。
「それは勿論…………太陽様と六美様です!」
「……………………うん?」
思わず耳を疑う、いや確かに序盤殺香は恋バナとして太陽と六美を挙げていた。
でも彼女の言い分は恋…………というよりは応援したいとか見守りたい……とかそっちの方面なような気もするが………
「え、えっと…………た、太陽と六美は結婚…………してるよね?いや戸籍上はまだだけど……太陽と、いうか……つまり三人…………で、ってこと?」
「はい!!!三人で結婚して…………いずれお生まれするお子様を一緒に育てるお手伝いをするのです!」
なんと変わった結婚なのだろう、いやそもそも今現時点での日本の制度では到底叶わないが…………
「しかし残念ながらこの夢は叶いそうにありません…………太陽様と六美様に申し訳ありませんが…………よよよ」
「あ、あはは…………」
果たして二人とも残念だと思っているのだろうか…………いやきっと否だろう。
「あ、殺香はその二人以外で気になる人はいないの?ほら、辛三とはよく一緒に作業とかしてたりするし……」
「いえ!!特にいませんね!!!」
そう言い切る殺香にあきらはそっかーーーと冷めた紅茶を口に含んだのだった。
「というわけで以上が報告内容となります」
「ご苦労」
大体のリサーチは取れた、これでプランも組みやすくなる…………後は日程を決めてそれとなくあきらを誘うだけだ。
殺香が纏めた報告書をぺらぺらと捲っている凶一郎に殺香がおずおずと切り出す。
「そ、それで…………約束していた…………ご褒美の六美様お写真をっ!!!くださいっ!!!」
「………………そのことについてなんだが」
凶一郎は非常に言い出しづらそうに口を開いた。
もしかして頑張ったからたくさんくれるとか!?!?と期待したのも束の間。
くわっと威嚇するように凶一郎は大きく怒った。
「六美と結婚しようとする奴に六美の写真なぞやれんっ!!!門前払いだ!!!!」
「そ、そんなっ!ご無袋な!!!どうか!1枚だけでも!お慈悲を〜〜〜〜!!!!」
「やれんと言ったらやれん!帰れっ!!!」
と凶一郎に追い出されてしまったのだった……………………(ちなみにしぶとく食い下がったので渋々1枚だけくれた)
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